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なぜ大阪は黒いタクシーが主流? カラフルだった東京のタクシーが濃紺に代わった訳

くるまのニュース / 2020年4月21日 7時10分

便利な移動手段として、日本全国の街を走るタクシー。なかでも大阪のタクシーは圧倒的に黒が多いことでも有名です。東京でも、以前までのタクシー会社ごとに色が違いましたが、最近では落ち着いた濃紺や黒のタクシーが増えました。なぜ黒いタクシーが増加しているのでしょうか。

■大阪のタクシーは8割以上が『黒タク』なワケとは?

 便利な移動手段として全国で普及しているタクシー。街では黄色やオレンジ、緑などカラフルなタクシーが走っていますが、ご当地ならではのさまざまな事情があるようです。

 まず、全国のタクシーについて、「一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会」のウェブサイトによると、全国での法人事業者(タクシー会社、ハイヤー会社など)は1万5271社で、法人車両は20万3943台、個人タクシーは3万9304台で、24万台以上のタクシーが全国で運用されています。

 そのうち、東京では約4万3000台、大阪では約1万6000台が走っています(2013年3月時点のもの、現在では多少変動していると思われます)。

 タクシーの歴史は古く、1912年(明治45年)に現在の東京都千代田区有楽町に「タクシー自動車株式会社」が設立されたのが始まりといわれており、当時はT型フォードを6台使用していたそうです。

 その後タクシーは全国に普及していきますが、現在のような形態に落ち着いたのは1935年(昭和13年)。警視庁によりタクシー営業許可を法人格のみに限定し、初乗り料金や距離による料金も統一されました。

 しかし、戦後の1950年代の後半の高度成長期に急速に自動車需要が増え、タクシーの営業資格を持たない「白タク」が横行したため、1959年(昭和34年)に東京で個人タクシーが認可され、翌1960年には大阪でも認可されるようになったという経緯があります。

 当時は、東京のタクシーは黒い車両が主流でしたが、1950年代に大手タクシー会社がほかのタクシーとの差別化を図るためカラー車両を導入。目立つことが評判になったことから、全国に普及していきました。

 その一方、大阪では圧倒的に「黒」のタクシーが多いとされています。それはなぜなのでしょうか。

 大阪で個人タクシーを営むSさん(50代・男性)に聞いてみました。

「もともとは、高級な乗り心地と接客サービスを提供するために、通常のタクシーより上級グレードの車両を使って差別化しようとはじまったのが『黒タク』です。高級感ある乗り心地もあって、利用者からの人気も高く、その分ドライバーは稼げるといわれています。

 以前は黒タクを運転できるのは、経験豊富な『上級乗務員』の資格を持っているドライバーのみでした。最近ではタクシー会社の方針としてサービス向上に努めている関係もあり、一般の車両にも黒タクに準じた車両を使用するところが増えています」

 この黒タクですが、もともとは通常のタクシーとは違う上級サービス向けのハイヤーとしての活用も視野に入れて誕生しました。

 通常のタクシーは路上で手を挙げて乗車することができますが、ハイヤーは完全予約制。上級な乗り心地とサービスを提供する、いわば「タクシーの高級版」です。

 ただ、通常のタクシー業務と比べてハイヤーの需要は限りがあるため、普段はタクシーとして活用し、ハイヤーの予約車両として運用する際は、車体上部の行灯を取り外して対応できることから、大阪では黒いタクシーが多いとされています。

「大阪は普段から派手好きといわれますが、黒に対して憧れといいますか、なんだか高級感があってシュッとしているイメージなんです。

 冠婚葬祭などでタクシーを利用されるお客さまも多く、会場に乗り付けるなら高級感があるほうがいい、そんな関西人気質もあると思います」

 確かに、同じ料金を払うなら、ハイヤーとしても使用される高級グレードのほうが乗っていて気分がいいものです。その高級志向が、黒タクの普及に影響しているといえます。
※ ※ ※

 地方での観光業と連携した『ご当地タクシー』と呼ばれる、その土地ならではの観光地を案内してくれるタクシーも存在しています。

 ご当地タクシーはボディカラーではなく、ご当地名産品の広告をボディにラッピングしたり、行灯(あんどん)を地元のキャラクターでデザインすることで差別化を図っています。

■藍色のジャパンタクシーが東京で急増したワケとは?

 かつては派手なカラーのタクシーが多く走っていた東京では、最近では落ち着いた色のタクシーが増えており、約7割が黒系の車両になってきているとのデータもあります。

 とくに多いのはトヨタの「ジャパンタクシー」で、濃紺のタクシーを見かけるのも日常的な風景になってきています。

都内で急増するトヨタ「ジャパンタクシー」都内で急増するトヨタ「ジャパンタクシー」

 ジャパンタクシーは、トヨタが開発した次世代タクシーで、2017年に発売されました。ボディカラーは、白、黒、藍色(濃紺)の3色が用意されているのですが、都内で走る車両のほとんどが藍色です。なぜ藍色のジャパンタクシーが多く走っているのでしょうか。

 ジャパンタクシーが増えている理由は、東京オリンピック・パラリンピックにおける訪日外国人の増加に伴って、国土交通省が提唱する「ユニバーサルデザインタクシー」の認定を受けることができるということが大きいでしょう。

「ユニバーサルデザインタクシー」とは、「健常者はもちろん、足腰の弱い高齢者や車いす利用者、ベビーカー利用の親子連れ、妊娠中の方など誰もが利用しやすい『みんなにやさしい新しい』タクシー車両」のことを指します(国土交通省ウェブサイトより)。

 この認定を受けた車両の導入を推進するため、1台につき60万円の補助金が受けられることになっています。

 東京都もオリンピックを盛り上げるべく、都独自の補助金を設定(一時は40万円)。補助金によって通常より安価で新型タクシーを導入できるタイミングになっており、都内をはじめ続々と導入されているのです。

 これまでのセダンタイプも乗り心地は悪かったわけではありませんが、後部座席に体をかがめて乗り込む必要があり、また、車いす利用者が乗車しづらいという難点がありました。

 それに対し、ハイトワゴンスタイルでスライドドアを採用し、乗降性も車内空間も大幅に向上したジャパンタクシーは、多くの人が利用しやすいタクシーだといえます。

 また、藍色のボディに「東京オリンピック2020」のロゴが入った車両を、東京都が街の景観向上のために推奨したことと、藍色で高級感も感じさせることがうまくマッチしたことも、ジャパンタクシーの普及が進んでいる理由でしょう。

 さらに、東京を中心に増えているのが、「ワゴンタクシー」と呼ばれる高級ミニバンのタクシーです。

 1名乗車では割高になりますが、多人数乗車すれば1人あたりの価格はそれほど高くなく、かつ車内も広く荷物も積みやすいという利点があります。

 このワゴンタクシーで使用される車両も高級グレードで黒ボディが圧倒的に多く、東京のタクシーの黒タク化に一役買っているといえます。

※ ※ ※

 ジャパンタクシーは、法人だけでなく個人でも購入可能です。トヨタ「シエンタ」がベースですが、燃料はガソリンではなくLPガスを使用したハイブリッド仕様となります。

 LPガスがあるスタンドは全国でわずか1500か所程度。もし購入する場合は、近隣でLPガスを個人に販売してくれるところがあるかどうか確認が必要です。

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