[KWレポート] 若者からお年寄りまで…いまどきの韓流ファンたち (下)
KOREA WAVE / 2024年8月14日 6時0分
【KOREA WAVE】歌手イム・ヨンウンのファンダム「ヨンウン時代」のメンバーであるシンさんは、地域のファンダム活動を通じて知り合った地域メンバーたちと、少なくとも月に一度は集まりを持つ。イム・ヨンウンの歌がチャートでどのような順位か、ストリーミングの成績などから始まる会話は、子どもたちの仕事や健康の話にまで及び、終わりが見えないという。
「イム・ヨンウンは私たちの生活に活力を与え、私たちをつなぐありがたい歌手だ。久しぶりにたくさん話して、たくさん笑った。イム・ヨンウンが長く、幸せに活動してくれることを願っている」
シンさんはこう微笑んだ。
米国ロサンゼルスに住むキムさんは、友人たちと共に、今年6月に開かれた歌手イ・チャンウォンのコンサートに足を運ぶため、帰国した。韓国に戻るのは3年ぶりであった。
「長い間会っていなかった高校時代の同級生6人が集まり、イ・チャンウォンの話をしながら久々に一つになった。家族も全員米国にいるので、韓国に来ることはほとんどなかったが、イ・チャンウォンのおかげで友人にも会え、韓国旅行をしている気分が味わえて良かった」
キムさんは興奮した声で語った。
◇10代のファンよりも勢いのある「シニアファンダム」
かつては10代の「同世代文化」と考えられていたファンダム活動に、年齢の制限がなくなっている。
特に人気のあるトロット(韓国の演歌)歌手のファンダムは、50~60代以上が大半を占め、コンサートや音楽番組などの現場活動では、10代のファン以上の勢いを見せている。コンサートに行くと、ほぼ全ての観客が歌手の「グッズ」(ファン活動のための自作商品)を着用し、応援棒を持参するほど、忠誠心が強い。
コンサートの全席が常に完売となると、その前後には全国の「親孝行息子」や「親孝行娘」たちがチケットの取得に関する秘けつを共有するSNSの投稿が多数寄せられる。
50代以上の「シニアファンダム」の最も顕著な特徴は、ファンダムが単なるファン活動のための集まりを超えた意味を持っている点だ。多くは職場を退いたり、専業主婦として過ごしてきたりした人々で、子どもたちも家庭を離れている。
こうした彼らにとって、ファンダムの存在は、所属感と、新たな人生の意味を与える「コミュニティ」や「共同体」として機能している。
アイドルファンダムとは異なり、シニアファンダムは地域ごとに支部単位に分かれている。定期的に集まり、歌手の名前と写真が掲載された横断幕を掲げて地域の福祉施設でボランティア活動をし、募金活動を通じて歌手の名前で慈善団体に寄付をしている。
「ヨンウン時代」のソウル地域ファンクラブは最近、イム・ヨンウンのデビュー8周年を記念して、1050万ウォン(約95万円)を寄付し、江原道の地域ファンクラブは老人福祉施設に扇風機100台を寄贈した。そのほかにも、地域ファンクラブは年末のキムチ漬けの季節になるとキムチ漬けボランティアに出向き、キムチを社会的弱者に寄付することもある。
歌手の名前を広めつつ、奉仕活動と活力を得られることは、彼らにとって一石二鳥といえる。
歌手ヨンタクのファンダム活動をしながらキムチ漬けボランティアに参加したイさん(60代)は「自分ができることで奉仕し、同じ関心を持つ人たちと楽しみながら、いろいろな人生の話をする。それよって、集まりに参加するたびに充実感を覚える。機会があれば、今後も参加したい」と感想を述べた。
◇「ファンダム、シニア世代にとって社会活動の媒介」
専門家は、シニアファンダムが活発化した理由は、ファンダムが社会活動の媒介として機能しているからだとみる。また、若いころに趣味活動をする余裕がなかった中年世代にとっては「新たな趣味」にもなっている。
ソウル大学心理学科のクァク・クムジュ教授は「中年にとって、ファンダムという組織は芸能人を話題にして交流できる場を提供し、さらに『コミュニティ』を形成するものだ。知らない人同士がコンサートで一緒に歌い、ファン活動のために協力し合うことで、集団性が発揮され、それによって大きな満足感を得られる」と指摘した。
嶺南大学社会学科のホ・チャンドク教授は「中年世代はこれまで生計を立てるのに忙しく、趣味活動に熱心に取り組むことが少なかった。新しい世界であるファンダムを通じて人々と交流し、組織の活力を感じながら、活気を得ているわけだ」と分析する。
(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News
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