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韓国「戒厳の夜」を整理してみると…浮かび上がる「動揺する司令官」と「焦る大統領」

KOREA WAVE / 2024年12月8日 14時12分

国会に投入された戒厳軍(c)news1

【KOREA WAVE】韓国で「戒厳の夜」が始まった3日午後10時15分、キム・ヨンヒョン(金龍顕)国防相(当時)は特殊戦司令部のクァク・ジョングン司令官に電話で「待機命令」を下した。ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領による「非常戒厳」宣言の15分前だった。

キム・ヨンヒョン氏は「待機」の詳細を説明しなかった。クァク・ジョングン司令官は自分が戒厳軍の指揮官に任命されたことを知っていたが、作戦の詳細を直前まで知らされなかった。その理由は今もわからないという。

クァク・ジョングン司令官と首都防衛司令部のイ・ジヌ司令官は6日、当時の状況を語り、「当初は『非常戒厳』の具体的な内容を知らなかった」と明らかにした。2人は、大統領の戒厳発令10~20分前に国防相から電話を受け、「緊急待機」を指示されたが、それが戒厳と関係していることを知ったのは、メディア報道を通じてだったという。

キム・ヨンヒョン(金龍顕)国防相(左、当時)とユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領(c)news1

戒厳発令5分後の午後10時30分、国防相は国防省の全軍指揮官を対象に遠隔ビデオ会議を開き、戒厳司令官にパク・アンス陸軍参謀総長、副司令官にチョン・ジンパル合同参謀本部次長を任命したと発表し、具体的な作戦指示を下した。その後、クァク・ジョングン司令官には国会議事堂・中央選挙管理委員会・ニューススタジオの出入り統制と警備を指示し、イ・ジヌ司令官には「国会に向かえ」と命じた。

クァク・ジョングン司令官は「命令を受けた当初は、軍人として当然従うべきだと考えた」と述べ、イ・ジヌ司令官も「最初の指示を受けた際には異様な感じがしたが、非常に緊迫した状況だと認識し、戒厳布告に従った」と語った。

しかし、具体的な「ミッション」として「国会議員を排除せよ」という指示が出され、部隊が現場に到着した際、状況は一変した。

撤収する戒厳軍(c)news1

現場には予想以上の市民が集まっていた。

興奮した市民と武装した部隊が入り乱れる中で、安全上の懸念が高まった。クァク・ジョングン司令官は戒厳軍に対し、「絶対に実弾を支給せず、空砲やテーザー銃も使用するな」「国民の安全が最優先だ」と命じた。また、イ・ジヌ司令官も部隊に「銃器を車両に置いたまま、非武装で任務を遂行せよ」と指示した。

クァク・ジョングン司令官は、国防相から「国会議事堂内の人員を外に排除せよ」と再三、命じられた。だが「国会議員を排除することは明らかに違法であり、命令違反になることを承知のうえで、この指示には従わなかった」と述べた。

こうした司令官たちの躊躇が、大統領室の焦りへと繋がった。

2人の司令官は共通して「軍の展開中にユン大統領から直接電話を受けた」と証言している。

クァク・ジョングン司令官は、ユン大統領が「707部隊の動きをどうなっているか」と尋ねたため、「(国会に)移動中」と答えたが、特に追加の指示や発言はなく電話は切れたという。

イ・ジヌ司令官も「大統領から状況を尋ねられ、『非常に混乱しており、部隊が動けない』と答えた」と述べた。

この「大統領の電話」は2つの重要な意味を持つ。

1つは、部隊の展開が遅れていることに対する大統領の焦りを示す証拠だ。

もう1つは、今回の非常戒厳が違法と判断された場合、ユン大統領が違法な戒厳の指揮に関与していたことを示す直接的な証拠となる可能性がある点だ。

最終的に戒厳軍は国会で強硬策を取らず、4日未明には国会が戒厳解除要求決議を採択した。ユン大統領がこれを受け入れたことで、事態は収束に向かった。

しかし、現場を指揮した司令官たちは法的責任を免れない。それでも彼らは事実を公表し、国民と部隊員に謝罪したうえで、再び同様の指示があっても「従わない」と明言している。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News

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