本当に失敗作だったのか!? さまざまな理由で悲運だった迷車5選
くるまのニュース / 2019年11月5日 6時10分
新型車はどれも販売目標台数を設定していますが、すべてがその目標をクリアできるわけではありません。なかには目標を大きく下まわり、短期間で販売を終了したり、マイナーチェンジでテコ入れがおこなわれるモデルがあります。そんな残念な結果になったクルマ5車種をピックアップして紹介します。
■悲しい運命をたどった迷車たち
毎年のように新型車がデビューしますが、その影で人知れず販売を終了するクルマがあります。
どのクルマもメーカーが目標とする販売台数を設定しますが、すべてのクルマがその目標を達成するわけではありません。
目標を下まわるようならば、テコ入れがおこなわれたり、販売を終了して次世代になるか消滅するかが選択されるのです。
そこで、さまざまな理由で姿を消した悲運の迷車を5車種ピックアップして紹介します。
●三菱「ミラージュディンゴ」
ダイハツ「トール」やスズキ「ソリオ」といった、コンパクトサイズで全高が高い2列シートのモデルをトールワゴンと呼びます。
これまでもトールワゴンはさまざまなメーカーが販売してきましたが、ひと際異彩を放っていたのが、三菱「ミラージュディンゴ」です。
1999年に発売されたミラージュディンゴは、同社のコンパクトカー「ミラージュ」の名を冠していますが、派生車ではなく独立した車種でした。
デザインで目を引いたのがフロントフェイスで、ターンシグナルを内蔵した縦型ヘッドライトが、どの三菱車とも共通項のない個性を主張。テールライトもヘッドライトと同様に縦基調となっています。
発売当初は新開発の1.5リッター直列4気筒直噴エンジンを搭載し、メカニズム的には意欲作でしたが、販売はそれほど順調ではなく、むしろ発売年がピークで年々下がる状況でした。
そこで、三菱は2001年にミラージュディンゴのマイナーチェンジをおこない、フロントとリアのデザインを大幅に変更。
とくにフロントフェイスはまったくの別物で、縦基調から横基調となり、個性的とはいいがたいオーソドックスなイメージでした。
ここまでの変更となると、初期のデザインを完全に失敗したと認めたようなもので、結局、販売台数は好転することなく2002年に生産を終了。後継車はなく、ミラージュディンゴの名は消滅します。
●ホンダ「ライフ」
あえて短いモデルライフで勝負した2代目ホンダ「ライフ」
ホンダ「ライフ」は「N360」の後継車としてデビューした360cc時代の軽自動車が始まりでした。その後、ホンダは一旦軽自動車製造から撤退しますが、1985年に550ccの初代「トゥデイ」を発売し、軽自動車製造を復活。
そして、1997年に2代目となる「ライフ」を発売します。ライフは2代目トゥデイとシャシやエンジンなどを共有したトールワゴンタイプのモデルです。
この2代目ライフは、わずか1年半ほどで生産を終了するという、異常なほど短命でした。理由としては1998年に軽自動車規格が変わり、ボディサイズが大きくなったためです。
1998年にはキープコンセプトでフルモデルチェンジした3代目ライフが発売されたので、販売が途切れることはなかったのですが、この1年半のわずかな期間のために、多くの部品を新規で開発したことに驚きます。
ライフは2014年に後継車の「N-WGN」にバトンタッチするまで販売され、人気も獲得していました。2代目は決して人気がなかったわけではありませんが、短命で終わることがわかっていたはずなので、ライフの歴史のなかでは謎の存在です。
●日産「レパードJフェリー」
日本のトレンドには乗れなかった「レパードJフェリー」
日産「レパード」は、初代が2ドアと4ドアのスペシャリティカーとして1980年に発売。2代目は刑事ドラマでもおなじみの2ドアクーペとして1986年に発売され、人気を博します。
そして、1992年にフルモデルチェンジして3代目にあたる「レパードJフェリー」が発売されました。
レパードJフェリーは4ドアセダンとなり、北米の高級車ブランド「インフィニティ」から販売された「J30」の国内向けという位置づけでした。
上級グレードには4.1リッターV型8気筒エンジンが搭載されるなど、先代のハイソカーから高級車路線にシフトします。
特徴的な外観のデザインは全体的に曲線を多用した形状で、なかでもトランクがリアにかけて下がる、いわゆる「尻下がり」のデザインでした。
この尻下がりはアメリカでは昔から高級車に採用されていましたが、日本では受け入れられず、さらに丸みをおびたデザインは高級車として押し出しの強さがなかったことや、バブルが弾けた後だったことも販売不振の原因となりました。
あまりにもレパードJフェリーが売れなかったため、当時、ディーラーでは数十万円の値引きが当たり前だったといいます。
1996年に発売された4代目レパードは「セドリック/グロリア」のコンポーネントをベースとした、比較的オーソドックスなデザインのセダンになりましたが、販売台数は好転せず1999年に販売を終了。後継車はありませんでした。
■完全にターゲットを見失ってしまったモデル
●ホンダ「CR-Xデルソル」
ピュアスポーツ捨てて混迷した「CR-Xデルソル」
1992年に発売された3代目「CR-X」にあたる「CR-Xデルソル(delSol)」は、「トランストップ」と呼ばれた電動オープンルーフ(手動脱着式もあり)を備えた2シータースポーツモデルです。
上級グレードのエンジンは同時期の「シビック SiR」と同じ1.6リッター直列4気筒DOHC VTECで、最高出力は170馬力と当時のクラストップレベルを誇りました。
しかし、電動オープンルーフによる車両重量増によって、ライトウエイトスポーツだった先代までのCR-Xのイメージは薄れてしまいます。
そして、2代目まではジムカーナなどのモータースポーツで大活躍したことで、走りを重視したユーザーから人気となりましたが、3代目は後継車とは思えないほどの変わりようだったため、これまでのCR-Xユーザー敬遠されてしまいました。
デルソルはスペイン語で太陽を意味し、スイッチ操作で手軽に陽光を浴びてオープンエアドライブを楽しめるFFスポーツカーを目指たのですが、1989年に登場したユーノス「ロードスター」の人気に対抗する目的があったのかもしれません
結局、販売は不振のまま、この代をもってCR-Xは終了となります。
●トヨタ「パッソセッテ」
まさかの先代再販という苦渋の決断を強いられた「パッソセッテ」(画像は「ブーンルミナス」)
2003年に3列シートと両面スライドドアを備えたコンパクトミニバンのトヨタ「シエンタ」が発売されました。取り回しのよい大きさの車体と広い室内で、ファミリー層から絶大な人気を得ます。
2008年にはシエンタの後継車として、ダイハツのOEM車「パッソセッテ」(ダイハツブランドでは「ブーンルミナス」)が発売されます。しばらくパッソセッテとシエンタは併売されましたが、2010年にシエンタの販売を終了。
パッソセッテの「セッテ」とはイタリア語の「7」で、文字通り7人乗りを強調するネーミングです。
リアドアはヒンジドアを採用して装備も簡素化した結果、価格は149万円(消費税込)からと戦略的な設定でした。しかし、ユーザーからはスライドドアの利便性が求められており、パッソセッテの販売は極端に低迷してしまいます。
そこでトヨタが採った策は異例の珍事というべき、生産を終えていたシエンタの再販を決めたのです。2011年にシエンタがマイナーチェンジとして復活し、逆に2012年にはパッソセッテが販売終了となってしまいました。
その後、シエンタはコンパクトミニバンとして、いまも好調なセールスを記録する人気モデルです。
ちなみに、姉妹車のブーンルミナスもパッソセッテと同時期に販売を終了していますが、マレーシアのプロドゥア(ダイハツとの合弁会社)から「アルザ」という車名で生産され、いまも販売を継続しています。
※ ※ ※
ひとくくりに失敗作とはいえないモデルもありますが、短命であったりフルモデルチェンジすることなく消えてしまうのは、メーカーとしては大打撃でしょう。
すべてのクルマがベストセラーになるわけではないので、販売が低迷するモデルがあるのは仕方ないのかもしれません。
近年はどのメーカーも、緻密なマーケティングと企画によって大失敗はしなくなりましたが、堅実すぎるのも面白みがないと感じてしまいます。
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