トヨタ「ハイエース」なぜ売れる? 日産「キャラバン」より高い人気を誇る理由
くるまのニュース / 2019年9月21日 10時10分
街中でよく見かける、トヨタ「ハイエース」と日産「キャラバン」。両車の見た目は似ていますが、販売台数では大差でハイエースが勝っています。なぜ、ハイエースはこれほどまで人気なのでしょうか。
■パッと見似ているトヨタ・日産の商用バン
普段、一般のユーザーが乗るのは乗用車です。対して、主に仕事などに使うために開発・販売されているのが商用車で、ナンバープレートは4ナンバーもしくは1ナンバー(小型貨物/中型貨物)となります。
なかでも、トヨタ「ハイエース」と日産「キャラバン」は商用バンのなかでの二大巨頭ですが、見た目は似ているクルマにも関わらず、なぜハイエースは高い人気を誇るのでしょうか。
2018年の新車販売台数では、ハイエース(レジアスエース含む)が5万7893台となり、ライバルのキャラバン(2万3713台)に3万4180台の差をつけています。
現行ハイエースは、2004年8月に登場したため2019年で15年目を迎えます。対する現行キャラバンは、徹底的にハイエースを研究し、可能な限りアドバンテージを得ようと開発をおこない、2012年に車名を「NV350キャラバン」に変更して登場しました。
商用車の4ナンバーに収まる標準ボディのサイズは、ハイエースが全長4695mm×全幅1695mm×全高1980mm。キャラバンは、全長4695mm×全幅1695mm×全高1990mmとなり、大差ないサイズ感となります。
異なる部分として挙げられるのは、さまざまなニーズに応えられるように多様なボディタイプが設定されている点です。
ハイエースは、この標準ボディ以外に、全高2240mmのハイルーフ仕様のロング、全長を少し伸ばしたロングのワイド幅/ミドルルーフ(全長4840mm×全幅1880mm×全高2150mm)を設定。
さらに、全長を延ばしたスーパーロングと呼ばれるワイド幅/ハイルーフ仕様(全長5380mm×全幅1880mm×全高2285mm)を用意しています。
対するキャラバンは、標準ボディに加えて標準幅/ハイルーフ仕様(全長5080mm×全幅1695mm×全高2285mm)とワイド幅/ハイルーフ(全長5230mm×全高1880mm×全幅2285mm)という、全長の異なる2種類のスーパーロングをラインナップ。
これらを整理すると、ハイエースはロングにハイルーフ仕様を設定するなど、全長の短い標準型をベースにしたラインナップを充実させ、選択肢がひとつ多いことが特徴です。
ボディ展開も似ている両車ですが、ハイエースの方が人気な理由について、ハイエースやキャラバンの中古車専門店のスタッフは次のように話します。
「ハイエースが人気の理由としては、カスタムの自由度が高いことが挙げられるかもしれません。最近では、キャラバンでも多くのカスタムパーツが出ていますが、ハイエースが登場するまではそこまで商用バンのカスタムパーツは見かけませんでした。
また、アジア圏を始めとする地域では、ハイエースに対いする信頼性が物凄く高いです。いろいろな理由がありますが、『世界的に耐久性などで定評のあるランクルやハイラックスを作っているトヨタの商用バンだから』という話を聞いたこともあり、その結果、売却時の価格差が国内での人気に影響しているのだと思います」
※ ※ ※
なお、両車のパワートレインは、ハイエースが2リッター(6速AT/5速MT)/2.7リッター(6速AT)のガソリンエンジンと、2.8リッターディーゼルターボエンジン(6速AT)の3種類を設定。
対するキャラバンでも、2リッター(5速AT/5速MT)/2.5リッター(5速AT)のガソリンエンジンと、2.5リッターディーゼルターボエンジン(5速AT/5速MT)を用意しています。
■商用バンで重要な積載性の違いとは
主力となる標準ボディで比べると、荷室幅は1520mmで共通ですが、後席を畳んだ状態の最大荷室長(フロントシートの背面から車内後端までの長さ)は、ハイエースが3000mm、キャラバンは3050mmです。
荷室高は、ハイエースが1320mm、キャラバンは1325mmという数値となり、若干の差ですが、キャラバンの方が空間に余裕があります。
細かな部分では、ハイエースの前後席をリクライニングさせてつなげると、フルフラットシートにアレンジできるフロントフラットをスーパーGLに採用。長い休憩時間などには重宝します。
本物の工事現場で撮影されたCMが話題の日産「キャラバン」
また、キャラバンは、ラゲッジユーティリティナットという荷室に設けた穴や、積載物をしっかり固定するためのネットの装着など、荷物を積むときの工夫が施されているのです。
先進安全装備においては、ハイエースには「トヨタセーフティセンス」を採用。衝突被害軽減ブレーキのセンサーには、ミリ波レーダーと単眼カメラを使うために歩行者の検知も可能としています。
キャラバンでも、衝突被害軽減ブレーキを備えていますが、センサーはミリ波レーダーのみとなるため、歩行者を検知できない仕様です。
しかし、キャラバンには、「アラウンドビューモニター」という上空から見下ろしているかのような自車の映像をルームミラーディスプレイに映し出すことで、運転席からでは直接確認しにくい左前方や後方の状況もひと目でわかるようになっています。
キャラバンの特徴について、日産の販売店スタッフは次のように話します。
「最近では、徐々にではありますがハイエースからキャラバンに乗り換えるお客さまも増えています。きっかけとしては、2017年7月のマイナーチェンジが大きいです。
この際、外観デザインに日産を象徴する『Vモーショングリル』を採用したことで、よりダイナミックさ強調した力強いデザインが好評です。
また、2WD車の一部にしか設定のなかった『インテリジェント エマージェンシーブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)』や、坂道発進をアシストする『ヒルスタートアシスト』を全車に標準設定するなど、デザインと性能面を向上させたことも大きな要因です」
※ ※ ※
両車(バンタイプ・カスタム仕様除く)の価格(消費税込)は、ハイエースが228万5280円から370万4400円。キャラバンは、213万7320円から381万2400円です。
最近では、「プロ仕様、キャラバン」として大々的に宣伝をしているキャラバン。ハイエースとの差をどこまで縮められるのでしょうか。
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