無骨なスタイルが超カッコイイ! クロカン4WDを代表する名車5選
くるまのニュース / 2020年2月1日 6時10分
近年、人気が高まっているSUVは、都会的な雰囲気のモデルがほとんどです。一方で、1980年代から1990年代の、いわゆる「RV」は、悪路走破性を前面に押し出した無骨なモデルばかりでした。そんな無骨さがカッコいい往年のSUVを5車種ピックアップして紹介します。
■スマートではないけどカッコ良かった懐かしのRVたち
現在、世界的に人気が高まっているSUV(Sport Utility Vehicle)の起源は、アメリカのピックアップトラックといわれています。ワゴンのようなルックスにするために、荷台にFRP製のキャノピーを設置し、サーフボードやキャンプギアなどを載せるのが若者の間で流行しました。
近年のSUVは乗用車ベースの都会的なクロスオーバータイプが主流で、各メーカーから次々と新型車が登場しています。
一方で、1980年代から1990年代のSUVは本格的なクロスカントリー車が主流だったため、多くはトラックのシャシと同じラダーフレーム採用し、無骨なデザインのモデルがほとんどでした。
当時は「RV(Recreational Vehicle)」と呼ばれ、その無骨さがアウトドアギアのイメージと重なり、人気が高まって、ブームにまで発展。
そこで、1980年代から1990年代にかけて販売された懐かしのRVを、5車種ピックアップして紹介します。
●トヨタ「ハイラックスサーフ」
スタイリッシュなRVとして一世を風靡した「ハイラックスサーフ」(画像は北米仕様)
日本の高度成長期には数多くのピックアップトラックが、輸送手段として使われていました。小型モデルには日産「サニートラック」やトヨタ「パブリカピックアップ」があり、それよりも積載量が大きいモデルでは、日産「ダットサントラック」や三菱「フォルテ」、日野「ブリスカ」が人気でした。
そのブリスカの後継車として、日野と業務提携していたトヨタから1968年に発売されたのが初代「ハイラックス」です。北米市場でも「トヨタトラック」として販売され、高い信頼性と経済性で人気となります。
1984年に、4代目ハイラックスをベースにFRP製キャノピーを取り付けたモデルの初代「ハイラックスサーフ」がラインナップされました。
ちなみに、アメリカでは日本に先駆けて1983年に「4Runner」という車名で発売されています。
初代ハイラックスサーフは、4ナンバー登録のライトバン(貨物)としてデビューしたため、ハイラックス4WDと同じ4輪リーフリジッド式サスペンションを採用。乗り心地は硬く、悪路走破性や信頼性が重視されていました。
また、アメリカのSUVをイメージさせる2ドアのボディはスタイリッシュで、若者を中心に人気を博します。
1986年には5ナンバーの乗用車モデルが追加され、ユーザー層を拡大。1989年に2代目にバトンタッチするかたちで生産を終了しました。
●三菱「パジェロ」
普段使いもできる本格4WDとしてデビューした「パジェロ」
軍用車から派生した三菱「ジープ」は、本格的なクロスカントリー車の代名詞的存在です。しかし、機能性を突き詰めたジープは、普段使いには厳しいほどストイックなモデルでした。
そこで三菱は1982年に、ピックアップトラック「フォルテ4WD」のラダーフレームを流用し、乗用車のように普段使いもできるオフロードモデルの「パジェロ」を発売します。
初代パジェロには、メタルトップとキャンバストップがラインナップされていましたが、発売当初は全車4ナンバー登録のライトバンでした。
しかし、乗用車モデルを望む声が多かったため、1983年に5ナンバー登録の「メタルトップワゴン」が追加されます。
高い悪路走破性を持つ本格的なクロスカントリー車だったパジェロは、過酷なレースとして世界的に有名だった「パリ・ダカールラリー」に参戦し、市販車無改造部門でデビューウィンを飾るなど、イメージアップに成功。
後のRVブームでは、ブームをけん引する中心的な存在となりました。
●日産「ダットサントラック」
働くクルマから転じてRVとしてヒットした「ダットサントラック」
日本の経済成長を長年にわたり支え続けてきたといっても過言ではない日産「ダットサントラック」は、初代が第二次大戦前の1935に発売。
初代は720ccエンジンを搭載した小型車でしたが、その後、時代の流れと共にエンジンやボディが大きくなり、1980年には8代目ダットサントラックに初の4WD車が追加されました。
そして1985年に9代目になると、先代よりも乗用車的になったインテリアなどから、単なる小型ピックアップトラックではなくSUVとして認識されるようになります。
とくに4ドアでリアシートを持つ「ダブルキャブ」は、乗車定員が多いだけでなく室内空間が広いこともあり、マリンレジャーを好む若者たちには「クルマの中で着替えができる」と、人気になりました。
また、9代目ダットサントラックは長期間製造されたために、さまざまなエンジンバリエーションを持っていますが、1992年のマイナーチェンジで外観が北米仕様と近くなり、ゴツいピックアップトラックでありながらも2.7リッターターボディーゼルエンジンを搭載したモデルは、高い人気となりました。
なお、1986年に、ダットサントラックをベースにした、クロスカントリー車の「テラノ」が発売され、こちらも人気を博しました。
■脈々とコンセプトが受け継がれた唯一無二のRVとは
●日産「サファリ」
RVとしてデザインが秀でていた「サファリ」
国産クロスカントリー車の先駆けだった日産「パトロール」の後継車として、1980年に初代「サファリ」が発売されました。
そした1987年にモデルチェンジされた2代目では、サスペンションを4輪リーフリジッドからコイルスプリングへ変更するためにフレームも新設計され、オンロード走行時の操縦安定性と快適性が大幅に改善されます。
ロングホイールベースの4ドアは「エクストラ」と「エクストラハイルーフ」、ショートホイールベースの2ドアには「ハードトップ」の3種類のボディバリエーションが用意され、ワイドトレッド化のために張り出したフェンダーによって全車1ナンバー登録になりました。
1988年には4速AT車の追加、1991年には3ナンバー登録のワゴンもラインナップされ、エクストラでは3列目シートが追加された7人乗りとなり、幅広いユーザーを獲得。
また、2代目サファリは発売当初、全車ディーゼルエンジンでしたが、ワゴンにはガソリンエンジンが搭載されるなど、乗用車要素が強くなりましたが、大柄で迫力のあるボディが人気となり、幅広いユーザーに受け入れられました。
●三菱「デリカスターワゴン」
1BOXでありながらクロカン車という唯一無二の存在だった「デリカスターワゴン」
1968年にマツダ「ボンゴ」のライバルとして登場した小型キャブオーバートラックの三菱「デリカ」は、1969年にワンボックスタイプの商用車「デリカライトバン」とワゴンの「デリカコーチ」を追加ラインナップしました。
1979年に2代目にモデルチェンジされると、丸みのあるデザインだった初代からは大きく変わり、直線基調のデザインとなって室内空間も大きく広がり、商用車のバンは「デリカバンワイド」、9人乗りのワゴンは「デリカスターワゴン」のネーミングが与えられました。
そして1982年にはパジェロと同様にフォルテのシャシを流用して、デリカのボディを載せた4WDモデルを追加。大径タイヤとハイリフトされた車高により、クロスカントリーワンボックスワゴンという独自のジャンルを確立し、アウトドアスポーツを好むユーザーから高い支持を得ました。
1983年にはエンジンを1.8リッターから2リッターへアップし、1984年には2.3リッターターボディーゼルエンジン搭載車も加わり、さらに人気が高まります。
その後も、デリカスターワゴンは代を重ね、現在の「デリカD:5」へとコンセプトが受け継がれています。
※ ※ ※
今回、紹介した5車種は、すべて本格的なクロスカントリー車ですが、燃費や乗り心地が悪く、タイヤやエンジンからの騒音など、ウイークポイントが多かったモデルでもあります。
また、一部のユーザーを除くと、悪路走破性を発揮する場所を走る人は極めて少なく、日本ではオーバースペックでした。
そうしたなかデビューしたのが、トヨタ「RAV4」やホンダ「CR-V」で、乗用車ベースのライトなRVとして、大ヒットを記録し、現在のSUV人気へとつながっています。
一方で、ハイラックスサーフやサファリは、すでに生産を終え、2019年にパジェロの国内販売が終了するなど、クロスカントリー車の選択肢が少なくなってしまったのは、時代の流れとはいえ寂しい限りです。
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