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聞こえる? HV・EVの接近音 自分好みのカスタマイズは可能なのか

くるまのニュース / 2019年11月18日 10時10分

ハイブリッド車や電気自動車が接近する際、「ヒューン」という電子的な音が聞こえることがあります。ハイブリッド車でエンジンが稼働していないときやエンジンが搭載されていない電気自動車の場合、走行時は静かなはずですが、なぜ電子的な音が出ているのでしょうか。

■新型車は2018年3月より、継続販売車は2020年10月より搭載が義務化

 ハイブリッド車や電気自動車が接近する際、「ヒューン」という電子的な音が聞こえることがあります。ハイブリッド車でエンジンが稼働していないときやエンジンが搭載されていない電気自動車の場合、走行時は静かなはずですが、なぜ電子的な音が出ているのでしょうか。

最近のハイブリッド車や電気自動車には「車両接近通報装置」が義務付けられている最近のハイブリッド車や電気自動車には「車両接近通報装置」が義務付けられている

 電子的な音の正体は、搭載されているモーターから出ている音ではなく、車体に取り付けられたスピーカーから発せられる疑似音なのです。

 この電子音(接近音)が採用されている理由は、モーターで走行しているときは音がほとんどしないため車両の接近に気が付きにくく、事故やトラブルにつながる恐れがあるほか、歩行者などから「身の危険を感じた」という声も多かったことから、視覚障害者団体や一般ユーザーからの要望で、2010年頃から接近音の採用が検討されました。

 国内の自動車メーカーは、2010年頃から自主的に「車両接近通報装置」を装備してきましたが、その後、国土交通省は、「新型車の場合は2018年3月8日から、継続生産車の場合は2020年10月8日から」という内容で車両に対する搭載時期を義務付けされました。

 当時の車両には、接近音をキャンセルできる機能も搭載されていましたが、義務化に伴い一時停止機能などのキャンセラー機能も搭載が出来なくなります。

 しかし、一部のユーザーでは、接近音のキャンセラー機能を付けているユーザーもいるようですが、それに対してどのような対応になるのか、国土交通省自動車局は次のように説明します。

「義務化となってからは、一時停止はもちろんキャンセラーの装着も不可(保安基準不適合で車検に通らない)となっています。

 しかし、義務化以前の車両については、キャンセラーを付けても車検には関係ありません。今後も同様です。関係ない、というよりも保安基準の項目にないため、正確には『車検時に見ない』といった方がいいかもしれません」

※ ※ ※

 また、義務化されてもすべてのハイブリッド車や電気自動車に適用されるわけではないようです。

 国土交通省によれば、適用範囲となるのは「燃料電池自動車を含む、EV走行が可能なハイブリッド車及び電気自動車」となります。

 これは、エンジンが回転停止状態でも、モーターのみで走行可能なクルマを指し、EV走行とエンジン走行が切り替え可能なクルマも対象ですが、EV走行が不可能なハイブリッド車は範囲外です。

 モーターのみでの走行ができないハイブリッド車は、発進時にエンジンの出力を必要とするため、一般的なエンジン自動車と同等の気づきやすさが確認されていることから、対策は不要と判断されました。

 接近音の義務化について、トヨタは次のように話します。

「トヨタでは、プリウスをはじめ多くのHV車に車両接近通報装置を標準装備してきました。保安基準によって義務づけられた2018年3月8日以降発売のモデルについては、音量や音の種類を変えて、より気づかれやすい音になっています。」

 また、接近音が鳴る条件も明確に決められています。国土交通省では「車両の発進から車速が20km/hに至るまでの速度域及び後退時において、自動で発音するものとする」としています。

 理由は、EV走行では発進時がもっとも危険と考えられているためです。走行時はタイヤのロードノイズやモーター音が発生しますが、発進時はほぼ無音に近く、視界で捉えない限り認識は難しいとされています。

 ちなみに、一般的なエンジン音との差は、発進から時速20km/h程度の速度までで最大で20dBとのことで、20dBの音量とは、「5m先のささやき声が聞こえる」程度です。

■接近音は自分好みにカスタム出来るのか?

 2017年の東京モーターショーにて、日産は車両接近通報音「カント」を発表しました。これは、接近音のコンセプトといえるもので、現在は2019年8月にマイナーチェンジした「セレナ e-POWER」に採用されています。

 カントについて、日産は次のように説明しています。

「カントは車両接近通報音のコンセプトとして発表しました。市街地走行における日産らしさを聴覚で感じられるように工夫し、歩行者だけでなく、道路周辺の住民、車両の乗員にも自然で聞きやすいものになるよう配慮され、各国の法規要件と照らし合わせたうえで、将来生産する電動車に、順次採用していく予定です。

 なお、電気自動車の『リーフ』は初代発売時から発進時で30km/hまで、減速時で25km/h以下になると車両通報接近音が鳴る仕組みで、音はe-POWER車の『ノート』、『セレナ』もすべて同じ音になっています」

接近音を発するスイッチ(左)や一時的にキャンセルできる機能が付いていた時期もあった接近音を発するスイッチ(左)や一時的にキャンセルできる機能が付いていた時期もあった

 また、国土交通省によれば車両の接近音は、「ただ歩行者が気がつけばいい」というわけではないようです。接近音は「車両の走行状態を想起させる連続音」と定められています。

 そのなかで、不適当とされているのは「サイレン、チャイム、ベル及びメロディ音」、「警音器の音」、「鳴き声など動物や昆虫が発する音」、「波、風及び川の流れなどの自然現象の音」、「そのほか、常識的に車両から発せられることが想定できない音」です。

 ポイントとなるのは、「常識的に車両から発せられることが想定できない音」という部分です。好きなアーティストの楽曲を流したり、愛犬の鳴き声を接近音にするなどのカスタマイズは認められていません。

 加えて、速度に応じて音量または音程が自動で変化するなど、車両の動作が認識しやすいように工夫することも必要とされています。

 また、カー用品店などでは、そもそもカスタマイズの注文を受け付けていないようです。全国的な中古車販売店ガリバーを運営する、株式会社IDOMは以下のように話します。

「車両接近音は世界基準で周波数や音量が決まっているため、お客様からご要望があったとしても、車両接近音の変更はお受けしておりません」

※ ※ ※

 接近音はスピーカーから発せられているため物理的にはカスタマイズが可能ですが、多くのカー用品店などで受け付けていないほか、車検にも通りません。

 世界的な基準として明確な規定があるため、接近音のカスタマイズは不可能と考えた方が良いでしょう。

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