出るのが早かったのか失敗作か!? 販売台数が低迷した車5選
くるまのニュース / 2019年9月7日 6時30分
1年間に何台もの新型車がデビューしますが、すべてが売れるクルマとは限りません。もちろん、メーカーは売れると目論んで開発しますが、ダメなこともあります。そこで、販売が低迷してしまったクルマ5車種を紹介します。
■残念な結果となってしまったクルマたち
自動車メーカーは莫大な予算と時間をかけて、新型車の開発をおこなっています。目論見どおり売れればなんの問題もありませんが、売れなかった場合は損失が発生することもあります。
しかし、すべてのクルマが売れるわけではないのが現実です。そこで、志は高かったものの、販売が低迷してしまったクルマ5車種を紹介します。
●日産「NXクーペ」
バブル景気が背景にあっても売れなかった「NXクーペ」
日産「NXクーペ」は、7代目「サニー(B13型)」をベースにクーペタイプのモデルとして開発され、1990年に発売されました。
先代サニーのクーペ版だった「RZ-1」の鋭角なイメージから一転して丸みをおびたデザインで、カジュアルなイメージとなっていました。
元々は北米市場の女性ユーザーをターゲットに企画されたモデルであり、デザインは、カリフォルニアのNDI(日産デザインインターナショナル)が手がけています。
そのため、北米で人気だった「300ZX(Z32型フェアレディZ)」のモチーフも織り込まれており、左右のルーフを脱着できる「Tバールーフ」仕様も設定されていました。
搭載されたエンジンは1.5リッター、1.6リッター、1.8リッターの3タイプが設定され、いずれも直列4気筒DOHC16バルブで、トランスミッションは、4速ATと5速MTが用意されていました。
TVCMに当時としては斬新な「モーフィング」と呼ばれるコンピューターグラフィックスを利用して、話題となりました。
セールス的には、NXクーペはスポーツモデルとしては中途半端な内容だったため低迷。北米では好調だったようですが日本では売れず、1994年に生産を終了します。
●トヨタ「パッソセッテ」
コンセプトはよかったもののニーズにマッチしなかった「パッソセッテ」(画像は「ブーンルミナス」)
2003年に3列シートと両面スライドドアを備えたコンパクトミニバンのトヨタ「シエンタ」が発売されました。取り回しのよい車体と広い室内で、子育て中のお母さんを中心に絶大な人気を誇ります。
2008年にはシエンタの後継車として、ダイハツのOEM車「パッソセッテ」(ダイハツブランドでは「ブーンルミナス」)が発売されます。しばらくパッソセッテとシエンタは併売されましたが、2010年にシエンタの販売を終了。
パッソセッテの「セッテ」とはイタリア語で「7」で、文字通り7人乗りを強調するネーミングでした。
リアドアはヒンジドアを採用し、装備も簡素化した結果、149万円(消費税込)からと、かなり戦略的な価格設定でしたが、ユーザーにはスライドドアの利便性が求められており、パッソセッテの販売は低迷してしまいます。
そこで、2011年に異例ともいえるシエンタの再販が決定し、2012年にパッソセッテは販売終了となってしまいました。
なお、いまもマレーシアのプロドゥア(ダイハツとの合弁会社)というメーカーから「アルザ」とう車名で販売されています。
●ホンダ「クロスロード」
出るのが早すぎたクロスオーバーSUVの「クロスロード」
1993年にホンダは、当時提携関係にあったローバーグループから中型SUVのランドローバー「ディスカバリー」のOEM供給を受け、初代「クロスロード」として販売を開始しました。
ローバーの3.9リッターV型8気筒エンジンを搭載する本格的な4WD車で、営業的に成功したとはいえませんが、いすゞからOEM供給されていた「ジャズ」や「ホライゾン」とともに、ホンダのRVラインナップを形成しました。
1998年に初代の販売が終了し、9年後の2007年に登場した2代目クロスロードは、2代目「ストリーム」をベースにしたクロスオーバーSUVとして販売されます。
全長は4285mmとコンパクトでありながら、全幅は1755mmとワイドで、居住性が良好な3列シート7人乗りモデルでした。
搭載するエンジンはストリームと同じ最高出力140馬力の1.8リッター直列4気筒i-VTECと、150馬力を発揮する2リッターが用意され、駆動方式はFFと4WDを設定。
当時としてはややワイドなボディでしたが、着座位置からフロントノーズ先端の見切りなども良いために、車幅を意識することもなく日常の足に使うにも適していたといえます。
クロスロードはデザインやユーティリティが優れていたにも関わらず、「CR-V」と競合したためか販売は低迷。
結局、3年半ほどで生産を終了してしまいました。
■志の高さだけではクルマは売れない
●三菱「エクリプススパイダー」
日本市場はおまけだったのかも!? 「エクリプススパイダー」
1989年に「スタリオン」の後継モデルとしてアメリカで発売された「エクリプス」は、当時の「ギャラン」と同じ2リッター直列4気筒ターボエンジンを搭載し、SS 1/4マイル加速(0-400m発進加速)15.1秒の俊足ぶりで人気となりました。
1996年には2代目エクリプスをベースにしたオープンカー「エクリプス スパイダー」を発売。製造はアメリカで日本にも左ハンドルのまま輸入されました。
日本に輸入されたのは230馬力を誇る2リッター直列4気筒ターボエンジン搭載のFFモデルのみでした。
そして、2004年からは、1999年に登場した3代目エクリプスをベースにした「エクリプス スパイダー」が日本でも販売されました。
国内モデルでは196馬力の3リッターV型6気筒エンジンを搭載し、トランスミッションは4速ATのみで前輪を駆動するFFでした。
アメリカナイズされた見た目で、左ハンドルであることと相まって日本車だと思う人は少なかったかもしれません。
北米での販売はそこそこ好調でしたが、日本では左ハンドルの人気はなく、販売は低迷してしまいます。
●スズキ「バレーノ」
中身は秀逸ながら残念な状況の「バレーノ」
スズキ「バレーノ」を見たことがある人は、相当ラッキーと思えるくらいレアなクルマです。そして、今回、紹介したクルマのなかで、唯一の現行モデルです。
2016年に発売され、ボディは5ドアハッチバックのワイド&ローな流麗なデザインとなっています。生産はインドでおこなわれ、日本では輸入車です。
搭載するエンジンは102馬力を発揮する1リッター直列3気筒ターボと、91馬力の1.2リッター直列4気筒の2種類で、トランスミッションはターボが6速AT、自然吸気がCVTと組み合わされます。
特筆すべき点は、バレーノは全幅1745mmの3ナンバー車ながら、自然吸気が910kg、ターボが950kgという軽量な車体で、国産3ナンバー車で、もっとも軽量なクルマです。
ボディ剛性を向上させながら軽量化を実現する、スズキの軽量化技術の集大成ともいえる1台ではないでしょうか。
バレーノがデビューした時の年間販売目標は6000台でしたが、内装の質感に難ありという評判もあり、現状ではその5分の1ほどを推移しています。
なお、生産国のインドではベストセラーカーです。
※ ※ ※
売れないクルマは、決して悪いクルマとは限りません。例えばクロスロードは出るのが早すぎたクルマでしょう。実際、中古車市場では人気があるクルマです。
バレーノもスペック的には優れており、とくに軽いということはライバルに対して大きなアドバンテージになります。
しかし、クルマの販売にはニーズや時代背景、流行など、さまざまことが影響しますので、どんなにメーカーがよいクルマを作ったとしても、ベストセラーにはならないということです。
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