【衆院選2024】岡山県では小選挙区が5→4に再編 区割り変更で投票に影響は?【解説】
KSB瀬戸内海放送 / 2024年10月16日 19時10分
15日公示された衆院選は一票の格差を是正するために全国で小選挙区の数を「10増10減」して行われます。岡山県でも小選挙区が1つ減り区割りも変更されましたが、有権者に浸透しているとは言い難い状況です。
また政治学の専門家は「区割り変更」が投票行動に影響する可能性を指摘しています。
2022年12月に施行された「改正公職選挙法」。
一票の格差を是正するために小選挙区が「10増10減」されました。これによって岡山県では5つの選挙区が4つに再編されました。
これまで「岡山3区」だった赤磐市や備前市などは新しい1区に。岡山5区だった自治体の多くは新しい3区に組み込まれました。
岡山県の有権者数でみると、前回・2021年の衆院選の当日有権者は、最も多い「旧岡山4区」と最も少ない「旧岡山5区」では12万人ほど差がありましたが、今回は14日の時点で最も多い「新岡山2区」と最も少ない「新岡山1区」の差が9万人弱となりました。
【有権者数】
2021年=旧岡山1区:36万4162人、旧岡山2区:28万9071人、旧岡山3区:27万568人、旧岡山4区:38万1828人、旧岡山5区:26万2936人
2024年=新岡山1区:32万5346人、新岡山2区:41万1170人、新岡山3区:39万7294人、新岡山4区:40万2135人
今回の改定について政治学の専門家は、地方の声が届きづらくなるのでは、と懸念しています。
(岡山商科大学 法学部/田中将人 准教授)
「一票の格差の是正は必要なんだけれども、都市部と田舎では田舎の方が苦しい状況が置かれることが多いわけですよね。政治家が減ってしまうので自分たちの声が少し反映されづらくなるわけですよね」
区割り変更で“境界”を整理
今回の区割り変更に合わせて、岡山県ではその境界が整理されました。前回までは岡山市の北区・南区・東区と倉敷市、真庭市、吉備中央町はそれぞれ複数の選挙区にまたがっていました。
これが新しい区割りでは岡山市の各区や自治体ごとに区割りが整理されました。
このうち岡山市を見てみると区ごとに振り分けられて一見、わかりやすくなったようにみえます。
その反面、同じ「地名」なのに選挙区が違う……という状況も生まれています。その一つが「西市」です。
以前の区割りで西市は「岡山1区」でしたが、今回から「1区」と「2区」に分かれています。
岡山市によると、これは小学校区などを参考に区の境界を決めたためだということです。
区割り変更によって南区西市の有権者は選挙区が1区から2区に変わりましたが、まだ浸透はしていないようです。
(『南区』西市在住の有権者は―)
「知らないです。あんまり詳しくはないんですけど、地域が活性化できたりしていけたらいいなと思います」
「知らないです。事前にこの人に入れようと思って(投票所に)行ったのにその人がいないみたいになっちゃうと、適当にじゃあもう誰でもいいかってこの人でって感じで入れちゃってってことになりそうって思います」
(岡山市選挙管理委員会事務局/長谷川隆英 参事)
「記載台のところには候補者の一覧表が張り出されるわけですけど、そこで見て初めて『あれ?』ということはあるかもしれないですね。そういうことがないように周知をしていきたいと思っています」
「投票所入場券」にチラシを同封して周知
混乱を防ぐため岡山市は「区割り変更」の周知に取り組んでいます。
これまでもホームページなどで情報発信していましたが、今回は「投票所入場券」の発送に合わせて区割り変更を知らせるチラシを同封することにしました。
しかし、今回は準備期間が短く「投票所入場券」とチラシはようやく公示日の15日発送できました。数日以内に届くということです。
専門家「投票行動に影響する可能性」
今回の区割り変更では、これまでとは違う小選挙区となったエリアが多くあります。
専門家は、今回の区割り変更が有権者の投票行動に影響する可能性があると考えています。
(岡山商科大学 法学部/田中将人 准教授)
「従来の候補者の人が代わる可能性が出てくるわけですよね。有権者によっては支持を変えるのがあるかもしれません。政党支持が強い人は区割りが変わっても政党の方で判断するということなので。政党ではなく個人の人だから投票していたという人は(投票行動を)改める可能性が高まってくるという感じですね」
最も影響があるのは「積極的な無党派層」
田中准教授は、有権者のタイプは「政党支持」「個人支持」、そして「無党派層」に分かれるとしています。
このうち「政党支持」の人は区割り変更が投票行動にはあまり影響しないとみていますが、「個人支持」は影響する可能性があるということです。
さらに田中准教授が最も大きな影響があると考えているのが、「無党派層」の中の『積極的な無党派層』。「無党派層」は政治への関心が高くなく投票にもあまり行かない「消極的タイプ」と、知識や意欲がある「積極的タイプ」に分けられるそうです。
この「積極的タイプ」は区割り変更で候補者の顔ぶれが変われば情報を更新するため、投票行動が変わる可能性が高いとみています。では今回の衆院選、投票率について田中准教授はどうみているのでしょうか。
(岡山商科大学 法学部/田中将人 准教授)
「(区割り変更が)そこまで投票率によくも悪くも影響を及ぼすことは薄いのではないかなと思います。投票率っていうのは明確な争点があるかどうかが重要なんですね。政権交代が起きそうであるとか、そうした見込みがあると普段投票に行かなかった人も投票に行ってみようとなりやすい」
岡山では知事選と同じ日に投開票だが…
岡山・香川の衆院選の投票率の推移です。
政権交代が起きた2009年の衆院選では岡山・香川ともに投票率が70%前後となりましたが、その後は下降……岡山県ではここ3回、50%ほどに留まっています。
(松木梨菜アナウンサー)
「では、今回は?」
(岡山商科大学 法学部/田中将人 准教授)
「今回はそこまで風が吹く感じでは今のところないので、従来ぐらいの投票率になるのではないか」
今回の衆院選、岡山県では知事選挙と同じ日に行われます。
田中准教授は「ダブル選となっても投票率には大きく影響しない」とみています。
衆院選・岡山県知事選は10月27日投開票です。
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