韓国史上初の「拘束大統領」とその支持者、暴力と陰謀論が招いた結末 [韓国記者コラム]
KOREA WAVE / 2025年1月21日 19時0分
【KOREA WAVE】韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が拘束され、支持者らがソウル西部地裁に乱入して暴動を起こすという前代未聞の事態が発生した。彼らは「不正選挙」や「反国家勢力」といった陰謀論を掲げ、法廷や社会の秩序を破壊する行動に出た。その根底にはYouTubeや宗教団体を通じて共有された極端な世界観が存在する。
支持者らは「ニュースはすべて中国資本に支配されている」と断言し、「最も信頼できる情報源はYouTubeだ」と主張している。彼らが支持する牧師や右派系YouTuberは「不正選挙には中国や北朝鮮が関与している」といった根拠のない主張を広めている。
YouTubeチャンネル「神の一手」は「西部地裁は大混乱」といった刺激的なタイトルの動画を配信し、支持者を煽動した。一方、支持者が法廷の壁を越えて乱入している間、このチャンネルはスタジオでのライブ配信を手掛け、後援金(スーパーキャット)を得ていた。
ユン大統領自身も支持者たちが用いる言葉や論理、さらには態度に至るまで驚くほど一致している。大統領は「不正選挙」と「反国家勢力」から韓国の民主主義を守ると宣言し、昨年12月3日夜に「非常戒厳」を宣布した。しかし、最終的には内乱および職権乱用の罪で拘束された。
大統領の拘束後、支持者たちは「不正選挙」や「左派撲滅」のスローガンを掲げてソウル西部地裁から憲法裁判所へ行進し、一部は裁判所に乱入した。建物内を破壊し、内部には血痕が残るなど暴動の痕跡が広がった。警察は暴動や警官暴行の容疑で88人を逮捕し、全員を拘束捜査する方針を示している。
ユン大統領は支持者らに対し「平和的な方法で意見を表明してほしい」と呼びかけたが、支持者が暴徒化した背景には、大統領自身の発言や態度が影響しているとの指摘が多い。
拘束直前、ユン大統領は「今回の(戒厳)事態で国民、特に若者が社会の問題点に気付いたのではないか。それだけでも満足だ」と語った。
果たして、「大統領を守る」と言う支持者の人生に「赤い線」(一生消えない汚点)がつけられるのを見ても、ユン大統領は「やりがい」というものを感じるのだろうか。
(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News
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