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泣き寝入り防止! ドラレコ販売増のワケ CASEへの活用も期待

くるまのニュース / 2020年4月18日 7時30分

近年、増加傾向にあるドライブレコーダーの販売台数。基本的には、あおり運転を原因とする事故が報道される度にその販売台数も急増しているようですが、どのような形で普及しているのでしょうか。

■必須アイテムとなりつつあるドラレコ。設置に助成金を出す自治体も!

 近年、大いに注目を浴びるようになった「あおり運転」。今まで日本全国で横行していましたが、凶悪なドライバーによる事故や事件が全国的に報道されるようになったことで、犯罪行為としての認識が広まりました。

 そんな世論を受けて、2020年3月に閣議決定された道路交通法改正案では「あおり運転」の罰則化が盛りこまれています。

 警視庁の「第201回国会(常会)提出法案」によるとその内容は、「(1):通行妨害目的で、交通の危険のおそれのある方法により一定の違反(車間距離不保持、急ブレーキ禁止違反等)をした場合(懲役3年・罰金50万円以下)」、「(2):(1)により著しい危険(高速での停車等)を生じさせた場合(懲役5年・罰金100万円以下)」というものです。

 これに加えて、行政処分としても、あおり運転で摘発されると即座に免許の取消処分となり、免許の再取得までの欠格期間は2年から3年になる見通しで、今期の通常国会で審議され、2020年の夏までに施行する方針だといいます。

 そんな状況のなか、急激に需要を伸ばしているのがドライブレコーダーです。2016年度は国内の出荷実績が145万6829台でしたが、2017年度は266万5309台、2018年度は367万1669台と急成長を続けています。

 2019年度は第1から第3四半期で371万4108台となり、まだ集計は出ていませんがこのままいくと第4四半期を加えて500万台に到達しそうな勢いです。

 ドラレコの出荷台数を四半期ごとに分析してみると、2017年度の第3四半期(10月から12月)に急に倍増しているのが分かります。

 これは、2017年6月に発生した東名あおり運転事故において、加害者の悪質なあおり運転によって被害者の夫婦2名が死に至るという悲劇が起こり、同年10月10日に加害者が逮捕され、それが全国で報道されたことの影響が挙げられます。

 そして再びドラレコの出荷台数が大きく伸びたのは、2019年度の第2四半期(7月から9月)。2019年8月10日に発生した、常磐道あおり運転暴行事件の影響が大きな要因です。

 この常磐道の事件では、あおり運転では初めて、「強要罪」を適用して加害者が起訴されることになりました。その決め手となったドライブレコーダーの記録映像は連日テレビで取り上げられ大きな話題となりました。

 常磐道での事件を受けて2019年の夏以降、あおり運転を代表とした危険運転を記録したドライブレコーダー画像がマスメディアやSNSで共有されるようになりました。

 ドラレコの売り上げが急増しているなかでも、あおり運転の被害者となったときを想定して、フロントカメラとリアカメラとの前後セットタイプが一般的になっています。

 さらに常磐道の事件のような車外でのトラブルも記録できるように、クルマの周辺の状況を全て記録できる360度撮影対応タイプのドラレコも増えてきています。

 また、いくつかの自治体ではドラレコの購入・設置に助成金を出す取り組みを始めています。神奈川県湯河原町では2018年4月から「1台1万円を上限」に、ドラレコの購入・設置費用の半額を補助。

 ほかの自治体でも、金額は違えど同様の助成金制度を施行しています。県単位では、鳥取県が2019年11月10日から「1台3000円を上限として総予算1000万円で補助金制度」をスタートしました(すでに受付終了となっています)。

 また、記録用以外の使い道をする人も増えており、1970年代の国産車に乗っている男性Yさんはこう語ってくれました。

「数十年前の国産旧車に乗っていて、今までは雰囲気が壊れるのがイヤだなと思ってドラレコを避けてきましたが、最近は小型化していてあまりジャマにならないので、最近前後タイプのドラレコを装着しました。

 量販店で2万円台から売っていることもあり、いざというときに備えられる安心感もあります。また、スマホと連動して、好きな部分の動画を切り出してSNSに投稿することもできるので、ドライブの思い出を残すのにも役立っています」

■ドラレコ特約の自動車保険が急増中のワケ

 事故やトラブルの状況を記録できるドライブレコーダーは、自動車保険の世界にも革命をもたらしています。

 ドラレコ特約として各保険会社からあいついで提供されているサービスは、保険会社から専用のドラレコを貸与して、もしも事故で強い衝撃を受けた場合はドラレコから保険会社に自動で事故を通報。

 軽微な事故の場合はボタンを押せば手動で通報することが可能で、録画されている映像をもとにして事故の対応や、その後の示談交渉をおこなうというカタチです。

 損保ジャパン日本興亜では、2017年4月から先着5000台限定で「DRIVING! ~クルマのある暮らし~」を提供開始し、2018年1月からはこれを特約として本格展開しています。

 同じく東京海上日動も2017年4月から「DAP(ドライブエージェントパーソナル)」としてドラレコ特約をスタートしていて、2019年12月の時点で約36万5000件の契約実績があるようです。

 三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保は、2019年1月からドラレコ特約「見守るクルマの保険(ドラレコ型)」(三井住友)と「タフ・見守るクルマの保険(ドラレコ型)」(あいおい)の販売を開始し、発売から4か月で契約件数が10万件を突破したと発表しています。

 さらに前出の東京海上日動は2020年3月17日、データ解析のスペシャリスト、ALBERT(アルベルト)社とともに、自動車事故の責任割合をAI(人工知能)が自動判定する新機能「事故状況再現システム」を導入すると発表。上記の「DAP(ドライブエージェントパーソナル)」の契約者向けにサービスが導入されます。

 事故が起こった際、ドラレコから本部のオペレーターに通報するのと同時に、録画された事故映像も送信され、端末の加速度センサーやGPSのデータとともにAIが解析することで、システム上に事故の状況を自動的に再現。

 ユーザーが状況祖説明する負担を減らすとともに、これまで事故状況の確認に1週間程度かかっていたのが、データ受信後5分程度でAIが事故状況や責任割合を算出できるので、解決までの時間を大幅に短縮できるということです。

東京海上日動が導入する「事故状況再現システム」は、ドラレコで取得した映像などからAIが事故状況を再現し、事故の責任割合を事故算出する東京海上日動が導入する「事故状況再現システム」は、ドラレコで取得した映像などからAIが事故状況を再現し、事故の責任割合を事故算出する

 ドラレコとAI技術が組み合わされることで、自動車保険がこれまで抱えていた煩雑さやトラブルを大幅に解消できることとなりそうですが、次世代の交通システム全体にも応用されていくことが予測されます。

 最近のクルマ産業では「CASE」(コネクティビティ、自動運転、シェアリング、電動化)というキーワードが注目を浴びています。

 とくに自動運転については、クルマ単体での制御技術が重要なのはもちろんですが、渋滞の防止や衝突の防止など、クルマ同士がネットワークでつながることが、将来的に必要となってきます。

 自動運転のクルマはもちろんですが、さらに未来、より安全で便利な交通システムを作ろうとする場合、公道を走るすべてのクルマがネットワークにつながることが求められる可能性は高いでしょう。

 現在も自動車メーカー各社で先進のコネクティビティ機能を提供する流れが加速しています。この先、次世代の車載ネットワークでは、交通社会のインフラとして共通規格が定められていくことになることが予想されます。

 その際、最新のクルマではもちろんそれに準じた端末が装置が搭載されるはずですが、道を走るクルマのすべてか、せめてほとんどのクルマに搭載されないと、効果が薄くなってしまいます。

 そこでネットワーク接続可能なドライブレコーダーなら、既存のクルマに簡単に後づけできる端末として、次世代の交通ネットワークの普及に大いに役立つはずです。

 その頃にはドラレコが、ETCやGPSの機能も兼ね備えた総合的な端末になっていると想像できます。まずは1台1台の安全からドラレコが普及していくことに期待したいです。

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