韓国のみなが「コーヒーにつけて食べた」国民的菓子…50年間の総売上高1兆ウォン
KOREA WAVE / 2024年5月12日 13時0分
【KOREA WAVE】韓国・ヘテ製菓食品がクラッカー「エース」を発売した1974年は、国内製菓市場に4強構図(ヘテ・クラウン・東洋・ロッテ)が拮抗していた時期だ。同年、東洋製菓(現オリオン)が「チョコパイ」を発売し、クラウン製菓の「クラウンサンド」などが人気を集めた。ロッテ製菓(現ロッテウェルフード)は1960年代、ヘテ製菓がリードしていたガム市場を攻略した。
ヘテは未開拓の分野だったクラッカーに死活をかけていた。「エース」発売前に「ジョニー・クラッカー」という名前の初期製品を発売したが、噛めないくらいの固い食感のせいで、韓国の消費者からそっぽを向かれた。にもかかわらず、ヘテ製菓は当時としては異例の専用研究所を設け、8人を投入してクラッカーの開発に集中した。
こうして3年の研究の末に「エース」が誕生した。「エース」は固くて塩味を中心にした米国クラッカーとは全く異なる味で差別化を図った。
ヘテ製菓の予想は的中した。エース生産工場は平日24時間、週末も休まず稼動させたのに、需要を満たすのが難しいほど人気を集めた。当時、価格が100ウォンで三養(サミャン)ラーメンより2倍も高かったが、品切れになるほどだった。ヘテ製菓の関係者は「固くてしょっぱいクラッカーではなく、私たちの口に合うように香ばしく柔らかく作って味覚を魅了した」と話した。
エースが一段と跳躍できたのはコーヒーのおかげだ。エース発売2年後の1976年、東西(トンソ)食品のマクスウェルハウスコーヒーミックスが発売され、相性が合う「最高の組み合わせ」として人気になった。当時、流行をリードしていた大学生らが、喫茶店でコーヒーと一緒に楽しむ代表的なおやつとして定着した。1985年、初のテレビ広告で当時の人気スター俳優キム・ヘスを起用した。
国民のお菓子として位置づけられ、「エースデー」までできた。全羅南道(チャンラナムド)麗水(ヨス)・順天(スンチョン)などで自生した文化で、毎年10月の最終日である31日に、エースを交換して愛と感謝の気持ちを伝える文化だ。1980年代、ある女子中学生がエースで愛の告白をしたという噂が広がり、「エースデー」ができたと伝えられている。いまだに全羅南道地域では10月のエース売り上げ高が30%ほど増える。
エースは味と品質でライバル製品と差別化を図った。ヘテ製菓の関係者は「長寿の秘訣は絶え間ない品質改善だ」と話した。エースは、サクッとした柔らかい食感のために、主原料を小麦粉から中力粉に変え、調製粉ミルクと天然酵素を使っている。特に、塩の黄金比率を見つけるのに苦労した。2回に分けて塩を振りかけるが、塊にならず、舌先で軽く感じられるのが特徴だ。
さまざまな類似製品が発売されたが、エースはクラッカー市場で確固たる地位を維持している。業界によると、エースは1997年から現在までクラッカー市場の販売数1位を続けている。ヘテ製菓がエース製造のために使う小麦粉の量が1日3.2トン、年間約1200トンに上る。販売量は年間4300万個程度で、現在まで21億個が売れた。これをすべてつなげれば地球8周の32万キロ程になる。50年間の総売上高は1兆ウォンに達する。
ヘテ製菓は変化する消費者の好みに合わせた多種多様な新製品を発売している。過去に油を抜いてカロリーを下げ、サイズを小さくした新製品を発売し、最近はイチゴ・チーズなどさまざまな味を加えて発売している。ヘテ製菓が2021年から昨年まで発売したエース新製品だけでも10種に達する。ヘテ製菓は今年初めにも濃いコーヒー原液を入れた「エースシンエスプレッソ」を発売した。
(c)MONEYTODAY/KOREA WAVE/AFPBB News
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