もはや絶滅危惧種!? いま新車で手に入る国産ステーションワゴン5選
くるまのニュース / 2019年11月17日 6時10分
人を乗せるならミニバン、アクティブに使うならSUVと、だんだん需要が減っているステーションワゴン。生産されている車種もだいぶ少なくなりましたが、残っている車種は意外にも好調なセールスを記録していたりします。そこで、今回は現在新車で購入できる数少ない国産ワゴンを紹介します。
■人気ジャンルから一転して次々と絶版になったステーションワゴン
日本におけるステーションワゴン(以下、ワゴン)の歴史は古く、1960年代には1車種でセダンとワゴン、バンなどをラインナップするのが普通でした。しかし、それほどワゴンの人気は高くなく、セダンが主流となっていました。
それは、ワゴンが商用車のバンをイメージさせ、仕事のクルマの印象が強かったからといいます。
そんな状況を一変させたのが、1989年発売のスバル「レガシィ ツーリングワゴン」です。レガシィはバンをラインナップせずに、動力性能や運動性能も高く、ワゴンのイメージを変えました。
それ以降ワゴンの人気が高まり、各メーカーもワゴンのラインアップを拡大します。
しかし、1990年代後半には、より多くの人を乗せられるミニバンがブームになり、2000年代に入ってからはアクティブなイメージの強いSUVが支持されるようになりました。
いまではワゴン人気はめっきり下火になり、たくさんあった車種も次々と絶版になってしまい、日産や三菱はワゴンの生産から撤退してしまったほどです。
そんな状況のワゴンですが、2019年11月現在も国産ワゴンはまだまだあります。そこで、いま新車で購入できる国産ワゴンを5車種ピックアップして紹介します。
●トヨタ「カローラツーリング」
2019年9月17日にセダンのトヨタ「カローラ」とワゴンの「カローラツーリング」がフルモデルチェンジして登場しました。カローラシリーズとしては7年ぶりの刷新で、通算で12代目となります。
カローラツーリングは全長4495mm×全幅1745mm×全高1460mmと、シリーズ初の3ナンバーサイズになりましたが、車体外装部品を国内専用とすることで、グローバルモデルと比べると全長は-155mm、全幅は-45mm小型化されています。
パワートレインは2018年に発売された5ドアハッチバックの「カローラスポーツ」と同じ、116馬力を発揮する1.2リッターターボエンジンと、1.8リッターの自然吸気、1.8リッターエンジン+モーターのハイブリッドの3種類から選べます。
なお、1.2リッターターボエンジン車は6速MT専用となっており、ATは設定されていません。
サスペンションはフロントがマクファーソンストラットでリアがダブルウイッシュボーンと、4輪独立懸架にグレードアップされたことで、走りの質を向上させています。
なお、従来型の「カローラフィールダー」もグレードを限定して併売されています。
●ホンダ「ジェイド」
走りの質が高く評価されている「ジェイド」
ホンダのラインナップには2台のワゴンがありますが、2015年に登場した「シャトル」と「ジェイド」です。なかでもジェイドは、もともと3列シートの6人乗りのみの設定で「ストリーム」の後継車という位置づけのヒンジドアのミニバンでした。
しかし、ヒンジドアを採用するミニバンの需要が縮小していたこともあり、販売は低迷。2018年に2列シートの5人乗り仕様を投入し、ワゴンのイメージを強めて新たな需要を喚起することになりました。
また、パワーユニットもデビュー当初はハイブリッド(1.5リッターエンジン+モーター)だけでしたが、途中から1.5リッターのターボエンジンを追加し、スポーティさを強調しています。
さらに、ジェイドの魅力は、低い全高と優れた足回りがもたらす走りの性能です。
サスペンションはFF車では少数派の4輪独立懸架で、リアにダブルウイッシュボーンを採用しており、重心の低いボディは山道などで威力を発揮します。
また、使い勝手という点では1540mm(RSグレード)という全高は、ほとんどの立体駐車場(機械式)に駐車が可能で、現行モデルの3列シート車ではジェイドのみとなっています。
●マツダ「マツダ6 ワゴン」
美しいデザインのワゴンとして定評がある「マツダ6 ワゴン」
現在、マツダはフラッグシップの「マツダ6」にのみワゴンをラインナップしています。
マツダ6は2019年7月まで「アテンザ」の名で販売されていたミドルクラスのクルマで、ご先祖にあたる「カペラ」の時代から伝統的にワゴンが用意されていました。
ミドルクラスといってもかなりの大柄で全長は4800mmを超え、全幅も1840mmと堂々たるサイズです。面白いのがセダンよりホイールベースも全長も短いことで、その結果ワゴンはセダンより若干軽快感のある運転感覚を実現。
また、外観のデザインは流麗で美しいと高い評価を得ており、塗装についても「匠塗 TAKUMINURI」と呼ばれるマツダ独自の塗装技術により、デザインを質感高く際立たせています。
市場規模の小さくなったワゴンでは珍しく、エンジンのバリエーションが豊富なのも特徴です。2リッター自然吸気と2.5リッター自然吸気および2.5リッターターボのガソリンエンジンに、2.2リッターのクリーンディーゼルを加えた全4種から選べます。また、ディーゼルに限ってですが、6速MTも用意されています。
■そろそろモデルチェンジがありそうなワゴンとは!?
●トヨタ「プリウスα」
「プリウス」の派生車として登場したワゴンの「プリウスα」
トヨタ「プリウスα」は、ハイブリッド専用車「プリウス」の先代型(3代目)をベースとするワゴンです。単純にプリウスのボディを伸ばしただけの安直な作りではなく、共通なのは1.8リッターのエンジン+電気モーターのハイブリッドシステムとステアリング程度といわれ、似て非なるクルマというのが実際のところです。
ラインナップは2列シート仕様と3列シート仕様がありますが、さすがに3列目を使用している状態ではワゴンと呼べるほど荷室の広さはなく、荷室容量は200リッターとコンパクトカー並です。
2列シート仕様はワゴンらしく500リッターを超え、リアシートを倒せば1070リッターもの積載量を誇ります。
先進安全装備を充実させるなどマイナーチェンジを重ねていますが、発売が2011年とすでに8年を経過しているため、そろそろフルモデルチェンジが期待されています。
●スバル「レヴォーグ」
もうすぐ次期モデルとなるスタイリッシュなワゴンの「レヴォーグ」
冒頭にあるとおり、日本にワゴン文化を根付かせた立役者「レガシィ」もいまではワゴンの設定はなく、セダンの「B4」とクロスオーバーの「アウトバック」のみです。
「インプレッサ」もスポーツワゴンはなくなり、現在はインプレッサとプラットフォームを共有する「レヴォーグ」が唯一のワゴンモデルとなっています。
レヴォーグはいまでこそ欧州でも販売されていますが、もともとは日本専売モデルとして開発され、ボディサイズなど日本での扱いやすさが重視されています。
搭載されるエンジンは1.6リッターおよび2リッター水平対向4気筒ターボです。
全グレードが4WDかつ運転支援システム「アイサイト」が装備されるのはスバルらしいところで、スポーティなハンドリングと高い安全性が両立されています。
荷室の使い勝手が良いのもレガシィで経験を積んだスバルならではで、開口部の広さやホイールハウスの小ささなど、細かい部分まで真面目
に作られている印象です。
2020年にはフルモデルチェンジが予定されており、東京モーターショー2019では新型レヴォーグのプロトタイプが初公開されました。
※ ※ ※
人気ではミニバンやSUVに押され気味のワゴンですが、全高や重心の低さ、使い勝手や走行性能においてはアドバンテージがあります。
子育てがひと段落したファミリー層が、ミニバンからSUVに移行しはじめているといいますが、よりドライビングプレジャーを求めるならワゴンという選択肢もあります。
実際、トヨタがカローラツーリングという新型ワゴンを出したということは、勝算アリということではないでしょうか。
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