屋根が開かないロードスターがあった!? まるで「亜種」のような車5選
くるまのニュース / 2020年4月11日 6時10分
バリエーションを増やすために、オリジナルから変化した「亜種」のようなクルマが存在。なかには大規模に手が入れたれたモデルもあります。そんなユニークな派生車やボディバリエーションがあるクルマを、5車種ピックアップして紹介します。
■オリジナルから生まれ変わった亜種とは
新型車の開発には莫大な時間や労力、お金がかかりますから、ひとつの車種のコンポーネントを流用して、複数の車種を展開する手法が一般的です。
また、同一車種でセダンとステーションワゴンといったボディバリエーションが用意されるケースや、大規模に手が加えられた派生車も存在。
そこで、まるで「亜種」のようなボディバリエーションや派生車があるユニークなクルマを、5車種ピックアップして紹介します。
●トヨタ「クラウンエイト」
横ストレッチのワイドボディにV8エンジンを搭載した「クラウンエイト」
1955年に純国産の本格的乗用車として登場したトヨタ「クラウン」は、先進技術、高品質を取り入れてきた日本を代表する高級車で、高度成長期から多くのオーナードライバーの憧れの存在になりました。
そして、1962年にはボディサイズが全長4610mm×全幅1695mm×全高1460mmの2代目にモデルチェンジ。クラウンは6気筒エンジン搭載のイメージを強いですが、当初、2代目に搭載されたエンジンは初代のトップグレードと同じ1.9リッター直列4気筒OHVです。
この2代目には国産乗用車初の2.6リッターV型8気筒OHVエンジンを搭載した「クラウンエイト」が追加されます。
クラウンエイトは運転手が乗車するショーファードリブンを想定したモデルで、ボディサイズは全長4720mm×全幅1845mm×全高1460mmと、全長が110mmと全幅が150mm拡大され、大型セダンらしい堂々とした外観と他車にはない広い室内空間を実現。
また、V型8気筒エンジンは日本車ではほかに類のないスムーズな回転と静粛性を誇り、贅沢な装備と共にショーファードリブンにふさわしい仕上がりとなっていました。
その後、1967年に初代「センチュリー」が登場するまで販売され、クラウンの派生車というよりもセンチュリーの源流といえるでしょう。
ただし、クラウンエイトのホイールベースは50mmの延長にとどまり、足元の空間は大きく変わっておらず、ショーファードリブンのクルマとしては配慮が足りていなかったようで、センチュリーではホイールベースが長く設計されていました。
●日産「スカイライン ハッチバック」
売れないというジンクスを証明してしまった「スカイライン ハッチバック」
1981年に登場した日産6代目「スカイライン」のボディバリエーションは、先代から継承する2ドアハードトップ、4ドアセダン、バンと、新たに5ドアハッチバックが設定されました。
ハッチバックはステーションワゴンの後継車という位置づけで、キャビンはリアシート部分まで4ドアセダンと共通とし、トランクの代わりにルーフエンドからテールエンドに向かってなだらかな傾斜のバックドアが装備され、セダンの居住性とハッチバックの利便性を両立。
6代目スカイラインは2リッター直列4気筒DOHCエンジンを搭載した「RS」シリーズが大いに話題となりましたが、ハッチバックはユーザーが抱くスカイラインのイメージには合致せず、販売は低迷します。
そして、1985年に発売された7代目ではハッチバックが廃止され、ステーションワゴンが復活。スカイライン ハッチバックはシリーズのなかでもこの一代限りと、いまでは貴重なモデルです。
●日産「マーチBOX」
無理矢理感のあるデザインがいただけなかった「マーチBOX」
日産「マーチ」は1982年に初代が発売され、新世代コンパクトカーとしてヒットし、1992年に2代目にバトンタッチすると、グローバルカーとして国内外で大ヒットしました。
そして1999年に、2代目マーチをベースにしたステーションワゴンの派生車「マーチBOX」が登場。ホイールベースはマーチと同じですが、ステーションワゴンに仕立てるために荷室部分を240mm延長しています。
さらに全高も25mm高くすることで快適な居住空間を確保するとともに、ゆとりある荷室空間を実現。
また、マーチBOX専用の装備として、折りたたんだリアシートと荷室の段差を無くすために、座面を立たせるダブルフォールディングシート機構を採用しています。
マーチBOXは使い勝手に優れたコンパクトステーションワゴンでしたがヒットすることなく、発売からわずか2年後の2001年に生産を終了。
いまでは滅多に見ることができない、非常にレアなモデルです。
■屋根にまつわる2台の派生車とは!?
●ホンダ「N-BOXスラッシュ」
まるでメーカー純正のカスタマイズカーだった「N-BOXスラッシュ」
2011年に発売されたホンダ初代「N-BOX」は、全高1780mmの軽トールワゴンです。ホンダ独自のセンタータンクレイアウトの採用とエンジンルームのサイズ圧縮などにより、軽自動車としては広い室内空間を実現したことで大ヒットしました。
そして2014年には、N-BOXをベースに全高を1670mmまで低くして、箱型スタイルながらクーペのようなフォルムの「N-BOXスラッシュ」が登場します。
主にアメリカで見られるカスタマイズの手法である「チョップドトップ」は、ピラー部分を切って寸法を詰め、再度屋根を溶接して製作されますが、N-BOXスラッシュはまさにチョップドトップをイメージさせました。
ルーフラインはリアに向かって下げられ、サイドウインドウのラインを後ろに向かって上げたことで、力強い印象に変貌。
また、リアドアがN-BOXのスライドドアに対してヒンジドアに変更されているなど、大幅に手が入れられています。
内装もまるでカスタマイズされたように色や素材にこだわり、N-BOXシリーズのなかでも独創的なモデルに仕立てられていました。
なお、N-BOXスラッシュは、2代目N-BOXが発売された後もモデルチェンジすることなく継続して販売されていましたが、2020年2月をもって販売を終了しています。
●マツダ「ロードスタークーペ」
オープンよりもスタイリッシュな印象の「ロードスタークーペ」
マツダ「ロードスター」はマツダが提唱する「人馬一体」というコンセプトを具現化したオープンライトウェイトスポーツです。1989年に初代が発売されると世界中で人気となり、1998年にはキープコンセプトとした2代目が登場。
そして、2代目が発売されてから5年後の2003年に、初代で構想していたものの実現できなかったクーペモデルの「ロードスタークーペ」が発売されました。
製造はマツダの関連会社「マツダE&T」が担当し、ベースとなるロードスターのシャシに、屋根やリアフェンダーなど新規に製作されたボディパネルを溶接する手法で製作。
その工程のほとんどが手作業だったため、若手作業者の育成が課題になりましたが、マツダの熟練技能者の技術支援を受けられたことで、解決されたといいます。
なお、ボディパネルが増えることで懸念された重量増も約10kgに抑えられたため、ロードスタークーペでも人馬一体が実現されました。
※ ※ ※
今回紹介した5台のなかで、クラウンエイトがセンチュリーへ、ロードスタークーペが電動リトラクタブルハードトップの「ロードスターRF」へ、マーチBOXが「ノート」へと、それぞれコンセプトが引き継がれています。
異端なモデルのようにも見えますが、ある意味時代を先取りしたクルマともいえるのではないでしょうか。
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