韓国で「半導体人材」の確保競争が激化…サムスン、SKに続いて現代自動車まで参入
KOREA WAVE / 2024年6月26日 8時0分
【KOREA WAVE】韓国の半導体人材確保競争がサムスン電子、SKハイニックスに続き、自動車メーカーである現代自動車にまで広がっている。自動車が電動化され、ソフトウェア中心の自動車への転換が急速に進み、独自の半導体の設計と開発の必要性が高まっているためだ。
グローバル半導体技術競争で生き残るためには、優秀な設計人材の確保が重要だが、韓国内では半導体について専攻した学生数が需要に比べて非常に不足しているうえ、企業は新卒者より経験者を求めており、今後の人材確保競争はよりいっそう激しくなりそうだ。
業界関係者によると、現代自動車グループは最近、積極的に半導体設計経験者を採用している。現代自動車は今年上半期にパワー半導体開発者を大量採用したのに続き、6月には年末までに車両用半導体開発のためのシステムオンチップハードウェアやソフトウェア設計経験者を募集すると発表した。募集対象は車両だけでなく、モバイル、家電分野で3年以上の半導体設計経験者で、採用されれば板橋(パンギョ)オフィスで勤務することになる。
ある半導体業界関係者は「これまで半導体人材は韓国の大企業であるサムスン電子とSKハイニックスへの転職を望んだが、最近は高い年俸と福利厚生を備えた現代自動車に転職する割合が高くなった」と、最近の人材市場の状況を語った。
また別の業界関係者は「LG電子が2021年にモバイル事業から撤収したのに伴い半導体開発の態勢を縮小した。LXセミコン、サムスン電子、SKハイニックスに移った人が多かったが、最近は現代自動車に多く転職している」と話した。さらに「6年前にLG電子の半導体開発者は1200人ほどいたが、現在は半分に縮小されたと理解している」と続けた。
現代自動車は、自動車市場で話題となっているSDV戦略を推進するため、半導体を直接開発することを決めた。SDVは、ハードウェア中心の内燃機関車両と異なり、ソフトウェアで車両を制御する未来の革新的分野である。現代自動車は2025年までにすべての車種に無線ソフトウェアアップデート技術を適用し、次世代共用プラットフォームと機能集中型アーキテクチャを統合して順次SDVへ転換することを目標にしている。
現代自動車は、車両用半導体を直接開発するため、2022年6月に半導体戦略タスクフォースチームを立ち上げた。 昨年6月には半導体開発室を新設し、サムスン電子のシステムLSI事業部で車両用システムオンチップ「エクシノスオート」を研究してきたキム・ジョンソン常務を迎え入れ、本格的に半導体開発に乗り出した。現代自動車は今年、5ナノプロセスの車両用半導体の開発に着手したとされている。
また、現代自動車は今年5月、車両用半導体やSDVソフトウェア開発要員を1カ所に集めてシナジーを創出するため、板橋駅前の「テックウィンタワー」に研究拠点を作った。 板橋に勤務していた半導体開発室の人材と華城(ファソン)に勤務していた自動運転事業部、現代自動車グループのグローバルソフトウェアセンターである「フォーティーツードット」の人材、「現代モービス」の半導体開発人材などが年内に順次、板橋の拠点に移る予定だ。
半導体業界の関係者は「現代自動車の新たな板橋拠点には、約4000人の開発人材が勤務することになる。現代自動車は以前、モービスから車両用半導体を購入して利用した。今後はSDVと関連した一部の半導体を直接開発することを決め、研究人材を1カ所に集めたものとみられる」と述べた。
サムスン電子とSKハイニックスもまた、半導体関連人材を確保するために激しく争っている。
業界関係者は「数年前まではSKハイニックスからサムスン電子に転職する数が多かったが、今は状況が逆転した。両社の初任給が似てきて、SKハイニックスの福利厚生と成果給が、サムスン電子よりさらに良いという評価が出て、両社の人材確保競争が激しくなった」と話した。
一例として挙げると、昨年、サムスン電子で半導体事業を担当するDS(デバイスソリューション)部門の超過利益成果給(OPI・旧PS)支給率は実績の悪化で0%だった。一方、SKハイニックスは業績悪化にもかかわらず、下半期の生産性激励金として、月基本給の50%と自社株15株、激励金200万ウォンを支給した。両社とも昨年は、半導体事業で赤字を記録していた。
このような状況で、国内の中小・中堅半導体ファブレス企業は、設計エンジニアの確保がさらに難しくなっている。修士、博士級の専門人材が不足しているうえ、中小・中堅企業の核心人材の大企業集中現象が持続しているためだ。
ファブレス業界関係者は「半導体設計エンジニア歴10年目程度になれば、サムスン電子のような大企業にスカウトされるケースが多い。大企業の専門人材需要が持続的に増しており、ファブレスの核心設計人材を引き抜く現象が持続している」と明かした。
一方、韓国産業通商資源省によると、国内半導体分野で2030年までに必要な人材は約1万4600人だ。半導体業界の年間不足人員は2020年に1621人に達した。韓国半導体産業協会は今後10年間、半導体分野で約3万人が不足するとみている
(c)KOREA WAVE/AFPBB News
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