北朝鮮、尹大統領の戒厳・弾劾政局で静観…朴槿恵時代の積極介入と対照的
KOREA WAVE / 2024年12月9日 14時0分
【KOREA WAVE】韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領の「非常戒厳」宣言から弾劾政局に至るまで、北朝鮮は韓国の状況について一切報道していない。この「意図的な無関心」は、現在の混乱に関与しても、得られる実利がないとの判断に基づくものとみられる。
朝鮮労働党機関紙・労働新聞は、2日に韓国の市民団体がユン大統領の退陣を求める声明を発表したと簡単に報じただけで、それ以降、韓国の状況について具体的に触れていない。このような沈黙は、北朝鮮がこれまで対南工作の主要な目標としていた「混乱の煽動」という伝統的な戦術から逸脱するものであり、異例だと評価されている。
北朝鮮がこのような態度を取る背景として、まず北朝鮮は現在、「南北は異なる国家である」という独自の路線に基づき、従来の対南政策を転換している可能性がある。これにより、韓国への関与を控え、「無関心戦略」に徹している。
次に、北朝鮮は年末の経済目標達成に向けて総力を挙げており、韓国の混乱に関与する余裕がないとの見方もある。
さらに、ロシアとの軍事・経済的関係の強化や、トランプ前米大統領の再登板に向けた新たな戦略立案など、国内外で優先すべき課題が多いことも影響しているとみられる。
現在の北朝鮮の静観姿勢は、2016年のパク・クネ(朴槿恵)大統領(当時)の弾劾政局時の対応と大きく異なる。
当時、北朝鮮はパク・クネ氏の問題や弾劾状況について、労働新聞をはじめとする官製メディアを通じて積極的に報道し、韓国政府を批判する宣伝戦を展開していた。
2016年12月9日、パク・クネ氏の弾劾訴追案が国会で可決されると、北朝鮮はこれを受けて4時間以内に官営メディア「わが民族同士」を通じて関連ニュースを伝えた。また、ソウル・光化門広場で開かれた大規模なろうそくデモの映像を「わが民族同士TV」などで報じ、韓国市民の抗議活動を称賛した。
2017年1月1日には、キム・ジョンウン(金正恩)総書記が新年の辞で「パク・クネのような反統一的で売国的な勢力を打破しなければならない」とパク・クネ氏を名指しで批判した。さらに、憲法裁判所が3月にパク・クネ氏の弾劾を承認した際も、北朝鮮の官営メディアは迅速に事実を報道し、翌日にはパク氏の逮捕についても伝えた。
北朝鮮の今回の沈黙について、多くの専門家は、これが過去の対南政策の効果に対する冷静な反省に基づくものだとみている。韓国の民主主義的なダイナミズムに介入することは実効性が低いと判断し、積極的な関与を控えている可能性がある。
また、韓国政局はまだ最終的な結論が出ておらず、ユン大統領の去就や政権交代の可能性が不透明な状況だ。北朝鮮が明確な立場を取るのは、状況が完全に収束した後になるとの見方もある。
韓国統一省当局者も「北朝鮮は韓国の民主主義的プロセスを注視しており、自らの介入が実際に可能かを現実的に判断しているのではないか」と述べている。
(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News
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