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バブル期に人気だった!? 1980年代から登場しブームとなったパイクカー5選

くるまのニュース / 2019年10月2日 6時10分

985年から1991年まで日本で起こったバブル景気。この時代に登場しブームとなったクルマがあります。特徴的なスタイリングを持つそのクルマは「パイクカー」と呼ばれブームとなりました。そんなバブル期に登場したパイクカーを紹介します。

■中身は普通? レトロ調デザインが特徴だったパイクカー

 バブル景気に湧く混沌とした時代に登場した、特徴的なスタイリングを持つクルマが、日本でパイクカーの元祖といわれる、1985年11月の東京モーターショーに出品された日産「Be-1」です。

 発表当時はコンセプトモデルでしたが、その後、日産は1986年1月に限定1万台生産を正式に発表します。Be-1をはじめとしたこれまで販売されたパイクカーには、どんなクルマがあったのでしょうか。5台をピックアップして紹介します。

●日産「Be-1」

 ショーモデルを忠実に再現した市販版のBe-1は、2か月ほどで受注が埋まり、1987年1月から納車が始まりました。

 Be-1の魅力は、その内外装のデザインが醸し出す雰囲気にあり、クルマをファッションアイテムの一部、つまりファッション雑貨のブランドとして訴求できたのがポイントです。

 Be-1は1982年に登場した日産の小型車K10型初代「マーチ」のシャシを使ったクルマで、メカニズムの側面では訴求すべき点はなく、中身は初代日産マーチそのものです。

 しかし、デザインは秀逸でした。Be-1は、ファッション業界からコンセプターを招き、レトロな丸くて小さなデザインが最大の特徴のクルマでした。ネーミングは、スタディモデル案、A案・B-1案・B-2案・B-3案の4つのモデルのなかの「B案のNo.1」から採ったとされます。

 このBe-1は、それまでの自動車が追求してきた絶対的な動力性能やパッケージング、実用性などの既成目標は達成しており、別のベクトル、既成価値へのアンチテーゼともいえる方向性を指し示すことで独自の価値を見せたクルマだったのです。

 ボディは2ドア2ボックスで、ボディサイズはベースとなった初代マーチとほぼ同じ、全長3635×全幅1580×全高1395mm、ホイールベースは2300mmです。

 搭載エンジンは987cc直列4気筒OHCで、最高出力52馬力、最大トルク7.6kgm。ミッションは5速MTと3速ATが設定されました。ボディカラーはパンプキンイエローほか全4色です。

 日産は、Be-1が街を走り始めるのとほぼ同時に、アパレル製品や雑貨をセレクトしたコンセプトショップ「Be-1 SHOP」を開設します。場所は地下鉄表参道駅と外苑前駅の中間、青山通りに面した一角でした。

 店内にはBe-1のイラストやロゴが入ったオリジナル雑貨のほか、Tシャツやトレーナーなどのカジュアルウェアなど、「快適な空間を志向するナチュラルな心地よさ」を追求した空間でした。

●日産「パオ」

 Be-1の成功を受け、日産は「2匹目のドジョウ」を狙います。1987年の東京モーターショーに出品したパイクカー第2弾「パオ」を1989年1月に市販化しました。

 先例のBe-1と同様に限定車という受注方式を採用しますが、台数を限定して混乱を招いたBe-1の経験から予約期間だけを設け、予約期間に受注した数だけ生産するという方式を採りました。

 スタイリングは、ドアのアウターヒンジやリブの入ったドアパネル、跳ね上げ式リアウインドウなどで懐古的な雰囲気を演出しました。

 クルマとしてのハード面はBe-1とほとんど同じで、異なるのはステアリングがパワーアシスト付きになったことです。

「メカニズムに何の新しさもなく、アウタースキンだけを換えただけのクルマ」という酷評もありましたが、バブル景気に乗った勢いで、たった3か月の受注で4万2000台を受注する大ヒットとなりました。

■オープンカーも登場! 個性豊かなパイクカーたち

●日産「フィガロ」

 1991年2月には、パイクカー第3弾となる「フィガロ」が登場します。1989年の東京モーターショーで参考出品車として披露され、レトロなデザインの小型4座オープンであり、手動で開閉するソフトトップや、本革シートを備えていました。

日産「フィガロ」日産「フィガロ」

 乗車定員は4名。K10型初代マーチをベースとしたパイクカーシリーズのなかでは唯一、ターボエンジンを搭載し、その最高出力は76馬力、最大トルクは10.8kgm。トランスミッションは3速ATのみの設定でした。

 白い本革シートや白いインテリアの特別感漂うフィガロは、1991年2月14日に2万台限定、同年8月末までに3回に分けて抽選するという販売方式がとられ、日産の目論見どおりに、またしてもヒット作となりました。

●日産「エスカルゴ」

 パオとほぼ同時にデビューした一風変わった1台のパイクカーが日産「エスカルゴ」です。コマーシャルバン、300kgの積載量を持った商用車で、メカニズムのベースはVN10系「パルサーバン」でした。

 デザインのモチーフはフランス語のエスカルゴ(カタツムリ)で、そのエスカルゴに貨物の「カーゴ」を組み合わせた造語が車名となっています。背が高い荷室は荷物の積み降ろしに便利で、小さなボディながら高い実用性を備えていました。

 リアサイドパネルの円い窓がない仕様もあり、キャンバストップの有無も選べました。街の花屋さんや酒屋さんのデリバリーバンとして、サイドパネルにお店のロゴを大きくペイントし、可愛らしい姿で路地を走る姿が思い起こされます。

 記録では、販売台数が1万600台が販売されたということです。

●日産「ラシーン」

 1993年の東京モーターショーに出展され、1994年12月に発売されたのが日産「ラシーン」です。「サニー」をベースにRV車らしいエクステリアが与えられ、全車4WDかつ低い車高というややアンバランスな雰囲気を持つクルマとなっていました。

 搭載されるエンジンは当初1.5リッターで、マイナーチェンジ時に1.8リッターへ変更。そして、1998年に登場したスポーティグレードの「ラシーンフォルザ」では最高出力145馬力の2リッターエンジンが採用されています。

 セールスは好調で、2000年の販売終了までに7万台以上も販売されました。いまでも中古車として人気の1台で、ラシーン専門の中古車店もあるといいます。

※ ※ ※

 日産が世に送りだしたパイクカーは、性能ではなく、ファッション性のアピールが奏功してヒットしました。しかし、日産はパイクカーの限定生産では出来た新しい試みや実験をその後の商品戦略に活かせず、90年代後半には経営難に陥りました。

 安全性能や環境性能、生産効率性が優先され、似たような表情のクルマが溢れる今こそ、愛嬌のあるデザインのパイクカーが各メーカーから輩出され、クルマを楽しむ文化が今一度花開くことを期待したいです。

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