激レアだけじゃなくロングセラーも 初代のみで消えたクルマ5選
くるまのニュース / 2018年12月26日 6時20分
初代が発売され、フルモデルチェンジすることなく販売を終えてしまうクルマがあります。最初から1代限りの限定車として販売されたものもあれば、決して短命ではなかったクルマも存在します。今回は、そんな1代限りで消えてしまった国産車5車種を紹介する記事の第2弾になります。
■初代のみで消えてしまったクルマたち
クルマはいうまでもなく商品です。商品の魅力は発売してから年月が経つと薄れていくことが普通です。したがって、定期的に改良を行なったり、フルモデルチェンジして魅力の刷新を狙います。
その一方で初代が発売され、フルモデルチェンジすることなく販売を終えてしまうクルマがあります。1代限りとはいえ、決して短命ではなかったクルマも存在します。
今回は、そんな1代限りで消えてしまった国産車5車種を紹介する記事の第2弾になります。激レアなものから、ロングセラーだったものまでピックアップしました。
●三菱「ピスタチオ」
販売台数はたったの50台という激レアな「ピスタチオ」
三菱「ピスタチオ」というクルマをご存知の方は相当なクルママニアではないでしょうか。なぜなら「ピスタチオ」はわずか50台限定で、しかも、先駆的に環境保全に取り組んでいる自治体や公益企業などの法人で使われることが前提で販売されたモデルですから。
1999年12月に「ピスタチオ」は発売されました。当時世界最小となる直列4気筒1.1リッターの直噴エンジン(ガソリンを直接シリンダー内に噴射)を搭載し、ASG:オートマチックストップ&ゴー(アイドリングストップシステム) が採用され、ラインナップは5MTの1車種のみで燃費は30km/L(10・15モード)を達成しています。
30km/Lという燃費は純ガソリン車で世界初の快挙でした。
前述の通り、法人向けのクルマということもあり、中古車市場でもまず出回らない超希少車です。新車の販売価格は95万9000円と安いですが、装備も非常に簡素でした。
大量生産しなかった理由としては、三菱としても低燃費技術のスタディモデルだったのではないでしょうか。当然、フルモデルチェンジなどありえず、1代で販売を終えています。
■2列6人乗りやデザインで勝負したクルマ
●ホンダ「エディックス」
斬新な企画で作られたものの販売は成功とは行かなかった「エディックス」
かつて、日産「セドリック/グロリア」やトヨタ「クラウン」などのセダン、ワゴンにおいて、フロントシートが左右一体となったベンチシートを採用し、前に3人並んで座れ、乗車定員が6人乗りできた時代がありました。
いまもトラックやバンにもフロントに3人乗れるクルマがありますが、乗用車ではなくなってしまいました。
しかし、かつてフロントに3人乗れて、しかも6つの独立したシートを持つクルマがありました。それが2004年に発売されたホンダ「エディックス」です。
「エディックス」は「シビック」のシャシをベースに全幅を1795mmまで広げたワゴンタイプのクルマです。前に3つ、後ろに3つの独立したシートを備え、6名乗車として、3列シートのミニバンよりもコンパクトに収めているのがアピールポイントでした。
しかし、使い勝手においてミニバンほどよくなく、販売は低迷。実際に大人6人が乗るのは、体格にもよりますが決して快適とはいえませんでした。
2度ほどマイナーチェンジはしたものの、発売から5年で販売は終了となります。ちなみ、同様なシートレイアウトでフィアット「ムルティプラ」がありましたが、奇しくもこちらも1代限りでした(車名は往年のモデルで使われていたもの)。
●スバル「R1」
デザインの評価は高かったもののニーズがなくなってしまった「R1」
スバル「360」という名車中の名車がありましたが、その後継車として1969年に「R-2」というモデルが販売されていました。そこから30年ほどの歳月を経た2003年に、4ドア・ハッチバックタイプの軽自動車、スバル「R2」が車名を踏襲するカタチで発売されました。
その派生モデルとして、今回紹介する2ドアハッチバックの「R1」が2005年に発売されます。基本的な部分は「R2」と共通していますが、「R1」は2+2のシートレイアウトとしており、リアシートの居住性を犠牲にして外観のデザインを優先したパーソナルクーペとなっています。
内装のデザインも「R2」に準じていましたが、色使いがポップなイメージを採用したり、素材も本革が用意されるなどと、スペシャリティカーの要素が取り入れられていました。
しかし、軽自動車はトールワゴンや、スライドドアのハイトワゴンにニーズが集中していったため、「R1」は「R2」共々、フルモデルチェンジすることなく2010年に販売を終了。
同時にスバルは軽乗用車の生産から撤退し、2012年には「サンバー」の生産を終了することで、軽自動車の生産を完全に終了することになります。
■輸入車に対抗できる質感が売りだったコンパクト
●マツダ「ベリーサ」
コンパクトカーでありながら、高級車のようなおもむきを目指したクルマがマツダ「ベリーサ」です。「ベリーサ」は2004年に「デミオ」のシャシベースにして開発・販売されました。
外観はデミオより少し大きく、シックなイメージとしていました。エンジンやサスペンション形式は「デミオ」と共通ですが、静粛性や乗り心地は向上させ、走りの質をアップさせています。
また、内装のデザインや色使いもデミオよりも質感を向上させており、本革シートも選べました。
「小さな高級車」というと当時は国内のライバルも少なく、「ベリーサ」はロングセラーになります。2007年に「デミオ」がフルモデルチェンジしてシャシが一新されますが、「ベリーサ」はそのままのシャシで販売されました。
結局、「ベリーサ」は2015年まで改良を繰り返すもフルモデルチェンジすることなく、11年間もの長きに渡って販売されました。
●スズキ「キザシ」
警察車両として名を馳せることになった「キザシ」
三菱「ピスタチオ」ほどではありませんが、スズキ「キザシ」もかなりレアなクルマです。ところが、後述しますが意外なことで有名なクルマでもあります。
「キザシ」は2.4リッターのエンジンを搭載した4ドアセダンで、北米、欧州、中国などでも販売されたグローバルカーです。同時にスズキのフラッグシップカーでした。
ボディサイズは全幅が1820mmあり、3ナンバー専用車でした。ハンドリングは欧州・北米で走行テストを重ね、スポーティな走りと、快適な乗り心地の両立を目指して開発されています。
日本での販売は低迷していましたが、「キザシ」が話題となったのは警察車両に採用されたということです。白黒のパトカーのみならず、捜査車両として「覆面パトカー」として警察庁、警視庁に納入されました。
街を走るクルマに溶け込み目立ってはいけない「覆面パトカー」のはずですが、レアな「キザシ」では逆に目立ってしまうという矛盾がありました。
2009年に発売された「キザシ」は2015年に販売を終了。海外でもフルモデルチェンジすることなく2016年には販売を終了しています。
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