1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ

高潮で全損のフェラーリ51台… 海水を浴びた新車のフェラーリはその後どうなる?

くるまのニュース / 2018年9月11日 6時30分

神戸市にあるフェラーリ正規ディーラーでは台風21号による高潮の影響で、51台ものフェラーリが海水につかり全損となってしまいました。全損となった51台のフェラーリは今後、どのような扱いとなるのでしょうか。

■フェラーリ51台全損のフェラーリ正規ディーラーはどんな場所に

 2018年8月28日に発生した台風21号は、9月4日に「非常に強い」勢力のまま日本に上陸し、近畿・北陸地方を中心に60箇所で観測史上最大の最大瞬間風速を記録。大阪湾周辺では記録的な高潮も発生し、関西国際空港をはじめ多くの場所が冠水しました。

 神戸地方気象台の発表によると、高潮警報は9月4日午前2時50分、同午前6時23分、同9時28分と合計3回、発表され注意を呼び掛けていましたが、神戸市にあるフェラーリ正規ディーラーでは51台ものフェラーリが海水につかり全損となってしまいました。全損となった51台のフェラーリは、事前に避難させることはできなかったのでしょうか。また今後、その車両はどのような扱いとなるのでしょうか。

 高潮の被害を受けたフェラーリ正規ディーラー「オート・カヴァリーノ」は神戸にある人工島「六甲アイランド」の北東側にあります。阪神高速の「六甲アイランド北」ランプのすぐ近くで、入り組んだ湾の奥に位置しており、周辺の倉庫や店舗なども約30本のコンテナが海に流出したり、冠水した車両十数台から火災が発生したり、甚大な被害を受けました。4日午後3時半頃には神戸市災害警戒本部より、六甲アイランド全域に避難指示(緊急)が発令されましたが、この時間帯にはすでに海水がかなりの高さまで侵入していたと思われます。

 なお、同じ六甲アイランドの中にある「ポルシェセンター神戸 六甲アイランド認定中古車センター」に聞いてみたところ「高潮の被害は全くありませんでした。事前に車を移動させることもやっていません」とのことでした。フェラーリ51台もアイランドの中央部にまで移動していれば、このような甚大な被害にはならなかったかもしれません。

■「全損」となったフェラーリ51台、本当に全く使えない?

 被害の概要としては、ディーラーに置いてあった53台のうち51台が高潮によって「全損」の扱いとなるようです。残り2台は修理などでリフトの上にあって難を免れたということです。ディーラーの公式サイトによると、新車で扱っているリストには以下の車がラインナップされていました。

・812 Superfast
・GTC4Lusso
・488 GTB
・488 Spider
・GTC4Lusso T
・488 Pista
・Portofino

 今回、塩水を被ってしまったフェラーリたち、1台平均3000万円としてみても51台ともなると、被害額は十数億円にも達します。これらの車両は全く使えないのでしょうか? フェラーリのメカニック歴20年以上、自らもV8からV12まで一通りフェラーリを乗り継いで、現在はフェラーリやランボルギーニなどのスーパーカーを扱う、ガラ・オートモーティブ株式会社(静岡県静岡市)の営業主任を務める伊藤隆利氏に聞いてみました。

フェラーリ 488 Spider

――フェラーリ51台が高潮で全損というニュースをご覧になった時、どう思われましたか?

 大変驚きました。過去、国内において正規ディーラーがフェラーリを高潮や火災、なんらかの天災により全損させるような事があったという記憶がないからです。

――実際、高潮(=海水)では、ホントに全損になりますか? パネルごとに洗浄すれば使えることもありますか?

 高潮で1mくらいの水没と出ていましたので全損だと思います。フェラーリに限らずですがスーパーカーは非常に車高を低く設計しているので1mの水位なら半分以上は水没することになります。塩害によってCPU(コンピューター)や内装の革製品などはすべてダメになります。長い時間、海水に浸かってしまうことでエンジン内部にも海水が侵入しますので内部はすぐに錆が発生します。こちらもダメですね。パネルごとに洗浄もほとんど難しいと思います。

――正規ディーラーではフェラーリにはどんな保険が掛けられているのでしょうか? 今回の高潮被害によって、51台分の保険は全額支払われるのでしょうか?

 ディーラーごとに保険の掛け方は違うと思います。所有車両全車に満額の保険を掛けることは大変な金額になるため、車両ごとに保険をかけてはいないと思います。そのあたりは詳しいことがわかりません。51台の中には、新車納車待ち、展示車、ユーズドカーや、お客様からの修理預かり、またフェラーリジャパンからの預かり宣伝車両(488 Pista)などがあるようですので、車両ごとの対応をすることになると思います。

 修理預かりなどで入庫中の車であれば、お客様が加入している保険を使わせていただくなどの方法を選択せざる得ないことも考えられます。いずれにしても、おそらくですが、51台分全額保険支払いは難しいと思います。

■海水を浴びたフェラーリを修理して乗ることは可能か?

高潮被害を受けた後のフェラーリ正規ディーラー「オート・カヴァリーノ」の様子(※撮影:加藤博人)

――もし、保険適用となった場合、これらのフェラーリはどのような扱いを受けますか?

 仮にも保険会社から全額支払いを受けられる場合には保険会社が車両を引き上げる形になると思います。保険会社も採算を考えますので保険会社の下請け関連会社に売却されると思います。解体して部品取りになったり、海外に輸出されたあとフルレストアしたりなども考えられます。保険会社の手に渡った以上、正規ディーラーは一切関与しません。やはりブランドバリュー命ですので。

――海水を浴びたフェラーリを、修理して乗るとしたらそれは可能ですか?

 修理は可能ですが、時間と費用がかかりすぎて、通常に購入したほうが安心安全です。修理金額は車種によって様々ですので一概にはいえません。海外に出ると、水没車両も修理して売る業者がたくさん存在するのも確かです。できる限り安く修理して売る。そんな車両を水没車として理解した上で買うユーザーもいます。

※ ※ ※

 高潮被害を受けた3日後の9月7日に現地を訪れてみました。しかし、すでにフェラーリは大方、移動されたようで、残っていたのはサーキットで大破したと思われるフェラーリ458チャレンジのみでした。不動のフェラーリ51台は、すでに別の場所に移されたようです。

 最初の高潮警報が出てから実際に海水が侵入するまで10時間近くはあったようなので、その間に安全な場所に移動していれば……。こんな被害にはならなかったかもしれません。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください