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なぜディーゼルにこだわる? マツダが国内のディーゼル車販売でトップシェアになった理由

くるまのニュース / 2019年12月13日 7時10分

マツダのディーゼル搭載車が2012年の発売から50万台の販売を達成しました。これは国内のディーゼル搭載車販売の過半数となる数値です。なぜマツダはこれほどまで多くのディーゼル車を販売するに至ったのでしょうか。

■国内でもっとも多くのディーゼル車を販売するマツダ

 マツダは2019年11月27日に、マツダのクリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D」搭載車の国内販売が、2019年9月末で累計50万台に達したと発表しました。

 SKYACTIV-Dは、従来のディーゼルエンジンより走行性能や燃費性能、環境性能を大きく進化させた新世代のエンジンとして、2012年2月に発売された「CX-5」を皮切りに、国内への導入を開始。コンスタントに販売を伸ばし、わずか8年ほどで50万台という数値を達成しました。

 現在では、1.5リッター、1.8リッター、2.2リッターの3種の排気量をラインナップし、「ロードスター」と軽自動車を除くすべての乗用モデルに展開しています。

 同時期に日本国内で販売された他ブランドのディーゼルエンジン搭載車を含む、ディーゼルエンジン搭載車が約96万台だというので、マツダの50万台というのは半分を超えています。国内で販売されるディーゼルエンジン車のなかでも、マツダが突出した人気を集めていることが分かります。

 ちなみに、他銘柄のディーゼル車といえば、国内ブランドでは、トヨタ「ランドクルーザー」「ハイラックス」「ハイエース」「グランエース」、日産「キャラバン」、三菱「デリカD:5」「エクリプスクロス」といったところで、あまり数はありません。

 一方、輸入車系は、メルセデス・ベンツを筆頭とする欧州ブランドのほとんどがディーゼルエンジンを用意していますが、国内での販売数でいえばマツダほどの規模はありません。

 マツダがディーゼルエンジンに力を入れる理由のそのひとつが、ディーゼルエンジンそのものの魅力にあります。ディーゼルエンジンには「燃費性能に優れている」「低回転のトルクが強い」という美点があります。燃費規制への対応と走りの良さを追求する解決策のひとつが、ディーゼルエンジンなのです。

 しかも、ディーゼルエンジンは、燃費性能が良いうえに、燃料となる軽油はガソリンよりも安価。もともと安い燃料を、低燃費で使うのですから、ランニングコストに優れています。そのためもあってか、ハイエースやキャランバンといった、走行距離の伸びる商用車にもディーゼルエンジンが好まれています。

 また、低回転でのトルクが強いので、加速力の良さもディーゼルエンジンのメリットです。その上、高速道路を走るときにエンジン回転数を低く抑えることが可能で、それが「さらなる燃費の向上」「高速走行時のエンジン振動の低下=快適性の向上」を実現します。

 そして、低回転でのトルクの強さは、大きく重いヘビー級のクルマにもぴったりな性格です。トヨタのランドクルーザーやハイラックス、三菱のデリカD:5などがディーゼルエンジンを採用するのも、そうしたエンジンキャラクターがクルマにマッチしているというのが理由になります。

■ディーゼルと対抗するハイブリッド

 メリットが多いディーゼルエンジンですが、弱点も存在します。振動と騒音の大きさに加え、最大の問題が排気ガス処理の面倒さです。

 ディーゼルエンジンの排気ガスを、現代のガソリンエンジン並みにきれいにしようとすると、燃料供給や排気ガス処理のための特別な装置が必要になり、どうしても追加のコストがかかります。

 逆にいえば、最新のディーゼルは、そこにコストをかけて排気ガスをきれいにしているので、わざわざ名称に“クリーン”と謳っているのです。

マツダのディーゼルエンジンマツダのディーゼルエンジン

 そのなかで、マツダのディーゼルエンジンのSKYACTIV-Dは、技術革新により燃焼そのものをクリーンにすることで、高価な処理装置を使用せずに優れた排出ガス性能を実現。また、低圧縮比による高効率燃焼で、燃費性能も従来に比べて20%改善しました。

 このようなメリットがあり、多くのマツダ車にディーゼルエンジンが搭載されているのです。

 一方で、ディーゼルエンジンの対抗馬として存在するのが、ハイブリッドです。ハイブリッドは、ガソリンエンジンにモーターと電池を組み合わせて、優れた燃費性能を実現します。

 こちらも、普通のガソリンエンジン車よりも価格が高くなりますが、それでも燃費性能は抜群に優れます。また、低速度の走行ではモーター駆動を使えるので静かというのが美点です。

 燃費に対する規制は年々厳しくなり、クルマの燃費性能を高めようとなると、従来のガソリンエンジンだけでは対応できません。そこで解決策として浮上したのがディーゼルエンジンであり、ハイブリッドだったのです。

 そして、日本の多くの自動車メーカーが選択したのがハイブリッドで、その筆頭がトヨタやホンダです。

 また、EVに力を入れる日産と三菱も、電動化技術を生かすということでハイブリッドを得意とします。そして、スバルも「e-BOXER」を搭載してハイブリッド路線を歩み始めました。

 そんななか、日本ではマツダだけがディーゼルを選択。同じように欧州勢もディーゼルを選んでいます。

 しかし、地球温暖化を防止するという観点から、世界中で燃費規制が厳しさを増しています。ディーゼルエンジンは燃費性能に優れますが、それでも、今後ますます厳しくなる規制には対応できなくなることが予想されています。

 そのため、マツダも「この先は電動化する」と明言しています。電動化とはハイブリッドとEVを採用していくことを意味します。

 2019年10月に開催された東京モーターショーで、マツダは同社初のEVとなるマツダ「MX-30」を発表しました。

 また、マツダが新たに開発した次世代ガソリンエンジンと呼ばれる「SKYACTIV-X」には、マイルドハイブリッドのシステムが組み込まれています。マツダの電動化は、徐々にではありますが着々と進んでいるようです。

 マツダと同じように欧州ブランドも最近ではPHEV(プラグインハイブリッド)を数多く発表しています。

 東京モーターショーでメルセデス・ベンツは、ディーゼルエンジンをベースにしたPHEVの「E350de」を発表。ディーゼルエンジンのハイブリッドという選択肢も存在するのです。

※ ※ ※

 これまで厳しくなる燃費規制への対応は、「ディーゼルエンジンかハイブリッド」の二択でした。ところが、これからは「電動化」の一択になることが予測されます。

 ただし、世の中のすべてのクルマがEVに代わってしまうまでは、まだまだ長い時間が必要です。その間に主流となるのは、はやりハイブリッドです。そこにはガソリンエンジンだけでなく、ディーゼルエンジンも組み込まれることでしょう。

 つまり、まだまだガソリンエンジンとディーゼルエンジンは必要であるということです。ハイブリッドは、エンジンの性能も重要となります。

 そうしたハイブリッド時代になったとき、マツダの内燃機関(エンジン)にこだわる姿勢は意味あるものといえるのではないでしょうか。

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