1.5リッタークラスがアツかった! 1980年代のスポーツコンパクト5選
くるまのニュース / 2019年5月20日 6時10分
2リッターエンジン搭載車は贅沢なクルマ、それ以下はファミリーカーという昭和の時代。1.5リッターエンジンをターボなどでパワーアップし、スポーティな走りを実現するクルマが数多く登場しました。そこで懐かしの1.5リッター以下のスポーティカーを紹介します。
■1980年代に1.5リッター以下のクルマが人気に
1960年代から1970年代の「マイカーブーム」でクルマの本格的な普及がはじまり、経済の成長に合わせるかのようにエンジンの排気量やボディサイズも大きくなっていきました。
「隣のクルマが小さく見えます」という他車を挑発するような広告もありましたが、1970年代半ばでも2リッターエンジン搭載車は贅沢なクルマで、ファミリーカー市場は1.6リッター以下が人気でした。
なかでも自動車税が安いことや、車重1トン未満が多く、車検時の重量税も安い1.5リッター以下のクルマが人気となり、各自動車メーカーも力を入れていましたが、1980年代になるとこのクラスでもパワー競争が始まり、同時にスポーティで個性的なクルマも登場しました。
そこで、1980年代の1.5リッタークラスで人気だったスポーティカーを5車種ピックアップして紹介します。
●三菱「ミラージュIIターボ」
三菱のターボフルラインナップの一翼を担った「ミラージュIIターボ」
1978年に三菱初のFF車としてデビューした「ミラージュ」は、コンパクトなボディの3ドアハッチバック(後に5ドアや4ドアセダンもラインナップ)です。
搭載するエンジンは1.4リッターと1.2リッターの2種類で、1979年には1.6リッターエンジンを搭載するスポーティな「1600GT」を追加し、スタイリッシュなデザインと取り回しの良さで人気となりました。
しかし、同年にトヨタ「カローラ」や日産「サニー」、マツダ「ファミリア」などライバル車が1.5リッターエンジンをラインナップ。
同クラス車が相次いで1.5リッター化されたことを受け、1982年のマイナーチェンジ時に、クラス初のターボチャージャーを装着したエンジンを搭載する「ミラージュIIターボ」を追加します。
1.4リッターでありながら105馬力を発揮し、派手なボンネットのデカールで速さをアピール。ターボエンジンが珍しい存在だったことで一躍人気車種に返り咲き、1983年に2代目ミラージュが登場するまで販売されました。
●日産「パルサーEXAターボ」
『隠しライト』がスポーツカーの証だったころの「パルサーEXAターボ」
日産「パルサー」は、1978年に「チェリーF-II」の後継車として登場しました。日産の世界戦略車ということでヨーロッパを中心に人気となります。
1982年のモデルチェンジ時より、エンジンは1.5リッターが主力となり、角型2灯式のリトラクタブルヘッドライトを持つスポーティな2ドアノッチバッククーペスタイルの「パルサーEXA」がデビュー。
1.5リッター4気筒自然吸気の「E15E型」エンジン搭載車でも同クラス内では十分に俊足でしたが、1983年のマイナーチェンジで「サニー ターボLEPRIX(ルプリ)」の「E15ET型」ターボエンジンをパルサーEXAにも搭載。日本初のドアミラー採用車となる「パルサーEXAターボ」が発売されました。
115馬力を発揮し、スポーティなスタイルと相まって、1.5リッターながらスペシャルティカーの雰囲気を持つクルマとなっていました。
●いすゞ「ジェミニ イルムシャー」
ブランドコラボ戦略が大成功した「ジェミニ イルムシャー」
1974年に「ベレット」の後継車としてデビューした「ジェミニ」は、1.6リッターエンジンを搭載するFR駆動の4ドアセダンと2ドアクーペでした。
1985年のモデルチェンジでFF化され、1.5リッターエンジン搭載車を主力商品とした4ドアセダンと3ドアハッチバックの構成になります。「街の遊撃手」のキャッチコピーとともに、パリの市街地などをスタントチームがジェミニで走り回るTVコマーシャルが有名です。
先代のスポーツグレード「ジェミニZZ」が併売されていたことから、発売当初はスポーティさを前面に出すことはありませんでした。
しかし市場では1983年に登場した4代目「カローラレビン」や、1.6リッターターボの2代目「ミラージュ」、1984年に追加された1.6リッターDOHCエンジンの「CR-X Si」などが登場し人気を集めており、少し遅れた感もありながらも、86年に1.5リッターインタークーラーターボエンジンを搭載する、いすゞ「ジェミニ イルムシャー」が発売されました。
足回りをドイツのイルムシャー社がチューニングし、高い走行性能を有していただけでなく、ボンネット上のエアインテークや専用フロント/リアバンパーとフラットなホイールキャップなどの外観も専用にカスタマイズ。
RECARO社製シートを左右に備えた内装など、テイストは完全にヨーロピアン・スポーツであり高い人気となりました。
■日本カー・オブ・ザ・イヤーの第1回受賞車も
●マツダ「ファミリア ターボ」(1983年発売)
当時はデートカーとして学生にも支持された「ファミリア ターボ」
1963年にデビューした「ファミリア バン」は、その車名の通り貨客兼用のライトバンでありながら乗用車的なクルマで、マツダの小型自動車市場への参入の足掛かりを作りました。
その後にワゴン、クーペも追加ラインナップし、1968年には2代目ファミリアに「10A型」ロータリーエンジン搭載車もデビューしています。
1977年に登場した4代目ファミリアから2BOXハッチバックとなり、1980年にFF化され、1.5リッターエンジンを搭載。そして、ボクシーなスタイルを持った5代目が大ヒットします。
エアロパーツや社外品のマフラーなども多数発売され、フェンダーミラーをドアミラー化するカスタマイズも流行しました。
平凡な4気筒OHCの「E5型」エンジンは他車に比べると非力だったことから、1983年に「ファミリア ターボ」を追加し、元々素性の良いシャシと相まって高い人気を誇りました。
なお、このファミリアは日本カー・オブ・ザ・イヤーの第1回受賞車でもあります。
●ホンダ「バラードスポーツCR-X」(1983年発売)
軽量な車体で高い運動性能を誇った「バラードスポーツCR-X」
ホンダ「バラード」は、1980年に「シビック」の姉妹車として発売された4ドアセダンでした。
1983年のモデルチェンジで登場した派生車種の「バラードスポーツCR-X」は、セミリトラクタブルライトとリアを断ち切ったデザインのファストバッククーペボディで、一目でスポーティカーとわかるルックスが与えられました。
ローギアード化されたファイナルレシオと、1.5リッターSOHCながらも110馬力を発揮し、気持ちよく吹け上がる「EW型」エンジンが俊敏な加速を実現。
シビックと比べると極端に短いホイールベースによりクイックな挙動を持つなど、シビックとはまったく違う性格を与えられていました。
また樹脂系の外装パーツを多用したことにより車重は800kg(5MT)に抑えられていたことや、同クラスのクルマたちがターボチャージャーでパワーを引き出していたのに対し、自然吸気だったことで高いスロットルレスポンスと低燃費を両立していました。
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