スーパーカー仕様からオフロード仕様まで! 軽トラックのカスタム最前線
くるまのニュース / 2020年1月5日 14時10分
軽トラックといえば、農村を中心として活躍する商用車です。この実用一辺倒の軽トラックのカスタムがブームになりつつあります。軽トラックのカスタムにはどのようなジャンルがあるのでしょうか。
■軽トラックが農道のヒーローから公道のヒーローへ
農村だけでなく漁港や街の電気屋など、はたらくクルマとしてよく見かける軽トラック(以下軽トラ)。その軽トラのカスタムが、関西を中心にブームとなっています。はたらくクルマである軽トラが、いったいどのような姿へとカスタムされているのでしょうか。
街道レーサー風カスタムに、スーパーカーのようなドアの開閉スタイルが斬新
農業国の日本において、軽トラは農作業に欠かせないクルマです。軽トラは、日本独自となる軽自動車に区分され、小型トラックとして荷台を持つ特殊なボディ規格で製作されてきました。
1960年頃までは3輪車が主流で、1960年代以降は4輪車に発展。エンジンの排気量も、時代と共に360cc→550cc→660ccと拡大していきました。
カスタムされる軽トラのベース車両には、大きく3つの車種があります。
・スズキ「キャリイ」(OEM供給のマツダ「スクラム・トラック」、日産「NT100クリッパー」、三菱「ミニキャブ・トラック」)
・ダイハツ「ハイゼット・トラック」(OEM供給のトヨタ「ピクシス・トラック」、スバル「サンバー・トラック」)
・ホンダ「アクティ・トラック」
このうち、アクティ・トラックは、2021年6月に生産終了することが決定しています。
多くのショップが、これらの車種用のカスタムパーツを開発・販売しており、エアロパーツからサスペンションなどの足まわり、吸排気系パーツ、内装アイテムまで、多彩なアフターパーツがラインナップされています。
また、こうしたショップの連携によって、各地でイベントやオーナーズミーティングなどが開催され、軽トラカスタム業界が盛り上がっています。
こうしたイベントでは、オーナー自慢の愛車を披露するドレスアップコンテストも開催され、大盛況を博していると同時に、カスタムの手法も日々進化している状況です。
■最初の軽トラカスタムは街道レーサースタイルから
そもそも軽トラのカスタムがクローズアップされるようになったのは、2013年頃です。ブームの火付け役となったのは、京都府京田辺市にあるショップ「はろーすぺしゃる」で、代表小田氏は、昭和の街道レーサー世代です。
デコトラ風にカスタムした軽トラック
「はろーすぺしゃる」が手掛ける軽トラは、フロントにチンスポイラーを纏い、オイルクーラーを取り付けています。車高はローダウンされ、前後オーバーフェンダーに偏平引っ張りタイヤ&小径極太ホイールをハの字に履かせるスタイルです。
こうした往年の街道レーサー風スタイルの軽トラが、一部の大人に大変好評を博したのです。
小田氏の「農道のヒーローから公道のヒーローへ」を合言葉に、インパクトあるスタイリングとちょっとした悪ノリを織り交ぜてカスタムされた軽トラは、若い頃にクルマをカスタムして楽しんでいた40代、50代の世代には、どこか懐かしさを感じさせるものがあります。
実寸大のプラモデル感覚でカスタムを楽しめるということで、自営業や農家のクルマ好きの間で評判になり、次第に全国各地に軽トラカスタムが広がり、ブームとなったというわけです。
今では、軽トラカスタムのジャンルも街道レーサースタイル以外に多くのバリエーションが増えました。
デコトラ風にアレンジを加えたカスタム、スポーツカーのようにスタイリッシュなエアロパーツを纏ったカスタム、リフトアップしてオフロード走行が楽しめるアゲトラスタイル、さらにはサーキット走行用のタイムアタック仕様やドリフトを楽しむドリフト仕様など、実に幅広いカスタムスタイルが広まりました。
前述の軽トラカスタム業界の牽引役である小田氏は次のように言います。
「約20年前の軽トラ乗りを『軽トライダー』と呼んだ51系キャリイの時代を経て、63系キャリイから関西でショップをスタートしました。2年前にショップ開店10周年を迎え、令和最初のイベントも盛況でした。軽トラのカスタム文化は日本に定着したので、これからは世界に向けて軽トラの輪を広げていきたいですね」
今はまだ日本でしか見ることができない軽トラのカスタム文化ですが、すでに小田氏のもとにはアジア諸国からオファーが入っているそうです。今後、軽トラのカスタムは、さらに進化を遂げていくことが予想されます。
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