なぜ今なのか? トヨタが新車定額サービスという一手を打つ理由
くるまのニュース / 2019年2月22日 7時10分
トヨタが新たに展開をスタートした『KINTO(きんと)』。巷で話題となっている「サブスクリプション」と呼ばれるサービスです。その実態とはどのようなものなのでしょうか。
■トヨタの新たな一手「KINTO」は、自動車産業の巨大な変化によって誕生?
トヨタは、2019年2月上旬に新しいクルマの使い方『KINTO(きんと)』のサービス開始を発表。名前の由来は、あの孫悟空が乗る「きんと雲」となり、“いつでも気軽に移動できる”という意味を込めて、トヨタの豊田章男社長が命名しています。
「KINTO」は、月々定額制でさまざまなクルマが乗り換え自由になるプログラムです。月々定額で支払うというと、ローンやリースがあります。一方、「KINTO」では頭金なしで、各種諸費用や税金と任意保険を込みにしているのが特徴。つまり、レンタカーよりもお得なのです。
今回、発表されたプランは2つあります。ひとつは、トヨタが販売するクルマから1台を3年間使う「KINTO ONE」。もうひとつは、3年間で6台のレクサスを自由に乗り換えられる「KINTO SELECT」です。
約6ケ月で次のレクサスに乗り換え可能で、もし気に入れば同じレクサスを3年間で何度も使え、「KINTO SELECT」の料金は、3年契約で月々19万4400円(税込み)となります。
これまでのクルマの使い方とはまったく違う「KINTO」。トヨタはなぜ、このタイミングで新しいサービスを導入したのでしょうか。その背景には、自動車産業の巨大な変化があるようです。
「KINTO」のような、定額制支払いのサービスは一般的に、サブスクリプションモデルと呼ばれます。経済系メディアでは、『サブスク』と短縮した表現をする場合もあります。
サブスクリプションモデルは、スマホの音楽配信や動画配信などで普及しました。最近では、東京のフランス料理店でも、確実にリピーターを獲得できるとして導入するなど、さまざまな分野のサブスク化が進んでいます。
一方、“移動すること”についても、シェアリングが普及し、日本ではタイムズのカーシェアなどがよく知られています。
中国では、上海や北京などの大都市で自転車シェアリングが爆発的に拡大しましたが、過大な供給で需要がだぶつき、自動車シェアリング業者の倒産が相次いでいるのです。
また、アメリカ西海岸では電動キックスクーターのシェアリングが一気に普及し、歩行者との間でトラブルが多発するなどの社会問題に発展。こうした新しいサービスが、自動車販売に大きな変化をもたらしています。
■自動車業界の変換期、先駆者「ダイムラー」に対する「トヨタ」の戦略とは
最初に時代の変化に対応したのが、「メルセデス・ベンツ」ブランドを展開するドイツのダイムラーです。ダイムラーは2016年後半から、「CASE(ケース)」というマーケティング用語を使って、自動車産業が直面する変化への対応を始めました。
「CASE」とは、『コネクテッド(通信でつながる)』、『オートノーマス(自動運転)』、『シェアリング』、そして『エレクトリフィケーション(電動化)』の頭文字を並べた造語です。この「CASE戦略」の一環として、ダイムラーは2018年初頭からドイツ国内の一部ディーラーで、サブスクリプションモデルの実証試験を始めました。
その内容を見た自動車メーカー各社の関係者は腰をぬかすほど、驚きました。なんと、メルセデス・ベンツの全モデルを、最短1ケ月で乗り換えられるというものだったのです。
こうしたダイムラーの大胆な戦略に対して、欧米、そして日本の自動車メーカーが対抗策を考案するのは当然だといえます。今回トヨタが発表した、レクサス乗り換えサービスの「KINTO SELECT」は、まさにそれに該当します。
「KINTO SELECT」で乗れるレクサス「ES」
「KINTO」が導入されることで、これまで行ってきた新車や中古車の販売やリースにどのような影響が出るのでしょうか。
頭金なし、税金から保険まで込みの「KINTO」は、ユーザーにとって魅力的なサービス商品。いまのところ、「KINTO ONE」と「KINTO SELECT」の2つのプランだけですが、他社も同様のサービスを本格導入するのは明らかで、そうなると価格競争が始まり、ユーザーにとってのメリットはどんどん上がるのです。
しかし、新車の乗り換えを短期に行うと、大量の中古車が生み出され、新車は最初の車検有効期限となる3年目まで、車種にもよりますが下取り価格は新車の半値程度まで落ちます。
そうした程度の良い中古車が市場に溢れれば、新車が売れなくなるかもしれません。そうなれば、一番困るのは自動車販売店です。
今回の「KINTO」導入について、トヨタ本社は全国のトヨタディーラーに対して少なくとも2年間に渡って説得してきました。これはトヨタの国内営業幹部が2018年11月の記者会見で明らかにしています。
また、この記者会見では、トヨタの全店舗全車種併売への移行についても発表されました。つまり、どのトヨタでも同じクルマが買えるというものです。
現在、トヨタのお店は、レクサスを除いて、「トヨタ店」、「トヨペット店」、「カローラ店」、「ネッツ店」の4系統あります。
これら4系統を事実上、廃止することになったのです。手始めに、2019年4月1日から東京地区では4系統の名称が廃止され、トヨタとして統一。また、東京地区以外では2022年から2025年にかけて、各地域の販売会社の判断で販売網の再編を行うのです。
1960年から1970年代の経済高度成長期を契機に、拡大路線を歩んできた自動車販売業。『若者のクルマ離れ』、『サブスク』、そして『シェアリング』など時代の変化を受けて、クルマの売り方・買い方がいま、大きく変わろうとしているなかで、「KINTO」は、そうした巨大な時代変化の氷山の一角に過ぎないのです。
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