皇族の方々の車は? トヨタ「センチュリー」だけでなく「カローラII」も
くるまのニュース / 2019年5月28日 18時30分
皇族の方々がお乗りになる「おクルマ」には、パレードなどで用いられる「御料車(ごりょうしゃ)」と、個人使用の「私用車」があります。それぞれ、どのようなクルマが使われているのでしょうか。
■上皇陛下の愛したホンダ「インテグラ」
日本のロイヤルファミリーといえる皇族の方々がお乗りになる「おクルマ」には、ご公務で使用される「御料車(ごりょうしゃ)」と、個人使用の「私用車」があります。パレードなどにも用いられる華やかな御料車に対して、私用車は一般の人でも購入できるようなクルマが用いられているのが特徴です。
今回は、皇族の方々の愛車である「私用車」のエピソードを中心に、皇族の方々のクルマ事情を紹介していきます。
上皇陛下(明仁上皇)の私用車は、ホンダの2代目「インテグラ」でした。このクルマはちょうど現上皇陛下が天皇に即位された年、平成元年(1989年)にデビューしたということもあり、現上皇后陛下(当時の皇后陛下)の美智子さまを助手席にお乗せになり、皇居内でよくご乗車されている様子が報道されていました。
天皇陛下や上皇陛下の免許取得・更新は教習所で訓練を行うわけではありません。視力や実技の検査には皇居内に信号機などの必要な設備を設置し、警視庁の指導のもとで実技の教習をはじめ、免許の取得や更新を行っています。
2016年当時の宮内庁によると「週末に皇居内の東御殿やテニスコートにおいでの際にお使いです」とのこと。一般公道は運転されないそうです。
本来、私有地を走る場合に免許は必要なく、皇居内を運転する場合は上皇陛下も免許は必要ありません。しかし、それでも運転している間は常に免許を所持し、定められた期間によって免許の更新を行っていたご様子で、こういったところに上皇陛下の人柄が伺えます。
2018年12月の宮内庁の発表によると、その後上皇陛下は85歳のお誕生日を機に免許の更新や返納はせず、そのまま失効とされたようです。高齢者ドライバーの事故が相次いで報道されるなか、ご自身が率先してお手本となられるご意向もあったのかと思います。
上皇陛下の愛車であった「インテグラ」は、これからどのように扱われるのでしょうか。宮内庁は次のように説明しています。
「上皇陛下が使用していたインテグラに関しては、陛下の免許返納に伴い通常の廃車処理がおこなわれると思いますが、長年陛下がご愛用していたということもあり、どのようにしていくかは決まっておりません。また本件に関しては公表することではありませんので、正確なお答えもできません」
上皇陛下の愛車が今後も大切に扱われることを祈ります。
■皇后陛下は“カローラ”がお好き?
皇后陛下のかつての愛車「カローラII」(私用車と仕様・グレードは異なります)
2019年5月1日にご即位された天皇陛下の皇后陛下である雅子さまは、当時皇太子殿下であった天皇陛下とご結婚される前からクルマに乗られていたということです。
元外務省勤務という激務のなか、出勤にも使われていた愛車はトヨタ「カローラII」とのことで、この事実が報道されたときにはカローラの販売台数が一時的に増えたこともありました。
天皇陛下が皇太子殿下であった婚約当時、陛下を助手席に乗せて雅子さまがハンドルを握り、ドライブデートをされるというシーンも。その後の体調不良によるご静養の際にも、愛子さまを連れてドライブされたり、皇太子殿下と3人でお出かけされたりと、度々運転されていたようです。
また、天皇陛下の弟君である秋篠宮皇嗣殿下は、以前から黄色のフォルクスワーゲン「タイプ1」を愛車として乗られている様子が度々報道されています。このタイプ1は、殿下ご自身がカタログなどをご覧になり、販売店の下見などもされた上で購入されたとのことで、非常にお気に入りの1台のようです。
このクルマで妃・紀子さまとデートにお出かけされたり、お兄様である皇太子殿下とお出かけされたりする様子がよく見られていました。お父様のクルマ好きはお子様たちにも受け継がれたのか、最近では次女・佳子さまが合宿で免許を取得され、赤坂の御用地内をドライブなさっているとのことです。
こうした「愛車」ではなく、パレードや国賓との接遇など、ご公務の際に使われるクルマは「御料車(ごりょうしゃ)」と呼ばれますが、歴代の「御料車」は1912年から数えて6台目となっています。それぞれ詳しく見ていきましょう。
●初代:ダイムラー「ランドレー」
1912年(大正元年)から1927年(昭和2年)まで使われた初代「御料車」は、大正元年の大正天皇即位時に当時同盟関係のあったイギリスから輸入されたクルマです。皇室の色である溜色(『ためいろ』:艶漆を塗った色。あずき色、飴色とも)に塗装され、皇室の「菊の御紋」がドアにつけられたほかは、当時イギリスで流通していたダイムラーの最新モデルと何も変わりはありませんでした。
●2代目:ロールス・ロイス「シルヴァーゴースト」
1921年(大正10年)から1936年(昭和11年)まで活躍したのは、高級車の代名詞でもあるロールス・ロイス「シルヴァーゴースト」です。1923年に起きた「虎ノ門事件」では、2台のうち1台が被災するなど、激動の時代を生きたクルマともいえます。
●3代目:メルセデス・ベンツ「770グローサ」
1932年(昭和7年)から1968年(昭和43年)までと、それまでより長く活躍したこのクルマは、当時の他国首脳専用車としても使われ、高く評価されていたことから、日本でも御料車として取り入れられました。
●4代目:キャデラック「75リムジン」
このクルマが使われていたのは1951年(昭和26年)から1961年(昭和36年)まで。太平洋戦争の敗戦によってGHQの管理下に置かれていたことから、ドイツのメルセデス・ベンツに代わってアメリカ製のキャデラックのクルマが使われていました。
●5代目:日産「プリンスロイヤル」
1967年(昭和42年)から2004年(平成16年)まで使われていた5代目は、初めて御料車に国産車が採用されたとして大きく話題になりました。一般向けの販売はされず、御料車のみ7台が制作され、上皇陛下が天皇に即位された際の即位の礼で使用されたクルマでもあります。
●6代目:トヨタ「センチュリーロイヤル」
2006年(平成18年)から現在でも使われている御料車は、先代に引き続き日本の自動車メーカーが製造したクルマです。2代目トヨタ「センチュリー」がベースとなっていて、内装には和紙や天然木、座席に毛織物、乗降ステップに御影石などが用いられているほか、天皇・皇后両陛下が手をお振りになりやすいよう、窓枠やシートの硬さが調節されています。
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