戒厳令の原因で名指しされた北朝鮮…韓国の混乱、戦略的に活用か
KOREA WAVE / 2024年12月5日 10時0分
【KOREA WAVE】北朝鮮は、韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が3日に非常戒厳令を宣布して触発された混乱と葛藤状況を、「南南葛藤」の極大化あるいは内部事業に集中できる契機と考え、体制に有利になるよう積極的に活用するものと見られる。
専門家らも5日、これまで韓国社会内部の混乱を体制統制の手段として活用してきた北朝鮮が、今回も「戦略的利益」を追求し、これを取る可能性が高いと分析している。
まず心理戦のレベルでは「韓国が戒厳令のような極端な措置を通じて権力を維持しようとしている」というメッセージを住民に重点的に公開し、「民主主義体制」が不安定だという点を浮き彫りにする可能性が高い。
北朝鮮は、住民が義務的に読むべき朝鮮労働党機関紙・労働新聞を通じて民主主義、資本主義体制を非難し、最近はユン大統領の弾劾を促す集会を積極的に報道してきた。したがって、今回の事態は既存の報道に「都合の良い素材」として活用されるものと見られる。
韓国政府傘下のシンクタンク「統一研究院」のホン・ミン(洪珉)研究委員は「これまで北朝鮮は、韓国政府が取っている『対北朝鮮強硬態勢』に対して不満が多かったが、(戒厳令事態は)韓国政府の問題点をより極端に示しているため、これまで新聞で公開してきたように活用する可能性がある」と話した。
そのうえで、北朝鮮指導部がこれまでユン政権を遮断・断絶し、南北を「敵対的二つの国家」にしようとしてきたことが「いかに妥当で正確な判断だったのか強弁できる素材になる」とみる。
統一研究院のチョ・ハンボム研究委員は「最近、北朝鮮が送ってきたビラを見ると、ユン政権の主要人物に言及する傾向があり、彼らを『政権延長のために陰謀を企てている』とする内容が多かった。対南プロパガンダで今回の事態をいつかは活用することになるだろう」と指摘した。
さらに、対外的には国際的な場で韓国のイメージを傷つける目的で再利用される可能性も排除できない。最近、韓国が国際舞台で「北朝鮮人権の実状」に対する暴露を続けてきただけに、逆に民主主義体制での「二重の基準」などを言及できるという説明だ。
ただ、北朝鮮も綿密な分析のため、当面、事態の推移を見守る可能性が高いとの指摘もある。
ホン・ミン氏は「過去にも北朝鮮は戒厳宣言当時、あるいは政治的変動がある時にすぐに立場を出したことがほとんどなかった。政治的変動がどうなるのか、輪郭が明らかになってから反応してきたので、今回もすぐに対応しないだろう」と見通す。
チョ・ハンボム氏も「北朝鮮が『民主主義体制』と直結した事態を報道する時は慎重にならざるをえない」と述べ、反応時期は遅れる可能性があると見た。その理由として「過去にも北朝鮮は韓国の弾劾を報道し、市民が指導者を追い出すことができる、という点を知らせることでむしろ逆風にさらされたため、住民の学習効果を考慮せざるを得ないだろう」と指摘する。
北韓大学院大のキム・ドンヨプ教授は「むしろ北朝鮮当局は韓国より冷静で落ち着いた視線で今回の事態を眺めている可能性もある。北朝鮮が行こうとする対南路線に大きく影響を与えない可能性も大きい」とみる。
(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News
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