いまなら評価される!? 一代で消えたけど復活してほしい車5選
くるまのニュース / 2019年9月29日 6時30分
優れた性能やデザインながら、一代限りで生産を終了したモデルがあります。一方で、生産が終了した後に再評価されるモデルもあります。そこで、一代で消えてしまったけれども、復活を期待したいクルマ5車種をピックアップして紹介します。
■一代で生産終了の残念なクルマたち
毎年数多くの新型車が発売されますが、その影で消えていってしまうクルマがあります。
クルマの開発には莫大なお金と時間が掛けられているので、なるべく長い期間でたくさん売ることが求められますが、そうしたクルマばかりではありません。
なかには、一度もモデルチェンジすることなく生産を終了するケースもあるのです。
そこで、一代で消えてしまったけれども、復活を期待したいクルマ5車種をピックアップして紹介します。
●三菱「スタリオン」
三菱は世界のスポーツカー市場への参入のため、1982年に「スタリオン」を発売しました。
当時流行のリトラクタブルヘッドライトを採用し、クサビ型のスタイリッシュなデザインで欧州や北米ではポルシェ「924ターボ」のライバルと評価され、人気となります。
デビュー当初から4輪独立懸架と4輪ベンチレーテッドディスクブレーキが採用されていたり、優れた空力特性のボディ設計になっているなど、本格的なスポーツカーとしての素質を持っていました。
エンジンは2リッター直列4気筒ターボと自然吸気で、デビュー当初はターボが145馬力(グロス)を発揮していました。
そこから段階的にパワーアップし、1988年発売の2.6リッター直列4気筒ターボエンジンを搭載した最終モデルの「GSR-VR」では175馬力(ネット)を発揮。
1990年に後継車となる「GTO」の発売で、スタリオンは生産を終了します。
コンパクトなボディのFR車で、ハイパワーなエンジンを搭載し、外観のデザインもスポーツカーらしさあふれるものでしたが、基本設計の古さもあって晩年は極端に販売が低迷してしまいました。
また、三菱が高性能車を4WDにシフトする戦略だったことも、スタリオンが生き残れなかった要因でしょう。
●ホンダ「S2000」
オープン2シーターのピュアスポーツ「S2000」
ホンダは常にレースで戦いながら、その技術を市販車にフィードバックしてきました。
とくに「VTEC」のような高回転・高出力なエンジンを多数生み出してきたこともあり、かつてはホンダ=エンジン屋というイメージが定着したころがあります。
ホンダが誇る数々の高性能エンジンのなかでも集大成ともいえるのがF20C型で、このエンジンを搭載したのが1999年に発売されたオープンFRスポーツの「S2000」です。
S2000は1970年に生産終了した「S800」以来となるホンダのFR車で、すべてが新たに設計されるなど、ホンダ創立50周年を祝うメモリアルカーという意味合いもありました。
2リッター直列4気筒エンジンは自然吸気でありながら250馬力を発揮し、レッドゾーンは9000rpmと、市販車のエンジンとしては驚異的な高回転・高出力なものとなっていました。
エンジンは途中から2.2リッターに排気量がアップされ、初期ほどの高回転エンジンではなくなりましたが、それでも十分にパワフルで扱いやすくなり、国内外のファンから愛されました。
発売から10年後の2009年に、フルモデルチェンジすることなく生産を終了しましたが、ホンダは「S660」「NSX」を販売している実績があるので、S2000復活の可能性も期待したいところです。
●スバル「R1」
軽自動車のなかでも優れたデザインだった「R1」
2004年に発売された軽自動車、スバル「R1」は、同社の5ドアハッチバック「R2」にも似た外観のイメージですが、全長やホイールベースが短い3ドアハッチバッククーペモデルとなっていました。
シニア世代や女性を主なターゲットとし、乗車定員は4名ですがリアシートはエマージェンシー用で、実質は大人2人が快適に過ごせることに特化した室内です。
内装もR2に準じていましたが、カラーリングがR1専用にコーディネイトされるなど、スペシャリティカーの要素がありました。
搭載されるエンジンは、54馬力の660cc直列4気筒自然吸気で、4気筒ならではの滑らかな回転フィーリングと低振動を実現。2005年には最高出力64馬力/最大トルク10.5kgmを発揮する直列4気筒スーパーチャージャー付きエンジンに、7速マニュアルモード付CVTを搭載する「S」グレードが加わります。
スポーティなモデルを好む層からは高く評価されましたが、ハイトワゴンに代表されるように軽自動車も広さが求められる時代となっていたため、販売台数は低迷してしまいます。
2010年に販売が終了したR1ですが、送り迎えや買い物用に限定するならば、性能も広さも十分ではないでしょうか。
■出るのが早すぎた2台のSUV
●トヨタ「FJクルーザー」
ユニークなデザインながら本格的なオフローダーの「FJクルーザー」
レトロなイメージの外観と、最新技術が融合したトヨタのSUV「FJクルーザー」は、先に発売された北米で人気に火が着き、日本では2010年から販売されました。
シャシやドライブトレインは「ランドクルーザープラド」譲りで悪路走破性が非常に高く、見た目を裏切る本格的なオフローダーでした。
外観同様にドアもユニークで、前後方向に開くいわゆる観音開きの4ドアになっているのもFJクルーザーの特徴です。
国内外でヒットしたクルマですが、2014年に北米での販売が終了し、そのほかの国と日本でも次々と販売が終了します。
いま、SUVが世界的に売れていることを考えると、FJクルーザーは出るのが早すぎたのかもしれません。
ちなみに、南アフリカや中東では、いまも新車の販売が継続されており、優れたデザインと悪路走破性の高さが延命のポイントなのかもしれません。
●日産「ラシーン」
ボクシーなデザインが高い評価を得ている「ラシーン」
日産「ラシーン」は1993年の「東京モーターショー」にコンセプトカーとして出展され、翌1994年に発売されたコンパクトRVです。
ラシーンは、全車4WDで本格的なオフロード車の雰囲気がありつつも、低い車高というクロスオーバーSUVの先駆け的存在で、発売開始からヒットし販売終了までに7万台以上も売れました。
ボディサイズは5ナンバー枠に収まる手頃な大きさで、ステーションワゴンタイプのボディは普段使いやレジャーにも適した実用性がありました。
エンジンは当初1.5リッター直列4気筒を搭載していましたが、1997年のマイナーチェンジで、1.8リッター直列4気筒に変更。さらに1998年にはスポーティグレードの「ラシーンフォルザ」が追加され、最高出力145馬力の2リッター直列4気筒が搭載されました。
そして、フルモデルチェンジすることなく2000年に生産を終了しますが、19年経ったいまも中古車が人気で、カスタマイズを手掛けるラシーンの専門店もあるほどです。
※ ※ ※
消えてしまったクルマは数多くありますが、どれも明確な理由が存在します。
それは、環境対応や安全基準の対応ができなくなったことや、基本設計が古くなったことなどですが、すべてこれらの背景には商品力の低下によって売れなくなったことがあります。
売れているモデルなら、コストを掛けてでもモデルチェンジや改良をおこないますが、掛けたコストに見合う売上が見込めないと判断されれば、生産を終了するしかありません。
しかし、秀逸なデザインであったり、優れた性能やパッケージングでも生き残れなかったモデルがあるので、商品開発というのは我々が考える以上に難しいということでしょう。
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