10年間「不動の地位」を維持…北朝鮮“影の実力者”の正体
KOREA WAVE / 2025年1月30日 19時0分
【KOREA WAVE】北朝鮮でキム・ジョンウン(金正恩)体制が発足して13年余り、北朝鮮の主要エリートの権力序列は絶えず変化してきた。権力維持のための粛清を経て「キム・ジョンウン総書記の労働党」へと世代交代が進んだ後も、問責による解任や役職の入れ替えが続いている。しかし、その中でも揺るぎない地位を維持している人物がいる。“影の実力者”とされるチョ・ヨンウォン(趙甬元)党組織書記だ。
北朝鮮は昨年12月23日から27日にかけて開かれた「年末党中央委員会総会」で大規模な人事異動を実施した。経済を総括する首相が4年4カ月ぶりにキム・ドックン(金徳訓)氏からパク・テソン(朴泰成)氏に交代。北朝鮮とロシアの関係強化を主導したチェ・ソニ(崔善姫)外相は政治局委員に昇格し、弾道ミサイル開発の主要人物の一人であるキム・ジョンシク(金正植)党軍需工業部第1副部長は党中央軍事委員会に新たに加わった。
この人事の背景には、2021年の第8回党大会で掲げられた「5カ年計画」の最終年にあたり、国防や経済など各分野の目標を達成する必要があること、さらには北朝鮮とロシアの関係格上げや米国の政治変動など、外部環境の変化に対応するための必要性があったとみられる。
しかし、チョ・ヨンウォン氏は今回の人事にも全く影響を受けなかった。
チョ・ヨンウォン氏は北朝鮮の権力中枢である党政治局常務委員、党組織書記に加え、党の中核部門である党組織指導部長、党中央軍事委員会委員など、主要な党ポストをすべて掌握しており、数年間にわたってその座を一度も離れていない。時間が経つにつれ、北朝鮮の“真の実力者”はチョ・ヨンウォン氏だという分析がますます説得力を増している。
チョ・ヨンウォン氏は他の幹部と異なり、過去10年近く一度も失脚や降格を経験していない。初めてメディアを通じて党組織指導部副部長として確認された当初から、キム総書記の「最側近」「隠れた実力者」とみなされ、2021年の第8回党大会では党の3大核心機関すべてに名を連ねるなど、急速に地位を上昇させた。その後もチョ・ヨンウォン氏の権力が揺らぐことはなかった。
これに対し、他の幹部の多くは浮き沈みを経験している。今回の年末総会で首相職を離れたキム・ドックン氏は、一時はチョ・ヨンウォン氏や名目上のナンバー2であるチェ・リョンヘ(崔竜海)最高人民会議常任委員長よりも公式行事での呼名順が前に繰り上げられるほどの影響力を持っていた。
2023年8月には黄海北道(ファンヘブクト)の干拓地堤防が決壊し、キム総書記から公開で叱責を受けたにもかかわらず、1年以上その座にとどまっていた。しかし、今回の人事で首相と政治局常務委員を解かれ、党経済部長兼党書記へと異動した。
キム・ジョンウン時代に核・ミサイル開発を主導し、軍部の実力者とみなされていたリ・ビョンチョル(李炳哲)、パク・ジョンチョン(朴正天)両氏も、解任と復帰を繰り返している。
キム・ジョンウン体制が発足から10年以上経過し、ある程度の安定期に入ったと評価される現在も、北朝鮮では解任・降格・異動を伴う頻繁な人事が続いている。これは限られた人材層の中での「回転ドア人事」とみられる。だがチョ・ヨンウォン氏はこの流れからも外れている。
一方、チョ・ヨンウォン氏の権力は「キム総書記の最側近」という立場に依存しているだけで、独自の派閥を形成しているわけではないため、その影響力には限界があるとの指摘もある。結局のところ、チョ・ヨンウォン氏もキム総書記の意向次第で、他の幹部と同様に、いつでも交代させられる可能性があるという見方も根強い。
(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News
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