初代が良すぎた!? 2代目の評価が微妙だった車5選
くるまのニュース / 2020年4月15日 6時10分
初登場時のインパクトがあまりに大きいと、モデルチェンジした2代目が微妙なクルマに感じられることもあります。そこで、初代に比べて2代目の評判が大きく変わってしまったクルマを5車種ピックアップして紹介します。
■2代目も決して悪いクルマじゃないけど……
各自動車メーカーは、ヒット作を生み出すために新型車の開発をおこなっていますが、すべてのクルマがヒットするとは限りません。
これまで生産されたクルマのなかには、目論見どおりヒットしたモデルはありますが、代替わりと同時に販売が低迷してしまったケースも存在。
そこで、ヒットした初代と比べて評価が微妙だった2代目のクルマを、5車種ピックアップして紹介します。
●ホンダ「シティ」
ここまでコンセプトが変わった例も珍しい2代目「シティ」
1981年にホンダは、大きくなった「シビック」の代わりとなるコンパクトカー、初代「シティ」を発売しました。
シティは当時のコンパクトカーの概念を覆すほど全高が高く、広い室内空間を実現したことによる使い勝手の良さから大ヒットします。
翌年には、最高出力100馬力を発揮する1.2リッター直列4気筒ターボエンジンを搭載した「シティターボ」が登場。さらに1983年には、インタークーラーを追加して110馬力までパワーアップした「シティターボII」、1984年にはオープンモデルの「シティカブリオレ」を発売するなど、話題が尽きませんでした。
そして、1986年に2代目にフルモデルチェンジされると、初代から大きくコンセプトが変えられ、全高の低いロー&ワイドなフォルムとなります。
エンジンは76馬力を発揮する1.2リッター直列4気筒を搭載し、軽量な車体とワイドトレッドが相まって、走行性能とコーナーリング性能が大幅に向上しました。
しかし、初代の斬新な発想や過激なまでの高性能モデルがなくなったことで、2代目シティはトータルバランスに優れたモデルでありながら、大ヒットには至りませんでした。
●トヨタ「ヴィッツ」
初代のインパクトを超えられなかった2代目「ヴィッツ」(画像は欧州仕様)
トヨタ初代「ヴィッツ」は1999年に発売された新世代コンパクトカーで、従来のトヨタ車とは一線を画すシンプルさと走りの良さが、欧州のコンパクトカーのようだと高く評価されました。
発売当初は1リッターエンジンを搭載する、いわゆる「リッターカー」で、コンパクトな外観ながら広い室内空間を確保するなど、優れたパッケージングを実現しています。
そして、2005年に登場した2代目は、基本性能/居住性/機能性/品質までにこだわり、一段階上の水準が追求されていました。
新開発のプラットフォームにより全長3750mm×全幅1695mm×全高1520mmと、5ナンバーサイズの上限に近いワイドボディとなり、室内空間やラッゲージルームが拡大されて使い勝手の良さが向上。
クルマそのものは進化しましたが、初代ほどの斬新さが薄れたことや、ベーシックグレードの1リッターエンジンが4気筒からダイハツ製の3気筒にスイッチされてしまったことがマイナス要素となり、セールス的には成功したものの、初代を上まわる評価は得られませんでした。
●フィアット「パンダ」
初代は名車だったために苦労した!? 2代目「パンダ」
1980年にデビューしたフィアット初代「パンダ」は、ジョルジェット・ジウジアーロ率いるイタリアの「イタルデザイン」が開発を担当したコンパクトカーです。
全長3380mm×全幅1460mm×全高1445mmのコンパクトな3ドアハッチバックボディは、直線と平面で構成されており、内装をシンプルなトレー式ダッシュボードや、フレームに伸縮性のあるキャンバスを張ったハンモックタイプのフロントシートとするなど、コストの削減と優れたデザイン性を両立。
FFとしたことで広い室内を確保した優れたパッケージングにより、欧州を中心に大ヒットしました。
そして、2003年に登場した2代目パンダは、全長3535mm×全幅1590mm×全高1535mmと大幅にサイズアップされた5ドアハッチバックとなり、広い室内とSUV風のルックスで、好調な販売を記録。
しかし、日本では2代目に対しての評価は分かれ、さらに、元々はパンダとして売るはずではなかったという逸話も出てくるなど、一部のパンダファンからは疑問の声があがっていました。
■2代目が出てから初代が再評価されたクルマとは!?
●日産「セフィーロ」
初代に比べ印象に残らないデザインだった2代目「セフィーロ」
1988年にデビューした日産初代「セフィーロ」は、プロジェクターヘッドライトを配したモダンなフロントマスクや、流麗なフォルムのデザインを採用するなど、それまでの日産車から大きく変化したセダンでした。
初代は全グレード2リッター直列6気筒エンジンのFRレイアウトで、「セフィーロコーディネーション」というセミオーダープランを設定。3種類のエンジンとサスペンションによる9通りの組み合わせを選択できるだけでなく、車体色と室内色の組み合わせが選べたことも特徴です。
また、「くうねるあそぶ。」のキャッチコピーも話題となり、セフィーロは幅広い年齢層から支持を得ます。
そして1994年に、新開発のV型6気筒DOHCエンジンを搭載するFFとなった2代目セフィーロを発売。
ボディは北米市場をターゲットとしたため、全長4760mm×全幅1770mm×全高1410mmと大柄で堂々としたスタイルとなり、広々とした室内空間を実現したことが評価され、販売も好調に見えました。
しかし、初代セフィーロの斬新なイメージとは異なるオーソドックスなデザインや、こだわりのあるオーナーからはFRでないこと、直列6気筒エンジンでないこと、ボディが大きくなったことなどが不評で、後に初代が再評価される結果となり、中古車市場では初代の人気が高まる結果となりました。
●スズキ「エスクード」
初代のシャープな印象が無くなった2代目「エスクード」
1988年にデビューしたクロスカントリー4WD車のスズキ「エスクード」は、全長3560mm×全幅1635mm×全高1665mmのコンパクトサイズながら、直線基調のデザインが力強さを表現し、高く評価されました。
高い悪路走破性を持ちながらも乗用車的な内装デザインとすることで、シティユースでも使い勝手が良く、国内外で人気を獲得します。
1990年には最高出力の向上や、後部をハードトップ化した「レジントップ」、全長を415mm延長したロングボディの「ノマド」が追加されるなど、幅広いニーズに対応。
そして、1997年にモデルチェンジされた2代目は、3ドアで全長3810mm×全幅1695mm×全高1685mmと少しボディサイズが大きくなるとともに、初代のシャープなイメージを捨て、丸みを帯びたデザインに一新されます。
しかし、使い勝手は向上したものの、デザインについての評価は先代を超えられず、2000年にはフロントフェイスが変更されました。
また、搭載されたエンジンは1.6リッターから2.5リッターV型6気筒まで用意されていましたが、クロスカントリー4WD車として重要なアイテムである、マニュアルトランスミッションが選択できるのは1.6リッターモデルのみというのも、マイナスポイントとなってしまいました。
※ ※ ※
生産を終えたクルマが再評価されることは珍しいのですが、近年の顕著な例として日産「ラシーン」があります。
ラシーンは2000年に生産を終え、しばらく目立った動きはありませんでしたが、ここ数年のSUVブームで人気となりました。
レトロチックなデザインの良さや手頃なボディサイズが、人気再燃の理由だと推測され、いまではラシーンを専門に扱うショップがあるほどです。
こうして再評価されたクルマを新型車で再現すれば良いと思う一方で、だからといって売れるとは限らないという難しさがあります。
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