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トヨタに定額で乗れる「KINTO」って何? 車のサブスクサービスで得する人とは

くるまのニュース / 2019年12月16日 15時0分

トヨタが2019年7月から展開している愛車サブスクリプションサービス「KINTO(キント)」は、月々定額でクルマに乗れるサービスです。普通に購入するのとKINTOでは、どちらがお得なのでしょうか。

■「KINTO」って何? お得にクルマに乗れる理由とは?

 トヨタと株式会社KINTOが立ち上げた、愛車サブスクリプションサービス「KINTO(キント)」は、クルマの所有の新たな形として注目されています。

 サブスクリプションとは、商品やサービスの購入にお金を払うのではなく、利用できる期間に対して定額の利用料を支払うことで、最近では音楽や動画配信、電子書籍など、さまざまな定額サービスが普及しています。

トヨタ「プリウス」は月額5万710円からトヨタ「プリウス」は月額5万710円から

 トヨタが展開するKINTOは、定額でクルマに乗れるサービスです。KINTOを利用すれば若年層ほどお得にクルマに乗れるというのですが、それはなぜなのでしょうか。

 通常クルマを購入する場合、はじめに車両代や登録諸費用などがかかります。現金一括やローンを組むなどして購入したうえで、任意保険や自動車税などの税金、定期メンテナンスにかかる費用がさらに必要となります。

 一方、KINTOを利用してクルマに乗る場合、車両代や登録諸費用、任意保険、自動車税、メンテナンスなどがパッケージ化され、月額定額で利用料を払うことになります(ガソリン代と駐車場代は含まれません)。

 株式会社KINTOの代表取締役社長 小寺信也氏は、次のように説明します。

「若い人のクルマ離れが叫ばれているなかで、ユーザーの声や販売現場の声を聞いていると、保険料が高くて手が出ないというお客さまが多いことがわかりました。まずは保険料に関する課題をクリアしたいと考えたのが、KINTOのはじまりです。

 故障や事故にしても、車両代以外に突発的なコストが発生するので、いわゆる維持費がかかるということがいわれてきましたが、そういったストレスを取り除きたいという意味で全部を“コミ”にしました」

 初めてクルマを所有する人が任意保険を契約すると、等級が6等級からはじまるので、割引率が低いです。また、運転者年齢条件についても、若い人ほど運転に不慣れで事故のリスクが高まるため、保険料が高く設定されていることから、クルマを所有することが難しくなるといわれています。

 そこでKINTOは、フリート(団体)保険でカバーすることで、保険料が高くなりがちな若い人にとってお得な料金設定としました。また、頭金やボーナス払いなどもないため、クルマを持つことへのハードルを下げることができます。

 はじめてクルマを持つ22歳のユーザーが新型「ライズ X “S” 2WD」を購入するときの3年間の費用で比較すると、現金の場合は総費用166万190円で月額4万6116円、KINTOの場合は総費用143万3520円で月額3万9820円となり、KINTOの方がお得であることがわかります。

 万が一、ぶつけたり事故などを起こした場合でも、免責5万円で修理することができます。1度や2度でなく、何度ぶつけても免責5万円は変わらないため、クルマに慣れていない若い人たちにとっては、安心してクルマを所有できるといえるのではないでしょうか。

 その一方で、すでに自分で保険を契約しているユーザーは、KINTOの方が安くなるとは必ずしもいえないようです。保険の等級が高い場合や年齢をはじめとするさまざまな状況によって、どちらがお得になるかは変わってきます。

 クルマの買い方がいろいろあるなかで、KINTOは新たな買い方を提案するものです。また、KINTOでは、ペットの乗車と車内での喫煙を不可としていることもあり、ユーザーの使用状況に応じて、どの買い方がお得になるのかを考慮したうえで、契約することが大切だといえます。

※ ※ ※

 すでに保険契約をしている人がKINTOを契約した場合、自身の保険は中断することになります。KINTO契約中は自分の保険の等級は上がりません。逆に、何度事故を起こしても、KINTOの保険でカバーするため、自分の保険の等級が下がることもありません。

 また、クルマを増車するときにもKINTOはお得だとされています。たとえば保険が20等級の人が増車するとき、セカンドカー割引が適用されても保険は7等級からはじまります。やはり割引率の関係で保険料が高くなってしまうので、そういったケースも、トータルで考えるとKINTOの方がお得になるようです。

■今後は「スープラ」「86」などのスポーツカーの展開も視野に

 KINTOは、2019年2月から東京でトライアルを実施し、3年間で6車種のレクサス車に乗り継ぐことができる「KINTO SELECT」と、3年間で1台のトヨタ車(プリウス、カローラスポーツ、アルファード、ヴェルファイア、クラウン)に乗れる「KINTO ONE」のふたつのサービスを始動しました(アルファード、ヴェルファイアは現在受付を一時中止しています)。

トヨタ新型「ライズ」はKINTOで月額3万9820円から乗れるトヨタ新型「ライズ」はKINTOで月額3万9820円から乗れる

 さらに同年7月から、KINTO ONEは全国展開するとともに、車種にアクアを追加して本格的にサービスを開始しています(KINTO SELECTはトライアル地域を31都府県に拡大してトライアルを継続)。

 これまでのKINTO ONEの申込数は累計951件で、ウェブでの申し込みが7割近を占めています。また、10代から20代が全体の20%、30代が17%と、トヨタの顧客層が高齢化しているなか、KINTOでは若年層が増えているといいます。

 KINTOの代表取締役社長 小寺氏は、KINTOの申し込み状況について次のように説明します。

「ウェブ経由でKINTOを申し込むお客さまは、日ごろトヨタの販売店と付き合いがないお客さまが多いです。若い人にとって、クルマの販売店は敷居が高いものですが、ウェブを利用することで、手軽に申し込みができるというのもKINTOのメリットです。

これまで接点がなかった新規ユーザーを取り込むことができて、販売店にも歓迎されています。

 最初は、KINTOがどういう顧客層にマッチするのか想像がつかなかったのですが、トヨタ全体のお客さまの年齢構成から比べると、KINTOを利用する人は若い人が多いというのは事実です。

契約件数はまだまだではありますが、われわれがこれまで接触できなかった新たな顧客層にリーチできていると評価しています」

 2020年からは、KINTOのプランが大幅に拡充されることが明らかになりました。

 2020年1月15日から、KINTO ONEのラインナップに「パッソ」「ルーミー」「タンク」「カローラ」「カローラツーリング」「カムリ」「ランドクルーザー」が追加されます。もっとも安いパッソは、月額3万2780円から利用できます。

 また、導入時期や価格は未定ですが、2020年2月発売予定の新型「ヤリス」も追加される予定です。

 さらに、レクサスブランドとして、「LX」「RX」「NX」「UX」「LS」「RC」「ES」「IS」がKINTO ONEに追加されます(LS/RC/ES/ISは2020年2月から)。

 これまでトライアル展開されていたKINTO SELECTは、「KINTO FLEX」に名称を変更し、2020年2月下旬から全国展開を開始。3年6台プランに加えて、3年3台プランも追加され、3台のレクサス車に1年ごとに乗り替えるプランも選択できるようになります。

 また、リースでのクルマ保有を希望する法人ニーズに応えるべく、KINTO ONEの法人受付が2020年1月15日から開始されます。任意保険が含まれるというKINTOのメリットはそのままに、月額利用費を賃貸借処理できる場合には全額経費として損金算入できということです。

 加えて、若い人に少しでもクルマに乗ってもらう機会を提供すべく、2020年1月下旬から中古車版KINTO ONEのトライアルも開始される予定です。

※ ※ ※

 日本だけでなく、KINTOは海外にも広がっています。フランスやイタリアをはじめとする欧州や、タイやインドネシアなどのアジアの一部で展開しています。

 また、すでに各種モビリティサービスを展開していますが、2020年以上はKINTOのグロバルブランドへの統一化を図るとしています。

 国内でのサービス展開についても、現在はラインナップにない「スープラ」や「86」「GR」系のスポーティなモデルも選べるようにしたいと小寺氏はいいます。

 その一方で、ユーザーの認知度が低い点は今後の課題としています。3年契約だけでなく、フレキシブルな期間設定ができるなどのサービス改善や、サービス認知や理解を得るための広告展開など、より多くの人に選んでもらえるような施策が必要です。

 若い人はクルマを購入した経験がないので、KINTOのようなサブスクリプションサービスに抵抗がないといわれています。

 高齢化する顧客層の若返りを図るためにも、KINTOはトヨタとしてもチャレンジする価値があるサービスだといえるのではないでしょうか。

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