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クルマの「強制保険」と「任意保険」 知っておきたい補償範囲の違いとは!?

くるまのニュース / 2020年4月11日 16時10分

クルマの保険には、必ず加入しなければならない強制保険(自賠責保険)と、そうではない任意保険(自動車保険)が存在します。ふたつの保険はそれぞれどういった違いがあり、「何が」「いくらまで」補償されるのでしょうか。

■もしも事故を起こしてしまったら……。

 クルマの事故には大きく分けて、「物損事故」と「人身事故」があります。

 どちらも事故であることに変わりはありませんが、「物」を壊したか「人」に怪我をさせたかで、保険の適用範囲が変わってきます。

 クルマを所有した際に必ず加入しなければならない自賠責保険では、保証の対象が対人賠償に限られます。

 しかも、自分が負った怪我については保証の対象となりません。

 こうした自賠責保険の範囲と金額は、国土交通省によって定められており、もし相手に怪我をさせてしまった場合、通院、治療、慰謝料、休業補償などを含め、最大120万円が支払われます。

 また、後遺症が残ってしまった場合は75万円から4000万円、死亡させてしまった場合は最大で3000万円が支払われます。

 交通事故を扱う、ある弁護士事務所は次のように話します。

「71歳の女性が交差点を横断中に右折してきた自動車に轢かれて死亡してしまった事故について、裁判で争った結果5350万円の損害賠償請求が認められた例があります。

 この場合、自賠責保険の3000万円を超えた分の2350万円は、自分で支払わなければなりません。

 また、交通事故によって膝に障害が残った男性は、約1000万円の損害賠償請求が認められました。

 この場合、自賠責保険の限度額内であるため相手への支払いはおこなわれますが、もし加害者自身が膝に障害が残るような怪我を負ってしまった場合は、自身が加入している自賠責では一切保証をしてくれません」

 何故、自賠責保険はこのような保障内容となっているのでしょうか。

 それには、自賠責保険が「被害者を救済するための保険」であるという経緯に関係しています。

 自賠責保険は、1955年に制定された自動車損害賠償保障法によって定められました。

 それまでは、被害者側が加害者の故意や過失を立証しなければ損害賠償責任は発生しなかっため、交通事故に遭った被害者は非常に不利な立場だったといわれています。

 その不利な立場の被害者を救済する目的で、自賠責保険は登場しました。

 自賠責保険は「強制保険」の名の通り、絶対に加入しなければなりません。通常は車検の際に、車検にかかる費用の一部として必ず加入・支払いがおこなわれます。

 もしも自賠責保険に加入していなければ、例え車検の期日が残っていたとしてもクルマを運転することはできません。

 加入していないクルマを公道で走らせた場合は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金、さらに違反点数6点が科せられます。

 免許の停止処分(免停)となるのは、違反点数が6点に達したときなので、強制保険に加入せずにクルマを運転した場合には、必ず30日間の免許停止処分という厳罰が課せられることになるのです。

 また、自賠責保険の証明書を所持していない場合も30万円以下の罰金が科せられます。

 クルマの車検証入れには、自賠責保険専用のポケットがあるものも多いので、クルマを運転するときには必ず自賠責保険証明書を携帯するようにしましょう。

※ ※ ※

 自動車保険を扱う三井住友海上火災保険の発表によると、2017年の交通事故発生件数47万2165件のうち、負傷者数は58万850人、死者数は3694人となっています。

 交通事故件数は年々減少傾向にありますが、いつ誰がどこで事故に遭うかは分からないため、自賠責保険への加入はクルマを運転する人の義務といえるでしょう。

■範囲も金額も柔軟に変更できるのが「任意保険」の強み

 強制保険である自賠責保険に対し、任意保険は加入するかどうかを選ぶことが可能です。

 しかし、人身事故を起こしてしまった場合は自賠責の限度額を超える賠償金、さらにはクルマをぶつけてしまったり物を壊してしまった際の費用が、全て自己負担となってしまいます。

交通事故で怪我を負うイメージ交通事故で怪我を負うイメージ

 自動車保険を扱う保険会社によると、ガードレールは1mあたり5000円から5万円、カーブミラーは1個あたり4万円から10万円となるそうです。

 また、クルマ同士の事故の場合、相手のクルマと自分のクルマ両方の修理代を自己負担しなければならず、自身が負ってしまった怪我の通院費なども自己負担となります。

 さらに、事故の相手や弁護士とのやり取りまで、一個人である自身でおこなう必要も出てきます。

 それらの負担を考えると、任意保険は未加入でも法律違反ではありませんが、「もしも」の時のことを考えれば、絶対に加入するべきといえるでしょう。

 実際に、任意保険に加入していない相手との事故に巻き込まれた、神奈川県に住む会社員の男性は以下のように話します。

「高速道路を走行中に追突され、追突してきた相手が任意保険に未加入でした。

 こちら側は弁護士さんが相手と交渉をしてくれたのですが、相手が個人ということもあり、損害賠償の話や支払いはスムーズに進みませんでした。

 しかし、通院費は支払わなければならず、最初はほぼ自己負担でした。

 結果的に通院費については自賠責保険で支払われたのですが、クルマの修理費用やレッカー代は、相手側がローンを組んで支払う形になりました。

 最終的な解決にかかった時間は半年以上で、自分が任意保険に入っていても、相手が任意保険に入っていなければ大きなトラブルに巻き込まれるとわかりました」

 また、自動車保険を扱っている、ある保険会社のスタッフは、任意保険でカバーできる補償範囲と金額について、以下のように話します。

「当社の保険には、Webと電話で申し込める2種類の保険があります。

 内容は、対人・対物・人身・車両保険を基本保障とし、クルマを運転している時以外の日常生活の中で怪我をした際の保険や、ロードサービスなどの特約を付けることもできます」

 このように、任意保険の補償範囲は、自賠責保険が保障する「被害者の身体」だけでなく、加害者の身体、クルマ、壊れた物など、多岐にわたります。

 さらに、任意保険の場合は、補償限度額は加入者が自由に決められ、「対人保障」と「対物保障」に限度額を定めない「無制限」にも設定できるため、仮に死亡事故に至った場合でも、個人的に負わなければならない損害賠償金額を無くすことも可能です。

※ ※ ※

 損害保険料率算出機構の「2018年度自動車保険の概況」によれば、任意保険の加入率は2018年3月末時点で約74%とされています。

 これは、4人に3人が任意保険に加入している計算となりますが、逆に言えば4人に1人は「任意保険未加入」という状態でもあります。

 自分が注意していても、避けられない事故に遭遇してしまう可能性はゼロではありません。

 そんな時のために、自分の身を守る意味でも任意保険に加入しておいた方がいいといえるでしょう。

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