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発売目前のトヨタ「スープラ」は規格外? 17年ぶり復活でトヨタ車基準から外れた理由とは

くるまのニュース / 2019年4月26日 10時30分

17年ぶりに復活を果たすトヨタの新型「スープラ」。多くの注目を集めているなかで、開発背景に関するいくつかの謎が存在します。あらゆる面で、従来のトヨタ車基準から外れた理由とはなんなのでしょうか。

■謎多き新型「スープラ」はトヨタの規格外モデルだった

 2019年のクルマ業界において、多くの注目を集めている車種はトヨタの新型「スープラ」です。17年ぶりに復活して同年5月中にも日本仕様が正式発表される見込みですが、いろいろと謎が多いクルマでもあります。

 トヨタ渾身のピュアスポーツカー「スープラ」は、どのような経緯で誕生したのでしょうか。

 新型「スープラ」は、日本においては3世代目、日本では「セリカXX(ダブルエックス)」として販売していた時代(北米向けは当初から「スープラ」だった)までカウントすると5世代目のモデルです。

 今回は、トヨタ単独ではなくBMWと共同で開発され、エンジンやシャシーなどのメカニズムはBMW「Z4」と共用されているのが新型「スープラ」の特徴のひとつ。

 生産は、オーストリアの自動車製造会社であるマグナ・シュタイヤー社が担当して日本へは輸入車として導入されることになっていて、正規の日本仕様でもウインカーレバーは左側に備わります。

 新型「スープラ」は、トヨタのスポーツブランド「GR」初となるモデルでもあり、他の新型モデルとはいろいろと異なる点があるのです。

 自動車メーカー各社は新型車の開発にあたり、さまざまな独自の規定を設けています。もちろんトヨタにも厳格なルールが存在します。

 しかし、従来のトヨタ車とは異なる育ちの新型「スープラ」については、「トヨタ基準から外れている部分もある」といい、開発責任者を務める多田哲也氏は次のように説明しています。

――トヨタ基準から外れた新型「スープラ」の開発について

 今回の「スープラ」は、ターンインからコーナリング中、立ち上がりまで、とにかく“ニュートラル”を目指して、開発も一貫してやっています。

 ボディ剛性に関しては、乗降性などトヨタには厳格なルールが存在するため、通常の市販車開発では外形サイズに対して室内空間を大きく取ろうとして、曲がりくねった複雑な骨格構成となります。しかし、「スープラ」はシンプルな構造で剛性が一番高くなるように、そのような条件をすべて無視して作っています。

 重心高についても、「スープラ」は最低地上高もぎりぎりまで削っています。トヨタ車の平均は140mmくらいですが、世界のスポーツカーを見ると100mmくらいが普通になっていることもあり、今回はコンビニに行っても困らないくらいには下がっています。

※ ※ ※

 新型「スープラ」は、発売前の公道テストでは走行面だけでなく日本のリアルワールドでコンビニやファミレスなどの段差や輪留めも積極的にあちこちの場所で確認しているようです。

 また、昨今「走りを楽しむのはMT」というのはスポーツカーにおいても過去のものとなっています。世界的にも日産「GT-R」のように2ペダルトランスミッションしか備えないスポーツカーが増えているなか、新型「スープラ」にMTが用意されないのも時代の流れといえます。

 しかし、なぜ新型「スープラ」は、DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)ではなくATを組み合わせるのでしょうか。本格スポーツモデルは、ATではなくより高効率で変速も鋭いDCTというのが一般的な認識です。

 前出の多田氏は、「ここ数年でATも急速に進化し、今どきのATは変速も鋭く、伝達効率も高い。DCTに引けを取らないほどです。そしてなにより、ATはDCTよりも軽い。だからATを選びました。トヨタのスポーツATの技術も入り、鋭い変速を実現しています」といいます。

■クルマ好き待望のMT仕様は登場する?

 新型「スープラ」には、ZF製8速ATが搭載されています。しかし、クルマ好きはMT車の登場に期待したいものです。現時点では、新型に用意されない見込みですが、BMWには同じエンジンにMTを組み合わせている「M240i」が存在するので新型「スープラ」へ搭載するのも不可能ではありません。

 MTについて多田氏は「そういった声が多いのは知っています。でも、まずはATに乗ってみてください。気持ちよく走れますから」という一方で「MTの試作車にも乗った」とすでにMTのテスト車両があることも口にしています。また「新型スープラは毎年バージョンアップしていく」とも明言。

 結論としては、デビュー時にはラインナップされないが追って用意される可能性もゼロではない、というところでしょう。

新型「スープラ」はZF製8速ATを搭載

 新型「スープラ」には、パワートレインにおいてもスープラの歴史上はじめてのことが起きています。先代までの「スープラ」は伝統ともいえる6気筒エンジンだけを積んでいました。しかし、今回は4気筒エンジン仕様も用意されているのです。

 この4気筒仕様は、6気筒モデルよりも低価格(6気筒の「RZ」が690万円なのに対し4気筒モデルは490万円から590万円)で販売されます。

 仕様の違いについて多田氏は次のように話します。

「4気筒モデルを廉価仕様だと思って欲しくない。4気筒モデルには4気筒モデルの走りの良さがあり、具体的にいえば重量。前後重量配分50:50を実現しているのは6気筒ではなく4気筒モデルで、フロントが軽いからハンドリングが優れている。

 下りの峠道では4気筒のほうが楽しく、スープラを育てたテストドライバー自身もプライベートではあえて4気筒モデルを購入したほどだ」といいます。

 一方の6気筒モデルの長所は、絶対的なパワーに加えて音やフィーリングといった官能性です。

 また、新型「スープラ」の4気筒エンジンは排気量2リッターのターボ仕様ですが、「SZグレード」に搭載する197ps/320Nmのベーシック版と「SZ-Rグレード」に積む258ps/400Nmの高出力版の2種類があります(6気筒エンジンは排気量3.0Lで340ps/51.0Nm)。両エンジンの違いはどこでしょうか。
 
 基本設計は、どちらも共通で異なるのは味付けですが、197ps仕様は圧縮比を11.0としているのに対し、258ps仕様は圧縮比を10.2へと下げるとともに、ターボの過給圧を高めて『よりターボが働く』設定とし、最大トルク発生回転域が上昇するなどわずかながら高回転寄りの特性となっているのもポイント。

 これらの従来のトヨタ車や歴代「スープラ」と異なる開発背景をもつ、新型「スープラ」はあらゆる意味で、トヨタの本気度合いが見られる渾身のモデルといえるのです。

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