2リッター直4ターボでなんと421馬力! メルセデスAMG「A45 S」「CLA45 S」に海外で試乗した
くるまのニュース / 2019年8月6日 18時0分
メルセデス・ベンツ新型「Aクラス」と新型「CLAクラス」(日本未導入)に、AMGモデルの「A45 S」「CLA45 S」が本国で登場しました。どんなクルマに仕上がっているのでしょうか。モータージャーナリストの渡辺敏史氏がドイツで試乗しました。
■AMGの職人が組むエンジン「M139」型は2リッター直列4気筒ターボで421馬力
2リッター/4気筒/ターボ、といえば、かつての「ランエボvsインプレッサ戦争」のおかげもあって、日本でも馴染みの深いエンジンスペックです。
メルセデスAMG「A45 S」と「CLA45 S」に搭載される「M139型」もそのひとつですが、最高出力は421馬力という高出力を発生するといいます。いったいどんなエンジンなのでしょうか。
メルセデスAMG「A45 S 4MATIC+」「CLA45 S 4MATIC+」に搭載されるM139型エンジン
2リッター4気筒ターボエンジン同市で比較すると、現在もスバル「WRX STI」に搭載されているEJ20型ユニットは、1989年の「レガシィ」から数えて30年が経つ息の長い銘柄ですが、2017年そして2018年と限定車に搭載されたそれは、フライホイールの回転公差を50%詰めるなど涙ぐましいチューニングを重ねて、329馬力を発揮しています。
三菱「ランサーエボリューション」シリーズはすでに生産終了していますが、英国の販売代理店が40台限定で独自に企画・製作したモデル、FQ-440 MRは、HKS製のタービンや専用ECUによってチューニングが施され、搭載される「4B11型」ユニットは440馬力を発揮したといいます。
そして、9代目まで長らくランエボを支えてきた「4G63型」ユニットもチューニングベースとして重用されましたが、400馬力の大台に乗せるには、タービンやインジェクターなどひととおり手を施さなければなりません。そしてもちろん、エンジンをいじるということはリスクを自分で管理する、一切の商品保証は抹消されるということです。
かように、市販車でリッター200馬力オーバー、つまり2リッターで400馬力オーバーのパワーを得るには相当高いハードルがあります。直接比較するのもなんですが、直近ではマクラーレンが500台限定でリリースした「セナ」の4リッターV型8気筒が800馬力と聞けば、いかにトンデモ領域かがわかりやすいでしょうか。
メルセデスAMGが作ったM139型。2リッター直列4気筒の直噴ターボのパワーは、驚くことに421馬力を誇ります。もちろん市販用ですから保証はほかのモデルと同じ。基本的にはオイルやフィルターなどの管理で性能が維持されます。
このエンジンはAMGの本拠地であるドイツ・アファルターバッハで、ひとりの職人が責任をもって一基を仕上げていく「ワンマン・ワンエンジン」のセオリーに則って仕上げられることになっており、そのためにAMGは新たなデザインのラインを新設したということです。
過去を振り返ってもこれほど極端なチューニングのエンジンが量産された例は覚えがありません。そしてこのエンジンが搭載されるのはメルセデスにとってのエントリーモデルともいえるAクラスとCLAクラスと聞けば、一定数の製造を見込んでいることが伝わってきます。
今回は海外でおこなわれた試乗会で、メルセデスAMG「A45 S」「CLA45 S」のポテンシャルを確認することができました。
■Cセグメント系スポーツの水準を書き換える強烈な走りをもつA45 S/CLA45 S
両モデルに搭載されるM139型は、ほかのモデルが用いる2リッター4気筒とボア×ストロークは同一ながらも、ハードウェアはまったく異なるものです。
メルセデスAMG「CLA45 S 4MATIC+」
クローズドデッキシリンダーや鍛造クランク&ピストンを用いて後方排気化、大径のタービンをバルクヘッド側に収めることで低いエンジンフードはそのまま活かしつつ、AMG GTからのフィードバックとなるクーリングチャンネルレイアウトで性能の安定化を図っています。
また、インタークーラーのパイピング経路をストレート化したほか、ラジエターやオイルクーラーの大容量化を実現するなど、さすがに冷却能力の確保には気が配られています。
さすがに421馬力のパワーとなるとFFではどうにも吸収できませんから、A45S/CLA45Sはドライブトレインに四駆=4マティックプラスを採用しています。
前後駆動配分はオンデマンド式で100:0から50:50の範囲をリニアに可変、そしてリアアクスル側にはAMGトルクコントロールを採用し、後輪左右の駆動力配分を0から100の範囲でコントロールします。
つまり直進時には大出力に耐えうるスタビリティ確保の一助として、旋回時には外側後輪を積極的に駆動させて回頭性と旋回速度を高めることが可能となっているわけです。
A180を例えにすれば、じつに3倍以上のパワーを受け止めることもあって、A45 SとCLA45 Sの車体はパネルやブレース、ガセット等を用いて補強が加えられています。
ハコの減衰感がベースモデルと異なることはドアの開閉感からも明らかなのですが、このモノコックとサスセットの相性がバッチリ決まっているのでしょう、ともあれA45 SとCLA45 Sはともに一般的な速度域での乗り心地が素晴らしく洗練されています。
ダンパーは電子制御可変式ですが、当然バネやスタビライザーは相当固められているわけで、大きな凹凸には正直に上屋を揺すってしまいますが、大半の路面状況では車体はフラットに保たれ、シートやステアリングを通しての不快なフィードバックもありません。
それでいて必要情報はしっかり伝えてくれる。ハッチバックボディのA45 Sもさておき、4ドアハードトップのCLA45 Sになると、この乗り味なら421psのキワモノセダンというよりは上質なコンパクトサルーンとして認めてもらえるだろうと思わせるほどです。
その懐深さに、件のM139型は概ね同調しているといった印象でしょうか。これほどのチューンですからさすがにごく低回転域、1500rpm前後のトルクは薄い。これは昨今のダウンサイジングターボとはちょっと正確の異なるところです。
でも8速DCTが素早くギアを落として応答してくれるので回転保持に神経質になる必要はない。ドライブモードをスポーツに入れておけば、タイトな登坂路でも十分に反応してくれます。
エンジンは音や振動の類もしっかり整理されていて、威嚇的演出も抑えられていますから、日常遣いでも快適性は納得の範疇といったところです。
コーナリングは件のAMGトルクコントロールに加えて、ノーズを向けるきっかけには内輪側のブレーキを摘んでゲインを高めるなど、積極的に回頭性を高める工夫がなされています。それもあってかワインディング的な速度域ではとにかくグイグイとよく曲がるという印象ですが、それがサーキット的な高負荷ではニュートラル側に推移していく印象です。
早めのアクセルオンでもアンダーステアを極力伺わせずに粘り強くラインをトレースしていくのは、まさに後輪側の左右駆動コントロールが効いている証でしょう。伝わるそれが421馬力となればなおさらのこと。アペックスから脱兎のごとく弾ける感覚は、コンパクトボディのA45 Sならではの持ち味かもしれません。
日本での発表・発売は年内を目指しているというこの2台。静的にも動的にもCセグメント系スポーツの水準を書き替える強烈なインパクトを備えていることは間違いありません。願わくば価格のインパクトは安い方に振れてくれれば嬉しいですね。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
メルセデス・ベンツ、前後可変トルクの2ドアクーペ「AMG CLE 53 4MATIC+」
マイナビニュース / 2024年6月26日 20時16分
-
メルセデスAMG『CLE 53 4MATIC+クーペ』新型を発売…価格は1290万円
レスポンス / 2024年6月25日 18時0分
-
メルセデス・ベンツ『CLE 53 クーペ』発売 AMGらしいハイパフォーマンスモデルで1290万円
ORICON NEWS / 2024年6月25日 17時0分
-
メルセデスAMG『SL』新型に特別なゴールドまとう世界100台の限定車
レスポンス / 2024年6月16日 10時0分
-
三菱「ランエボ“SUV”」あった!? ゴツ顔&「めちゃ広」後席がスゴイ! まさかの「スライドドア付き」爆速4WDターボ「スーパースポーツギア」海外で「人気再燃」の兆しか
くるまのニュース / 2024年6月4日 6時10分
ランキング
-
1すき家、7月から“大人気商品”の復活が話題に 「この時期が来たか」「年中食いたい」
Sirabee / 2024年6月29日 4時0分
-
2若々しい人・老け込む人「休日の過ごし方」の違い 不安定な社会、「休養」が注目される納得理由
東洋経済オンライン / 2024年6月30日 9時0分
-
3水分補給は昼コーヒー、夜ビール… 「熱中症になりやすい人」の特徴と対策
ananweb / 2024年6月29日 20時10分
-
4忙しい現代人が“おにぎり”で野菜不足を解消する方法。野菜たっぷりおにぎりレシピ3選
日刊SPA! / 2024年6月30日 15時53分
-
51年切った「大阪・関西万博」現地で感じた温度差 街中では賛否両論の声、産業界の受け止め方
東洋経済オンライン / 2024年6月30日 14時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)