事故時にオペレータとつながる「緊急通報機能」 車が大破しても自動通報できる?
くるまのニュース / 2020年4月12日 9時30分
「SOSコール」や「ヘルプネット」など、メーカーにより呼称は異なりますが、緊急時に役立つ機能として「事故自動緊急通報機能」が装備されている車種が増えました。事故でエアバッグが展開したのを検知すると、オペレータと自動でつながる機能ですが、大事故でシステム自体が損傷した場合は使えなくなってしまうのでしょうか。
■ドクターヘリの出動要請も可能にする「事故自動緊急通報機能」とは
通信装置を介してクルマとネットワークが繋がる「コネクティッドサービス」のひとつに、「事故自動緊急通報機能」があります。
事故自動緊急通報機能とは、事故やトラブルに遭遇したときに、警察や救急車、消防車、ロードサービスなどの手配をアシストしてくれるものです。1996年に米GM社の「キャデラック」に採用されたのが最初で、欧州連合では、2018年4月から新型車への搭載が義務付けられました。
事故自動緊急通報機能にはボタンを押すなどして発信する手動通報と、エアバッグの作動を検知して発信する自動通報があります。
2020年1月以降の事故自動緊急通報機能を搭載する新型車では、両方の機能を備えることが国際基準に基づいて義務付けられ、前者は急病や煽り運転などのトラブル時に、後者は交通事故の際に役立つとされています。
どちらの場合もオペレータに音声通話がつながり、同時に位置情報や車体色、ナンバーなどのデータを送信。オペレータはドライバーとの通話と、受信したデータから救援活動に必要な情報を確認し、救急機関に連絡して緊急車両の出動要請をおこないます。
「それぐらいなら自分でできる」と思うかもしれませんが、気が動転しがちな事故現場で不慣れな通報をスムーズにおこなうのは意外と難しいものです。
怪我をして携帯電話を操作できない可能性もあり、また、正確な位置を確認して伝えるのは平時でも手間取ってしまいます。
緊急通報機能の名称はメーカーにより異なりますが、使用されているのは、ほとんどが「ヘルプネット」のサービスです。
ヘルプネットとは「株式会社日本緊急通報サービス」が提供する緊急通報サービスのことで、国内の主要自動車メーカーすべてが同社に資本参加しています。
緊急通報機能のことをトヨタやホンダはそのままヘルプネットと呼び、日産は「SOSコール」、マツダは「マツダエマージェンシーコール」と呼称していますが、サービス自体はヘルプネットなので通報時の接続先はヘルプネットセンターになります。
また最近では、ヘルプネットの事故自動通報システムを利用し、より発展させた「D-Call Net」に対応するクルマも増えています。
D-Call Netは「AACN(先進事故自動通報システム)」のひとつで、事故発生時に衝突方向や衝撃度、シートベルトの着用有無などの細かい車両情報や、データベースから予測される重症確率を連携する消防署や病院に送信。
ドクターヘリやドクターカーの早期出動の判断をおこない、交通事故から治療開始までの時間を短縮することで、救命率の向上と重症化の防止が期待されています。
■電波が届かないエリアやクルマが大破したらどうなる?
2019年3月にフルモデルチェンジした日産「デイズ」では、メーカーオプションながら軽自動車としては初めてエアバッグ連動式の自動緊急通報に対応したことが話題を呼びました。
かつては高級車だけの装備と思われていましたが、国内での法整備が進んだこともあり、徐々に装着するクルマが増えてきています。
日産「デイズ」のSOSコール
比較的ローコストで大きな安心を得られる緊急通報機能ですが、解決すべき問題点がないわけではありません。それは、緊急通報機能を利用するには携帯電話か専用通信機が必須で、どちらにしても通信回線網の対象範囲(サービスエリア)には限界があり、いわゆる「圏外」からは通報できないことです。
交通量の多いところでの事故であれば、誰かが通報してくれる可能性が高いのですが、夜間や山間部などの交通量がほとんどないようなところでは、事故を起こしてもなかなか発見してもらえないことがあります。
そういうシーンでこそ頼れるのが緊急通報機能ですが、電波が届いておらず通報できないとなると、せっかく装備されていたとしても使えないという事態も想定されます。
トヨタのT-Connectサポートセンターによると、「圏外以外でも、衝撃の大きな事故などにより通信ユニット自体が損傷してしまった場合も通報不能になってしまいます」とのこと。
事故の衝撃がユニットに伝わるまでの0コンマ何秒の間での通報も、現状では難しいといいます。
※ ※ ※ ※
今後ますます多くのクルマに搭載されることが予想される事故自動緊急通報機能は、有事の際に頼れる存在ではありますが、決して万能ではありません。
安全装備は進化を続けていますが、やはり安全を心掛けて慎重に運転することが大切です。
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