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新型「ライズ」好調でC-HR不調!? トヨタ全店併売で2020年は激しい同士討ちが加速か

くるまのニュース / 2020年1月9日 9時10分

最近の国内新車市場は、トヨタ車が上位を占めています。既存車の「プリウス」「アクア」「シエンタ」「ルーミー&タンク」に続き、2019年には新型車として「RAV4」や「カローラシリーズ」、「ライズ」と続々と新しいトヨタ車が登場しています。では、今後の国内新車市場もトヨタばかりになってしまうのでしょうか。

■トヨタ小型SUV「ライズ」と「C-HR」の勝負の行方は?

 2019年11月に発売されたトヨタ「ライズ」が好調に売れています。発売月に7484台を登録して、登録車販売台数ランキングの4位に入りました。

 これは、同社の「カローラシリーズ」、「シエンタ」、「プリウス」に続く販売実績です。ちなみに5位は「ルーミー」となり、同年11月は上位5台をトヨタが占める形になります。

新型モデルの動向や国内新車市場は、今後どうなっていくのでしょうか。

 またライズは、ダイハツ製のOEM車で、姉妹車にはダイハツブランドの「ロッキー」があります。このロッキーも11月に4294台を販売(登録)しました。ダイハツブランドは軽自動車が中心なので、小型車が1か月に4000台以上も登録されるのは珍しいです。

 ライズが好調に売れる理由は、5ナンバーサイズのコンパクトSUVという点が挙げられます。日本では5ナンバー車の人気が高く、登録車販売台数ランキングの上位にもシエンタ、日産「ノート」、ホンダ「フリード」、「ルーミー&タンク」といった5ナンバー車がランクイン。

 さらに、SUVも人気のカテゴリーです。ライズは大径タイヤの装着などによって外観に存在感があり、ボディの上側はワゴンと同様のスタイルなので、居住性や積載性も優れています。

 SUVはカッコ良さと実用性を両立させて人気を得ました。従って5ナンバーサイズでSUVのカテゴリーに含まれるライズは、日本の売れ筋路線にピッタリといえ、今後も好調に売れるでしょう。

 そこで気になるのが同じトヨタのコンパクトSUV「C-HR」です。2016年末に登場して、2017年と2018年(暦年)にはSUVジャンルにおいて販売台数1位となりました。

 ところが2019年には順位を後退させ、2019年上半期(1月から6月)の登録台数は、前年に比べて20%以上も減り、ライバル車のホンダ「ヴェゼル」に抜かれています。

 C-HRは、実用性よりも外観のカッコ良さで売れるSUVだといえ、発売直後には登録台数が急増しました。ユーザーが購買意欲を刺激され、愛車の車検を取った直後でも乗り替えたからです。その代わり需要が一巡すると、売れ行きが下がってしまいます。

 その点でヴェゼルは、燃料タンクを前席の下に搭載するレイアウトによって荷室の床が低く、コンパクトなSUVでも積載容量に余裕があります。後席の足元空間はミドルサイズSUV並みに広く、外観は少々地味ですが、実用性はC-HRより高いです。

 そのためにヴェゼルの販売は、2013年の発売以来好調で、2014年から2016年にはSUVジャンルにおいて1位でした。2017年と2018年は、前述の通りC-HRにSUVジャンルの1位を奪われましたが、C-HRの売れ行きが下がって再びヴェゼルが巻き返しました。

 C-HRの売れ行きが下がった背景には、同じトヨタ車同士の争いもあります。2019年4月にトヨタからミドルサイズSUVの「RAV4」が発売され、カローラ店とトヨタ店のみの取り扱いながら、売れ行きを一気に伸ばします。

 2019年5月の登録台数では、RAV4がヴェゼルとC-HRを抜いて、SUVの1位になっています。この月のC-HRの売れ行きは、前年同月に比べて24%減りました。

 RAV4は、2019年6月以降も好調に売れてSUVの販売1位を守り、逆にC-HRの対前年比は、マイナス35%から40%と低迷し、C-HRの需要が伸び悩み傾向になったところでRAV4が発売され、売れ行きが一層下がりました。

 2019年8月頃に、C-HRの販売低下についてトヨタの販売店(ネッツトヨタ店)に尋ねたところ、以下のような返答でした。

「RAV4とC-HRと比べて買うお客さまもおられます。小さなボディ、都会的な外観、求めやすい価格などにこだわるお客さまはC-HRを選びます。

 C-HRでは後席や荷室が狭いと不満を感じるお客さまは、価格は少し高いですが、車内に余裕のあるRAV4を購入されます。RAV4は4WDのメカニズムも充実しているので、悪路走破性でRAV4が選ばれることもあります」

※ ※ ※

 2019年に登場したRAV4が、C-HRを抜いてSUVの販売1位になり、しばらくはこの状態が続くと思われていました。ところが再び波乱が起こります。

 前述のライズが好調な売れ行きだからです。2019年11月のSUV販売1位はライズで、2位には同年10月にマイナーチェンジを実施したC-HRが入り、RAV4は3位に下がりました。

 ライズは、5ナンバーサイズのコンパクトSUVだからRAV4とは特徴が異なりますが、外観は似たところもあります。 RAV4、ライズともに、オフロードSUV風のデザインを採用しているからです。2019年11月の登録台数は、ライズが7848台、C-HRは5097台、RAV4は4988台なので、RAV4が下がったわけではありませんが、好調に売れる資質はライズの方が高く、コンパクトでオフロードSUVの雰囲気も併せ持つライズは、国内市場の好みに合っているからです。

 この点もトヨタのカローラ店に尋ねたところ、以下のような返答でした。

「ライズは全長を4m以下に抑えながら、後席と荷室に余裕を持たせたので、『ヴィッツ』や『アクア』などのコンパクトカーから乗り替えるお客さまも多いです。

 また、ミニバンの『ノア』からダウンサイジングすることもあります。C-HRとライズは別の魅力を備えていますが、ライズはボディがコンパクトで価格も安く、なおかつ実用性は同程度です。合理的に選ぶお客さまはライズ、スタイル重視のお客さまはC-HRを好まれます」

■2020年は「トヨタの敵はトヨタ」がさらに加速する?

 最近の国内新車市場では、40%近くが軽自動車です。ホンダも軽自動車に力を入れて、「N-BOX」が国内販売の総合1位になりました。その結果、ホンダが売る新車の50%が軽自動車になっています。日産の軽自動車比率も40%と高く、三菱は55%に達します。

 このように、従来から軽自動車を主力にしていたダイハツとスズキに加えて、ホンダ、日産、三菱まで軽自動車に力を入れているのです。

 その結果、小型/普通車の商品開発力と販売力が低下して、日本国内で売られる小型/普通車の50%がトヨタ車になりました(レクサスを含む)。軽自動車まで含めたトヨタのシェアは約30%ですが、小型/普通車に限れば、約半数に達します。

約3年ぶりに国内市場に復活した「RAV4」約3年ぶりに国内市場に復活した「RAV4」

 そうなると小型/普通車市場はトヨタの天下で、販売競争では「トヨタの敵はトヨタ」になります。そのためにC-HRが発売されたときは、ハイブリッドシステムやプラットフォームを共通化したプリウスの売れ行きが下がりました。

 次にRAV4が登場すると、C-HRは顧客を奪われました。さらにライズが発売されると、RAV4とC-HRが影響を受けるのです。このように小型/普通車は、トヨタ車同士が戦って、トヨタで完結しています。

 トヨタ車同士の争いは、今後さらに加速するでしょう。2020年5月になると、東京地区に続いて、ほかの地域もトヨタの全店が全車を扱う体制に移行するからです。

 東京地区以外のトヨタ系販売会社には、メーカー資本に頼らない地場の販売会社が多く、トヨタ店やトヨペット店といった系列は残ります。

 それでもトヨタの全店が全車を扱えば、RAV4もカローラ店とネッツ店の専売ではなくなり、手厚く売ってもらうことはできません。この点についても、トヨタのネッツトヨタ店に尋ねました。

「クラウンをネッツ店で販売できれば便利になりますが、売れる車種と不人気車の格差は激しくなるでしょう。販売会社も同様です。

 販売力の違いが、販売実績にハッキリ表われるでしょう。また以前はヴィッツのお客さまが遠方から来店されることもありましたが、全店が全車を売れば、その必要はありません。住宅地やオフィス街から離れた販売店では、お客さまが減る心配もあります」

※ ※ ※

 トヨタは全店併売と併せて、姉妹車を中心に、トヨタの車種数を半減させる方針も打ち出しています。ライズの登場に伴うC-HRやRAV4の販売ランキング低下は、2020年にトヨタで吹き荒れる、激しい同士討ちの予兆かも知れません。

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