まるでガンダム!? 効果はある? ゴテゴテのエアロパーツ車5選
くるまのニュース / 2020年4月8日 6時10分
近年、エアロパーツはドレスアップアイテムのひとつのような印象ですが、本来は空力性能の向上の目的で開発されました。そこで、本気で空力性能向上のためエアロパーツを装着したクルマを、5車種ピックアップして紹介します。
■見た目だけじゃない! 本来の目的でエアロパーツを装備したクルマたち
エアロパーツはレーシングカーの空力性能向上を目的として誕生し、1980年代からはクルマのドレスアップアイテムとして一気に普及しました。
一方、市販車でも空力性能向上のためにエアロパーツを装着したモデルも存在。
そこで、空力性能向上の効果を狙った本気のエアロパーツが装着されたクルマを、5車種ピックアップして紹介します。
●メルセデス・ベンツ「190E 2.5-16 エボリューションII」
普通のセダンがベースとは思えないほどの変貌を遂げた「190E 2.5-16 エボリューションII」
メルセデス・ベンツ「190E」は、1982年に同社でもっともコンパクトなエントリークラスのセダンとしてデビュー。
2リッター未満の排気量と5ナンバー枠に収まるボディサイズだったことで、1985年に日本への正規輸入が開始されると大ヒットしました。
日本では高級車の代名詞的存在だったメルセデス・ベンツの普及を、一気に拡大させることに成功します。
日常の使い勝手も良いセダンとして受け入れられた190Eですが、1986年にはレースエンジンのサプライヤーであるコスワースの手によりチューニングされた、最高出力175馬力の2.3リッター直列4気筒DOHCエンジンを搭載したスポーツモデル「190E 2.3-16」を、ドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)のホモロゲーション取得のために発売。
そして1988年には、DTMのレギュレーション変更に合わせて排気量を2.5リッター、最高出力200馬力とした「190E 2.5-16」が登場します。
1989年には、さらにチューニングされた「190E 2.5-16エボリューションI」、1990年には最高出力を235馬力まで高められた「190E 2.5-16エボリューションII」が、それぞれ500台生産されました。
とくに190E 2.5-16エボリューションIIは前後の巨大なスポイラーやオーバーフェンダーが装着され、メルセデス・ベンツのモデルとして異彩を放つ外観が魅力的です。
●ポルシェ「911 GT2」
最後の空冷モデルで性能的には頂点に君臨した「911 GT2」
1964年に登場したポルシェ「911」は、最新モデルまで一貫して水平対向エンジンをリアに搭載し、リアタイヤを駆動するRRを継承するスポーツカーです。
この911は初代から第4世代まで空冷エンジンを搭載しており、1994年に発売された最後の空冷モデルである「993型」は、進化の最終形態といえる性能を誇りました。さらに、993型の頂点に立つモデルが「911 GT2」です。
911 GT2はル・マン24時間レースなどに参戦するために開発され、公道走行可能な「911 GT2ストリート」が存在。
搭載されたエンジンは3.6リッター空冷水平対向6気筒SOHCツインターボで、最高出力450馬力を発揮。「911ターボ」が4WDであったの対し、911 GT2はリア駆動でした。
外観には、即レースに対応できるような大型のフロントスポイラー、リベット止めの前後オーバーフェンダー、サイドステップ、そしてエアインテークを備えた巨大なリアウイングを装備。
迫力のあるルックスは後にスーパーカーのカスタマイズスタイルに、多大な影響を与えました。
なお、数年前から空冷911の価格は高騰していますが、生産台数が数十台といわれる911 GT2ストリートのオークションでの落札価格は、1億円以上となっています。
●フォード「シエラRS500コスワース」
レースで戦うために生まれたFRスポーツの「シエラRS500コスワース」
フォードはアメリカのビッグ3のひとつで、長い歴史のあるメーカーです。北米以外への進出も古くからおこなっており、欧州に総合的な開発と生産の拠点を置いたのは50年以上も前になります。
これまで、欧州フォードは北米とは異なる独自の車種を展開してきましたが、その1台が「シエラ」です。
1982年に発売されたシエラは、流麗なデザインの中型3ドア、5ドアハッチバックで、FR駆動となっています。
欧州フォードはこのシエラをベースにしたマシンで欧州ツーリングカーレースに参戦するため、1985年に「シエラコスワース」、1987年にはエボリューションモデルの「シエラRS500コスワース」が発売されました。
シエラRS500コスワースに搭載されたエンジンは前出のコスワースチューンによる、2リッター直列4気筒DOHCターボで、最高出力は227馬力を発揮。
外観の変更点は、専用のフロントバンパーとスポイラー、小ぶりなオーバーフェンダー、そして最大の特徴がテールゲートにテーブルを置いたような形状の、巨大なリアスポイラーです。
シエラRS500コスワースはレースで常勝となるほど活躍し、全日本ツーリングカー選手権では2度のチャンピオン獲得など、華々しい戦績を残しています。
■日本が誇るガンダムチックな2台とは
●スバル「インプレッサ S201 STiバージョン」
究極のロードカーを目指してつくられた「インプレッサ S201 STiバージョン」
スバルのモータースポーツ活動を担う「スバルテクニカインターナショナル」(以下、STI)が手掛けたコンプリートカーは、数多く存在します。
そのなかでも、初代「インプレッサWRX」をベースとしたコンプリートカーである「インプレッサ S201 STiバージョン」(以下、S201)は、非常にアグレッシブなデザインが特徴です。
2000年に発売されたS201は、ラリーをイメージさせるインプレッサにおいて、オンロードスポーツを追及したモデルとして開発されました。
エンジンは2リッター水平対向4気筒DOHCターボ「EJ20型」をベースに、専用ECUと吸排気系の変更により、最高出力は300馬力まで向上。
足まわりには車高調整式強化サスペンションと、ピロボールを用いたリンク類が組み込まれ、レスポンスに優れたダイレクトな操縦性を実現しています。
そして外観には、グリル一体式のフロントエアロバンパー、大型エアスクープ、砲弾型ドアミラー、サイドスカート、ダブルウイングリヤスポイラー、ディフューザー形状のリヤエアロバンパーなどが装着され、ノーマルとはまったく異なる迫力あるフォルムに変貌。
約20年間にSTIが製作した歴代コンプリートカーのなかでも、ここまで外観に手が入れられたことはなく、S201はひと際異彩を放つモデルです。
なお、限定台数は300台で、当時の価格は390万円(消費税含まず)でした。
●ホンダ「シビックタイプR」
まだまだ進化を続けるスーパーFFスポーツの「シビックタイプR」
ホンダの高性能モデル「タイプR」は、1992年発売の「NSXタイプR」のデビューから始まり、1995年に「インテグラタイプR」、そして1997年に「シビックタイプR」が発売され、タイプRブランドを確立します。
そして、現行モデルで唯一のタイプRが、2017年に登場したシビックタイプRです。
最高出力320馬力の2リッター直列4気筒ターボエンジンの駆動力を、6速MTを介してフロントタイヤだけで路面に伝達。大人4人が乗車できる室内空間を確保する、スーパーハッチバックセダンとして開発されました。
高い走行性能だけでなく、走行モードの切り替えによって市街地ではマイルドな乗り心地が得られるなど、新時代のタイプRです。
外観では複雑な形状の前後スポイラーが装着され、シミュレーターの進化や風洞実験を繰り返すことによって、空気抵抗を抑えつつ、効率良くダウンフォースが得られるといいます。
2020年夏には改良モデルが発売予定となっていますが、欧州では小ぶりなリアウイングを装着する「シビックタイプR スポーツライン」が設定されるなど、まだまだ話題が尽きません。
※ ※ ※
エアロパーツは本来、空力性能の向上が目的ですが、開発には難しい面もあるようです。
たとえば、ダウンフォースは前後のバランスが重要で、巨大なリアスポイラーだけではフロントタイヤの接地荷重が足りず、ハンドリングに影響してしまいます。
また、ダウンフォースよりも空気抵抗が増えすぎて、スピードが上がらず効率が低下してしまうケースも存在。
エアロパーツは公道で出せるスピードでは効果を発揮しないといわれているので、実際はそこまでシビアではありませんが、サーキット走行などで社外エアロパーツの効果を期待するならば、慎重に選んだほうが良さそうです。
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