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【解説】全国的にお米の品薄が続く「令和の米騒動」 原因と今後の見通しは? 香川

KSB瀬戸内海放送 / 2024年9月4日 18時10分

米の品薄続く(コラージュ)

 日本の食卓には欠かせないお米ですが、8月から「令和の米騒動」と言われるほど全国的に米の品薄状態が続いています。なぜこのような事態になったのか、そして今後の見通しについて解説します。

 お米売り場の棚が「スカスカ」。品薄のお詫びや1家族1袋までと購入を制限するポップも。岡山・香川のあちこちのスーパーやドラッグストアで8月から見られている光景です。

(松木梨菜リポート)
「こちらのスーパーではお米売り場を通常の半分ほどに縮小して販売しています。中にはアメリカ産のお米も店頭に並んでいます」

 ゆめタウン高松では品薄対策として先週、アメリカ産の米を急きょ仕入れました。この品薄の影響で、国産米は例年の1.4倍ほどの価格で販売されています。

(ゆめタウン高松/梶原雄一朗 支配人)
「お求められる需要としては高くなってます。(1家族)1袋という個数制限はさせていただいています」

 お米を購入した人はー

(米を購入)
「値段は高いかなと思って。国がある程度考えてくれてるとは思うから、米騒動みたいなことはないかなと思うんですけど。値段は上がるのかなと思う」

 大阪から帰省した家族も購入していました。

(米を購入 [大阪から帰省])
「大阪では買えないので、たまたま実家に帰っていて、これを買いに帰ってきたわけではないのですけど、新米出てくるから出てくるだろうけど値段のことも気になりますよね」

 安定的な入荷のため店が期待しているのは「新米」です。

(ゆめタウン高松/梶原雄一朗 支配人)
「われわれがこれだけほしいっていう商品の個数が展開できません。われわれが期待しているのは新米の入荷が安定してできるようになれば、改善できてくると思います」

「米騒動」の原因は?

 その「新米」の出荷に向けた準備が高松市でも進んでいました。市内の米農家、藤嶋昌平さんは9月1日、2024年の新米を初めて産直に出荷したところ……。

(米農家/藤嶋昌平さん)
「1時間ぐらいで完売してしまったというところがあります。産直では例年の1.5倍の価格で販売したということです。

 藤嶋さんが出荷の準備をしていた施設、農家が収穫した米の乾燥や精米などを請け負っている高松市多肥上町の「前川ファーム」です。

 請け負いだけではなく、自社でも合わせて15haの田んぼで年間50tの米を生産。

 農薬の代わりにお酢をまいて害虫をつきにくくするなどこだわりの栽培方法で、香川県内の飲食店やホテルなどに出荷しています。

(松木梨菜リポート)
「前川さんの田んぼでは、10月に収穫予定の稲を育てています。台風の影響を受けることなく順調に育っているということです」

 前川ファームでも2024年はお米の注文が2023年の1.5倍あるといいます。前川さんは需要が高まっている要因をこう分析します。

(前川ファーム/前川善紀さん)
「やはり1番は農家の減少。昨今お米の価格が下がってましたので、それでどうしても離農せざるを得ない高齢者の農家さんがいらっしゃったと思うんで、全体的な米の生産量は減る方にいっているんじゃないか。コロナが明けてインバウンドも来られたりしているので消費量は上がっているので、その供給と需要の差が米騒動の原因になっているんじゃないかなと」

 農林水産省が発表した2023年7月から2024年6月までの1年間の主食用の米の需要量は速報値で702万t。前の年よりも11万t増え、10年ぶりに増加に転じました。

 インバウンドの需要が増えたことやパンや麺類に比べて値上がりが緩やかだったため消費が伸びたことが要因とみられます。

 この需要の増加の一方、2023年夏に猛暑と雨が少なかった影響で全国的に供給量が少なかったところ、8月、南海トラフ地震の臨時情報が出されたことによる消費者の「買いだめ」行動が品薄に拍車をかけたとみられます。

「備蓄米の放出」国は否定的

 今回のように需要と供給のバランスが崩れて米が品薄となった場合に備え、政府が保管しているのが「政府備蓄米」です。

 常に100万tほど備蓄しているんですが、国は現時点ではこの放出に否定的な姿勢を示しています。

(坂本哲志 農林水産大臣)
「消費者の皆さまにおかれましては必要な量だけお米をお買い求めいただくなど、落ち着いた購買行動をお願いします」

 8月26日、大阪府の吉村知事が備蓄米を流通させるよう国に要望したことを受け、呼び掛けたものです。

 坂本農水大臣は備蓄米の放出について、「米の需給や価格に影響を与える恐れがあるため慎重に考えるべき」として現時点では否定的です。今、備蓄米を放出するとなると、新米の流通時期と重なることになります。

品薄解消後も高値が続くか

 香川県の農業生産流通課では県内に新米が流通する10月以降、品薄は回復するとみています。

(香川県農業生産流通課/岩井正直さん)
「8月の南海トラフ(臨時情報)の関係が発端かもしれませんが、9月に入って(新米が)若干動いてきております。この9月いっぱいまでは少ないかなと思われるかもしれませんが、安定的になるのは10月入って以降だと思います」

 そして気になる価格ですが、取材した小売店などによると、新米が入って品薄状態が解消されても例年の1.2倍ぐらいの価格で推移し、2024年度いっぱいは高値が続きそうだとみています。

 売り場に米がないのを見ると不安になって余分に買っておこうという消費者心理が品薄の「連鎖」を生んでしまいますので、私たちには落ち着いた行動が求められます。

 一方で、高齢化が進んで米農家が減少傾向にある中、今後、生産量をどう維持していくのかを含め、今回の品薄をきっかけに日本の米政策の見直しも必要だと感じました。

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