車高の上げ下げカスタムは何のため?「ローダウン」「リフトアップ」をおこなう意味
くるまのニュース / 2020年4月19日 11時10分
自分好みに愛車を仕立てるカスタムには、さまざまな手法があります。そのなかでもクルマ全体のイメージを大きく変える手法として人気なのが、車高を下げる「ローダウン」や逆に上げる「リフトアップ」です。車高のカスタム「ローダウン」と「リフトアップ」のメリット・デメリットとは、どのようなことなのでしょうか。
■車高によってクルマのイメージが大きく変わる
自分の愛車をより好きなスタイルにカスタムするのは楽しいものです。そしてそのカスタムにはいくつかの手法があります。
カスタムのなかでも、タイヤ&ホイールの交換と合わせて人気なのが、車高を下げる「ローダウン」と、SUVやクロカンなどは逆により車高を上げる「リフトアップ」です。クルマの車高を下げたり上げたりすることで、どのような効果が期待できるのでしょうか。
車高を下げたり上げたりするカスタムは、かなり昔から存在する手法です。海外では日本の車検のような制度がない国もあり、パーツや足廻りなどを交換することでより自分好みのクルマに仕上げることができるのです。そのカスタムが日本に上陸して、クルマの新しい楽しみ方として発展してきたという経緯があります。
かつて日本では、スポーツ性能の高いクルマはヨーロッパ製のものが多く、そこで採用されていたパーツを自分の国産車に組み込むことで、見た目にも性能的にもアップを狙ったカスタムが流行しました。
このなかで、レーシングカーで採用されていた車高を低くするカスタムとして「ローダウン」が人気になり、エアロパーツの装着とともに定番のカスタムになりました。
ホイールサイズを純正より大きくしたい場合、タイヤの外周を変えないために扁平率の高いタイヤの(タイヤの側面が薄い)を装着することになります。そうすると、それまでタイヤで見えにくかったホイールハウス内が見えてしまうことから、見た目を改善するために車高を下げるというわけです。
もちろん足まわりなども手を入れて、サーキットなどでのコーナリング性能を高めるカスタムもありますが、ドレスアップ効果を狙ってローダウンすることが多いようです。
ローダウンのメリットとデメリットとは、どのようなことなのでしょうか。特殊整備事業者「秀自動車」の整備士 高島氏に聞いてみました。
「ローダウンの最大のメリットは、クルマ全体のイメージが変わることです。ホイールアーチとタイヤの隙間が減り、見た目がスポーティになります。これが1番のメリットだといえます。またクルマの重心が多少下がることで、コーナーでのロール量が減った気分が味わえます。
サスペンションを車高調整式にして車高を下げる方法もありますが、もともとはレース用のためパーツ自体が高価になりがちです。そのため、スプリングを短めのものに交換して車高を下げるのがポピュラーです」
一方、サスペンションのストローク量が減るため路面の振動を拾いやすくなり、乗り心地は低下してしまうといいます。
「ローダウンした分、サスペンションの仕事量が減ってしまうので、路面からの衝撃を十分に吸収できず、タイヤのグリップ力に依存する傾向が強まります。
濡れた路面や長い下り坂やコーナーなどでグリップ能力を超えた場合、車両をコントロールするのが難しくなります。また、小さな段差でもボディ下部を擦りやすくなってしまうので、気を付けて運転しないといけません」
※ ※ ※
車高を上げたり下げたりするカスタムは、国土交通省が定める「道路運送車両の保安基準」の第3条に規定されており、具体的には地上から9cm以上の高さが必要です(空車状態のボディの中心部部分、樹脂製エアロパーツなどは除く)。
なお、エアロパーツを装着している場合は、樹脂製であること、灯火類などが一体化されていないことが条件となりますが、最低地上高が5cm以上あれば車検を通すことができます。
タイヤのサイズ変更やローダウンなどにより車高が変わる場合はどうなるのでしょうか。都内にあるカスタムショップのスタッフに話を聞いてみました。
「±4cm以内であれば、通常の継続車検を通すことが可能です。車高調整式サスペンションを使用した場合はこの数値に近づけることも可能なので、パーツの値段は少々かかりますが、車検は比較的安価に通すことができます。
ほかにはノーマルのものより短いダウンサスと呼ばれるスプリングを使用し、4cm以上車高が下がる場合は『構造変更』を申請する必要があります。安全基準を含めた審査に1週間から2週間程度かかりますが、よほど悪質なものでない限り大丈夫です。
自分で検査場に出向いて申請すれば2000円程度の印紙代と証紙代で済ますことも可能ですが、その場合は継続車検ではなく、新規登録した新規車検となります」
■ドレスアップ効果と悪路走破性を高める「リフトアップ」
車高を上げるカスタム「リフトアップ」とはどのようなものでしょうか。
リフトアップは、もともとSUV発祥の地であるアメリカから1970年代にはじまったカスタムで、オフロード性能を高めるために用いられる手法で、SUVのなかでも、おもに本格的なクロスカントリー性能を持つ「ラダーフレーム」の車種で見られるカスタムです。
リフトアップしたスズキ「ジムニー」
ラダーフレームとキャビンの間のマウントを交換することで比較的かんたんに車高を稼げることから、最近ではドレスアップ効果を狙ってカスタムすることが増えてきています。
さらにアメリカでは、普通のクーペやセダンを専用キットを使った「ハイライザー」系カスタム(車高を上げて30インチなどの巨大なホイールを装着させるカスタム)などもありますが、これは完全にドレスアップ効果を狙ったものだといえます。
このリフトアップのメリット・デメリットについて、前出の高島氏は次のように説明します。
「リフトアップすると、サスペンションのストローク量がより稼げることで、険しい岩場やぬかるんだ路面などでもボディを傷つけることなく走行できます。
またホイールハウスのサイズを気にすることなく大径ホイール&タイヤが装着できるので、アメリカのモンスタートラックのような迫力のドレスアップ効果を狙うこともできます。
ただし重心の位置が極端に上がるので、高速道路での直進安定性やコーナリング性能が低下してしまうことが推測されます。
またキャビンの位置も必然的に高くなるので、乗り降りがかなり大変になり、前方視界は遠くまで見渡せますが、逆に自車の足元が見えにくくなってしまうことは注意が必要です。
こちらも4cm以上のリフトアップの場合は『構造変更』の手続きをとる必要があります」
※ ※ ※
クルマの車高を低くすればスポーティなイメージに、車高を上げればヘビーデューティなオフロード感を強調できるというメリットがありますが、それにともなうデメリットもあります。
また、車高が上下4cm以上変化する場合は構造変更の手続きが必要なので、その点は注意しないといけません。
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