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トヨタ「スープラ」TRD仕様に装着された新発想のサスペンション「TRAS」の出来に驚いた!

くるまのニュース / 2019年9月28日 18時10分

2019年9月13日。自動車メーカー直系のチューニングブランド4社が開催するイベント「ワークスチューニング合同試乗会」がおこなわれました。TRD、NISMO、無限、STI、それぞれのメーカーが持ち込んだ自慢の最新カスタマイズカーを試してみました。

■TRDの目玉は、GRスープラ用プロトタイプサスペンションシステム「TRAS」

 自動車メーカー直系の4大ブランドが開催する「ワークスチューニング合同試乗会」が、今年もツインリンクもてぎの北コースをベースとして開催されました。

 話題の新型車から人気モデルのさらなるブラッシュアップまで、各社がモータースポーツと生産車づくりを通して得たノウハウを存分に注入した、ワークスならではのチューンドカーたちに試乗することができました。

 今回は、TRDがチューニングを施した「スープラ」と、「プリウス」試乗の模様を紹介します。

 トヨタカスタマイジング&ディベロップメント。通称TRDが持ち込んだのは、話題のスープラ。鮮やかなイエローにエアロパーツを装着した双子のような2台は、直列6気筒ターボを搭載した「RZ」と、直列4気筒ターボを搭載する「SZ-R」でした。

「GRパーツ」としてTRDが制作するエアロパーツは、フロントスポイラーからサイドスカート、サイドドアガーニッシュ、トランクスポイラーと、車輌をひと巻きしたフルエアロ仕様。

 空力的にもハンドリング性能を向上させる本物志向のエアロパーツは、オリジナルのイメージを損なうことなく大型化されているのが特徴で、独特なうねるようなボディラインのスープラに対して、エッジの効いたアクセントを添えることに成功しています。

 そして今回TRDは、このスープラに「TRAS」(Threw Rod Advanced Shock Absorber)という新しいサスペンションシステムを提案しました。これはトヨタと関係が深いヤマハ発動機が製作するショックアブソーバーのこと。

 ヤマハといえばトヨタとは深い間柄のパーツメーカー。先代のスープラ(A80型)では「RIAS」(XーRIAS)というシステムを供給した経緯があり、TRDの開発陣は「TRAS」の性能に高い可能性を感じて、プロトタイプながら今回発表したとのことでした。

 そんなTRASの注目ポイントは、ショックアブソーバーの伸縮方法にあります。通常ショックアブソーバーは筒内のオイルをオイル経路を搭載したピストンで押すことによって減衰力を発揮し、クルマの安定性を高めます。しかしTRASはこのオイル経路を逆転させ、引き戻す方向で減衰力を機能させるのです。

 その効果は、乗り心地とコーナリングで現れていました。

 TRASを装着したスープラは、乗り始めからしっとりとしたダンピングを発揮。路面の凹凸といった垂直方向の入力に対しては、確かに一般的なスポーツ系ショックアブソーバーよりも乗り心地が良い印象を受けました。これこそが、引っ張り方向で減衰力を発揮する効果です。

 コンプレッション時に反力を発揮しないため、まず路面からの当たりが非常にソフトなのです。沈み込んだサスペンションが反発しようとする力を減衰力で制御するため、「トトン」といったフィーリングで快適に凹凸を乗り越えていきます。

 またTRASは、カーブではインリフトを抑える効果を発揮しました。

 縮み側はスプリングの剛性で車体を支え、内輪のダンパーが伸びを抑えることで、車体を安定させます。コーナリング時にはクルッと素早く向きを変えるのがとても特徴的な足回りです。

 今回、スープラは残念ながらサーキットコースで試乗することはできなかったのですが、いわゆるタウンスピードの領域でもその性能は十分に感じ取ることができました。

 対してコンベンショナルなダンパーを搭載したSZ-Rは、TRASと対称的な乗り味を示しました。縮み側で減衰力を発揮するそのハンドリングは、とくに切り返し場面などでキビキビとしたハンドリングを披露。むしろドライバーによっては、この俊敏性を好む場合もあると思います。

 突き上げに関しても、かなり上手に路面からの入力をダンピングしていました。しかしこと上質さという点では、TRASの方が一枚上手な印象を受けました。

 ただこれは、TRASを搭載したスープラがRZだったからという理由もあると思います。フロントに搭載する直6エンジンが一般的な走行ではほどよくフロントタイヤの接地性を高めるからです。

 また現状だとTRASは、大きなうねりが苦手です。これを乗り越えてサスペンションが伸びたあとなどは、引き戻される感覚が若干強いのです。こうした路面が連続する場面では、ゴツゴツとはしないけれど、走安性がやや損なわれる印象を持ちました。

 このことは開発陣も十分承知していました。今回は当初サーキット走行を想定していたため、やや減衰力を高めに設定していたからです。今回はプロトタイプということもありますが、将来的に減衰力調整機構を付けられる状態になれば、こうした症状もかなり改善されるでしょう。

 性能も気になるのですが、我々ユーザーがそれよりも気になるのはコストです。システム的にはかなり複雑な内部構造となり、なおかつオイル容量の確保を考えるとサブタンクもあった方が理想的。そうなると、価格が高くなってしまうのは否定できないと思います。

 とはいえスープラをプレミアム化するには相応しい、興味深いサスペンションシステムであることは間違いなく、これをサーキットトラックや高速道路といった環境でじっくり試してみたいと感じた試乗でした。

■プリウス TRD「アグレッシブスタイル」の性能は見た目だけじゃなかった!

 また、今回はスープラだけでなく、TRD仕様のプリウスにも試乗することができました。

 エンジンもサスペンションもまったくのノーマルだというTRDプリウスの特徴は、纏っているエアロパーツです。

プリウス TRD「アグレッシブスタイル」プリウス TRD「アグレッシブスタイル」

 まずTRDのエアロパーツは、単なるドレスアップパーツではないところがポイント。その名の通り、実際の空力効果を得ることによって、プリウスの走りを最適化しているのです。

 TRDには現在2種類のプリウス用エアロシステムがあり、今回試乗したのは「アグレッシブスタイル」。そしてこのほかには「エアロダイナミクススタイル」があります。

 TRDがエアロパーツで定める性能は、「Response」「Stability」「Feedback」「Flat」「Dress up」の5項目。エアロダイナミクススタイルは、このすべての項目においてまんべんなく性能を発揮するキャラクターが与えられています。

 対して試乗車であるアグレッシブスタイルは、ハンドリングレスポンス、フィードバック(操舵応答性)、そしてドレスアップ性能に特化したもの。つまり見た目のアグレッシブさと、空力によるハンドリング性能の向上がその狙いです。

 実際にTRDプリウス「アグレッシブススタイル」をドライブした印象は、非常に興味深いものでした。

 足回りはすべてノーマルなので、低速域での乗り心地はいたって快適。そして速度を乗せて行くと、足回りがソフトなのにじわっと安定感が増して行く感覚がハンドルから得られるのです。

 筆者(山田弘樹)はこれをショートコースでも走らせたのですが、そのコーナリングは確かに良く曲がる印象でした。

 空力というとダウンフォースばかりが注目されがちですが、TRDは市販車にこれを応用するうえで、空力バランスを整えることと、ロール時の安定性を高めることにも活用しています。

 だからコーナリング時には、まるでダンパー減衰力を少し高めたような、質の良いスタビライザーを装着したようなフィーリングが得られるのだと思います。

 そのうえでフロントスポイラーなどでタイヤの接地性を高め、曲がりやすさを実現しているのだと思います。実際資料では、エアロダイナミクススタイルの前後空力バランスは54.0%:46.0%。市販車は主にリアのスタビリティを確保する傾向にありますが、むしろフロントよりに空力バランスを設定していました。

 またTRDプリウスの各部には、かつて話題をさらった「アルミテープ」も貼り付けられていたようです。

 これによって車体の+帯電を除去することができ、空気の反発を抑制。清流効果を高めることができるそうです。

 今回はこれを装着した車輌のみだったため、効果の違いを精査することはできませんでしたが、総じてTRDプリウスは、ノーマルの快適な乗り心地を保持しながら、プリウスに気持ち良いスポーツ性能を与えた一台になっていました。

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