限定50台!? レーシングカー並にストイック? エコな珍車3選
くるまのニュース / 2020年4月15日 16時10分
現在、軽自動車からスーパーカーまで、ハイブリッド車は爆発的に普及しています。一方で、まだ普及する前は、さまざまな手法で低燃費化がおこなわれていました。そこで、いまでは珍しいタイプのエコカーを3車種ピックアップして紹介します。
■燃費のためにそこまでやる!?
1997年に世界初の量産ハイブリッド車であるトヨタ初代「プリウス」が発売されて以来、各メーカーが追従した結果、ハイブリッド車は爆発的に普及して低燃費なクルマが数多く誕生しました。
現在は軽自動車から大型セダン、スーパーカーに至るまでハイブリッド車がありますが、かつては別のアプローチで低燃費を追求したモデルが存在。
そこで、いまでは珍しくなった非ハイブリッドのエコカーを3車種ピックアップして紹介します。
●スズキ「アルトエコ」
既存の「アルト」をベースにこれでもかと手が入れられた「アルト エコ」
1979年に発売されたスズキ初代「アルト」は、47万円という衝撃的な低価格によって大ヒットを記録し、後の軽ボンネットバンブームのきっかけとなりました。
アルトはスズキの軽ラインナップの主力商品として代を重ね、現行モデルは8代目になります。
そして、2009年に登場した7代目では、ストイックに低燃費を追求したモデルが存在。それが、2011年に追加ラインナップされた「アルト エコ」です。
ライバルのダイハツ「ミライース」に対抗すべく開発されたアルト エコは、停車直前にエンジンをストップさせる新たなアイドリングストップシステムを搭載し、エンジン本体では摩擦損失を徹底的に低減。
また、エンジンルームまわりの骨格をはじめ、エンジンや足回り、内装に至るまで、さまざまな部品の見直しによってベースモデルから20kgの軽量化を実現しました。
ほかにも車高を15mm下げ、バンパー形状の変更で空気抵抗を低減し、低転がり抵抗タイヤ、ブレーキの引きずり抵抗の低減などによって、JC08モード燃費30.2km/Lというクラストップの低燃費を達成。
2013年にはさらに20kg軽量化して車重が710kgとなり、減速エネルギーを回収して電装品を駆動するシステム「エネチャージ」の採用などで33.0km/Lとなり、モデル末期の2014年には35km/Lまで燃費が向上しています。
なお、アルト エコの燃料タンク容量は標準車の30リッターに対し20リッターと、ほぼオートバイ並にまで小さくなっていたことが話題となりました。
●三菱「ピスタチオ」
三菱の技術力によって世界最高水準の低燃費を達成した「ピスタチオ」
1999年に発売された三菱「ピスタチオ」は、わずか50台の限定販売という異色のエコカーです。
ボディは同社の軽自動車「ミニカ」をベースとした4人乗りの3ドアハッチバックで、全幅1475mmと軽自動車規格のままとされ、車重はわずか700kgでした。
ピスタチオに搭載されたパワーユニットは、直列4気筒1.1リッターと当時世界最小の直噴エンジンで、トランスミッションは5速MTのみを設定。アイドリングストップシステムの採用により燃費は30km/L(10・15モード)を達成しています。
この30km/Lという燃費は、当時の純粋なガソリンエンジン車で世界一となる快挙でしたが、大量生産されることなく50台のみの限定販売としたのは、三菱が持つ低コストな低燃費制御技術のスタディモデルだったからです。
なお、販売先も一般のユーザーではなく、積極的に環境保全に取り組んでいる自治体や、公益企業などの法人を想定していました。
現存数は不明ですが、中古車市場でもまずお目にかかれないほどの超希少車です。
■ストイックすぎるディーゼル車とは!?
●フォルクスワーゲン「ルポ3L TDI」
まるでレーシングカーのような手法で軽量化された「ルポ3L TDI」
1998年、フォルクスワーゲンのラインナップのなかで、もっともコンパクトなモデルとして「ルポ」が発売されました。
同社のコンパクトカー「ポロ」よりもさらに小さく、全長3530mm×全幅1640mm×全高1480mmという、日本の軽自動車を少し大きくしたくらいのボディサイズに、当時のフォルクスワーゲンの最新テクノロジーを詰め込んだ3ドアハッチバックです。
日本に正規輸入が開始されたのは2001年からで、当初、日本仕様に搭載されたエンジンは1.4リッター直列4気筒ガソリンのみでしたが、欧州では1.2リッター直列3気筒直噴ターボディーゼルエンジンを搭載した「ルポ3L TDI」をラインナップ。
このモデル名の「3L」は、100kmの距離を3リッターの燃料で走ることが可能ということを表し、燃費は33.3km/L以上を達成していたということになります。
低燃費化の手法はエンジンの効率向上だけでなく、標準モデルより各ガラスを薄くし、ボンネットやドアだけでなくシートフレームまでアルミ製に変更、リアゲートとハンドルにはマグネシウム合金が使われるなど、各部に徹底した軽量化が施された結果、車両重量830kgを実現。
トランスミッションはシングルクラッチの5速AMT(自動変速のMT)のみで、走行モードの「ECO」を選択すると、アイドリングストップや、走行中には積極的に高いギアを選択するなどのプログラムが実装されています。
また、フロントグリルやバンパーも専用形状のものが採用されて空力抵抗を低減し、軽量ホイールと低転がり抵抗タイヤが装着され、さらにエアコン、パワーステアリング、パワーウインドウがオプション扱いとなっているなど、まるでレースベース車のようなストイックなモデルでした。
※ ※ ※
冒頭のアルト エコは最終的に35km/Lという燃費でしたが、最新のアルトは37km/Lまで向上しており、同モデルの車重は650kgですから、アルト エコよりもさらに60kgも軽量化されたことになります。
軽量化技術に定評があるスズキですが、昔よりも装備が充実しているにも関わらず、ここまで軽量化が進んだのは驚き以外ありません。
ちなみにアルトの最軽量グレードは610kgで、これは20年前のアルトよりも軽いレベルです。
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