もはや「スカイラインGT-R」は手が届かない存在!? 価格高騰が激しい車3選
くるまのニュース / 2019年10月12日 16時10分
いま「旧車」と呼ばれるクルマの価格が世界的に高騰しています。とくに20年から30年前のクルマの価格が、ここ数年でイッキに上がりました。そこで、激しく価格が高騰している旧車のなかから3車種をピックアップして紹介します。
■世界中で旧車の価格が著しく高騰
ここ数年で世界中の旧車、クラシックカーの中古車価格が高騰しています。なかでも、1980年代から1990年代に生産されたクルマの価格が著しく上がっています。
価格高騰の理由は、投機の対象となっているケースや当時買えなかった人が買おうとして人気が出たケース。さらに、国産車では日本専売だったモデルが海外で人気となったケースなどが考えられます。
そこで、現在、価格高騰している旧車のなかから、著しく高額になってしまった3車種をピックアップして紹介します。
●日産「スカイラインGT-R」
日産「スカイライン」の高性能モデル「スカイラインGT-R」は、初代が1969年に発売されました。
初代スカイラインGT-Rは「ハコスカ」とも呼ばれ、当初は4ドアのみでしたが後に2ドアが発売されました。1973年に2代目の通称「ケンメリ」となりますが、排出ガス規制強化の影響で、わずか197台しか製造されませんでした。
ここで、一旦スカイラインGT-Rの系譜は途絶えますが、1989年にR32型スカイラインで復活します。そしてR33型、R34型になり、2002年に「VスペックIIニュル」と「Mスペックニュル」の2台の最終限定車が出て、生産を終了しました。
そして、2007年に日産「GT-R」として再度その名が復活したことでスカイラインGT-Rの人気が再燃しますが、きっかけはアメリカといわれています。
R34型までのスカイラインは、ほぼ日本専売で、左ハンドルは作られずアメリカに輸出されていません。
アメリカでは排出ガス規制や安全基準の問題から中古車の輸入が制限されていますが、生産から25年経ったものはクラシックカーとして制限が緩和され、輸入できるようになるのです。
そこで、生産から25年以上経ったR32型スカイラインGT-Rの中古車が、大量にアメリカへ渡りました。
国内のR32型スカイラインGT-Rは急激に数を減らし、当然のように価格が高騰します。ハコスカ、ケンメリはもともと希少価値が高かったのですが、海外でも価値が認められ、いまでは1000万円から数千万円というのが相場になっています。
なお、前述の「VスペックIIニュル」と「Mスペックニュル」も、程度がよい中古車は新車価格の2倍以上の価格で販売されています。
●ホンダ「NSX」
初代「NSX」のドライビングプレジャーが再評価された!?(画像は「NSX タイプR」)
1990年に発売された初代ホンダ「NSX」は、最高出力280馬力(5速MT)を発揮する3リッターV型6気筒エンジンをリアミッドシップに搭載し、当時は「和製スーパーカー」とも呼ばれました。
バブル景気真っ只中の当時、国産乗用車では最高額だった800万円(消費税含まず)からという高価格にも関わらず発売前から注文が殺到し、発売時にはすでに3年分のバックオーダーを抱えていたといいます。
この初代NSXも2006年に生産終了になって、ここ数年で価格が上昇してきました。とくにMTモデルと、サーキット走行を視野に入れた高性能モデル「NSX タイプR」の価格上昇が顕著です。
NSX タイプRは前期の3リッター版と、後期の3.2リッター版がありますが、どちらも生産台数が少ないこともあって、軒並み新車価格を上回る状況です。
比べ物にならないほど高性能化した新型NSXが発売されても、ピュアなスポーツカーの初代NSXは、まだまだ色褪せない魅力があるということでしょう。
■完全に投機の対象となってしまった空冷911
●ポルシェ「911」
「911」のなかでもっとも価格高騰したといわれる73年式「カレラRS」
ポルシェ「911」は1964年に初代の生産が開始され、現在に至るまで一貫してリアエンジン・リアドライブを継承してきたドイツを代表するスポーツカーです。
この911のなかでも1998年まで販売された、空気でエンジンを冷やす「空冷エンジン」を搭載したモデルの価格高騰が著しいです。
ポルシェは定期的に限定販売の特別な911をリリースしますが、これが投機の対象になったため、それに引きずられるように空冷モデルすべてが値上がりしてしまいました。
とくに話題となったのが1973年に1500台ほど販売された「911カレラRS」で、オークションでの落札相場は1億円近くに達しています。
また、1989年から1993年まで販売された964型は「カレラRS」「ターボS」「スピードスター」「カレラ4ターボルック」など限定車が複数作られたこともあり、これらも著しく価格高騰しています。
日本においては、まだ価格高騰が始まっていないころに販売されていた空冷911の中古車が、欧米の中古車に比べて程度がよいこともあって、海外のバイヤーに目をつけられて相当数が国外へ流出する事態になりました。
その結果、国内の空冷911は軒並み価格が上がったというわけです。
※ ※ ※
旧車の価格高騰のピークは過ぎたといわれています。しかし、一度上がった相場は、簡単には下がらないでしょう。
また、青田買いのようにアメリカの25年ルールに達していないモデルの価格高騰も始まっています。本当に欲しいという人が買えなくなった状況は問題ありますが、これといった打開策もないのが現状です。
リーマンショック級の経済危機でもない限り、しばらくはこのまま高騰が続くと予想されます。
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