道なき道ではなく我が道を行く!? 珍クロスカントリー4WD車5選
くるまのニュース / 2020年4月24日 6時10分
現在のSUVブームよりもはるかに大きい規模だったRVブームの頃、各メーカーからクロスカントリー4WD車が数多く登場しました。そこで、当時、販売されていたユニークなクロスカントリー4WD車を5車種ピックアップして紹介します。
■主流ではなかったものの、イカしたクロスカントリー4WD車を振り返る
近年、日本だけなく世界的に好調なセールスを続けているクルマといえばSUVですが、1980年代の終わりから1990年代にかけて、いま以上にSUVが売れていたRVブームがありました。
RVブームの頃は各メーカーから本格的なクロスカントリー4WD車が販売されており、なかでも人気があったのが三菱「パジェロ」や日産「テラノ」、トヨタ「ハイラックスサーフ」「ランドクルーザー」などです。
一方、決してシェアは高くありませんでしたが、ユニークなモデルも存在。
そこで、王道ではないクロスカントリー4WD車を5車種ピックアップして紹介します。
●三菱「デリカスターワゴン」
唯一無二の1BOXクロカン4駆「デリカスターワゴン」
現在、販売中の三菱「デリカD:5」の先祖にあたるのが1BOXバン・ワゴンの「デリカ」シリーズです。
なかでも1986年に登場した2代目「デリカスターワゴン」の4WDモデルは、グリルガードを備えた本格派のデザインで、ボディは軽量化や剛性アップが図られたモノコックボディを採用し、一気に性能アップを図りました。
エンジンは2リッターガソリンや、2.5リッターターボディーゼルエンジン、2.4リッターガソリンが搭載され、さまざまなニーズに対応。
1989年には4WDモデルにハイルーフ仕様を設定し、広々とした室内だけではなく、ルーフをガラス面で覆った、世界初の電動サンシェードを持つ「クリスタルライトルーフ」が装備されました。
1990年8月のビッグマイナーチェンジでは、外観デザインの大幅な変更や、クラス初となるプロジェクターヘッドランプの採用と、上質感の高いインテリア仕様とした「デリカ スーパーエクシード」が追加されました。
「デリカ」を求める層は、若者よりもアウトドア好きのファミリー層であり、1BOXタイプのRVとして一時は高い人気を誇りましたが、よりミニバンに近いモデル「デリカスペースギア」と併売されつつも、ベースのデリカバンとともに1999年に国内生産を終了しました。
●ダイハツ「ラガー」
ダイハツが誇る本格クロカン4駆の1台「ラガー」(画像はイギリス仕様)
2019年11月に発売されたコンパクトSUVのダイハツ「ロッキー」は、かつて販売していた本格的なクロスカントリー4WD車の名前を踏襲しています。
そして、さらにもう1台のクロスカントリー4WD車「ラガー」がありました。
ラガーは1984年に、ジープタイプの4WD車「タフト」の後継車としてデビュー。ラダーフレームのシャシに前後リーフリジッドサスペンションという、クロスカントリー4WD車の王道のレイアウトを採用しています。
エンジンは全車2.8リッター直列4気筒OHVターボディーゼルで、トランスミッションは5速MTのみを設定。
ボディタイプは全車3ドアで、車体後部が幌の「ソフトトップ」、同じくFRP製の「レジントップ」、すべてステール製の「ハードトップ」をラインナップ。
なお、初期のモデルは全幅が1.6mにも満たないコンパクトなボディでしたが、車重は1.5トンもありました。
1995年には生産を終了していますが、欧州など海外向けは継続して生産され、2002年に廃止されました。
●ホンダ「ジャズ」
いすゞから供給されたスタイリッシュRVの「ジャズ」
1990年代、ホンダは自社でクロスカントリー4WD車を生産しておらず、RVブームを傍観するしかありませんでした。
そこで、ホンダは他社とOEM供給の契約を締結し、その1社のいすゞから「ミュー」と「ビッグホーン」の供給を受けることになりました。
ホンダではミューが「ジャズ」、ビッグホーンが「ホライゾン」という車名で販売され、なかでもジャズは2ドアのショートボディで、ユニークかつスタイリッシュなデザインが話題となりました。
エンジンは3.1リッター直列4気筒ターボディーゼルのみで、トランスミッションは4速ATと5速MTを設定。
外観は全幅1780mmのワイドボディと迫力あるブリスターフェンダーによる個性的なスタイリングとなっていました。
1995年に自社開発したクロスオーバーSUVの初代「CR-V」を発売すると大ヒットを記録し、ジャズは1996年に販売を終了します。
■いすゞの最後のSUVとは!?
●いすゞ「ビッグホーン」
いすゞ最後の乗用車のうちの1台「ビッグホーン」(画像は欧州仕様)
現在、いすゞは国内市場向けの乗用車販売から撤退していますが、かつては数多くのクロスカントリー4WD車をラインナップしていました。その1台が1981年に発売された「ロデオビッグホーン」です。
ロデオビッグホーンはピックアップトラックのシャシにワゴンタイプのボディを架装することで製造され、当初は商用登録車のみでしたが、後に乗用登録車を追加。
そして、1991年に車名を「ビッグホーン」に改めた2代目が登場し、ショートボディとロングボディをラインナップする全車乗用登録となりました。
エンジンは200馬力を誇る3.2リッターV型6気筒DOHCガソリンと、125馬力の3.1リッターターボディーゼルを搭載。
また、ビッグホーンの特徴として、イギリスのロータスが監修した「ビッグホーン ハンドリング バイ ロータス」と、ドイツのチューニングメーカーのイルムシャーが監修した「ビッグホーン イルムシャー」という、2種類のスポーティグレードが設定され、オンロードでの走りを高めていました。
ビッグホーンは他メーカーにもOEM供給されるなど販売を拡大しましたが、RVブームの終焉とともに販売は低迷し、2002年に生産を終了。その後、いすゞは乗用車の販売から完全撤退しています。
●ホンダ「クロスロード」
4WD車の名門ランドローバーから供給された「クロスロード」
ホンダは1980年から英国のローバーグループと提携関係にあり、1993年からミドルクラスSUVのランドローバー「ディスカバリー」のOEM供給を受け、初代「クロスロード」として販売。
外観はほぼディスカバリーのままで、エンブレムの差異にとどまっており、ボディはルーフ後半を一段高くしたステップド・ルーフやリア・クォータールーフウインドウを採用して、広い室内空間を確保。
また、用途に合わせて選択できる3ドア(定員5名)、5ドア(定員7名)のふたつのバリエーションが用意せれていました。
エンジンは最高出力180馬力のローバー製3.9リッターV型8気筒OHVエンジンを搭載し、トランスミッションは4速ATのみで、駆動方式はセンターデフロックが可能なフルタイム4WDとしていました。
当時の価格は約400万円と高価であったことや、インチサイズのボルト、ナットを使用しており、ディーラーでも整備ができるところが限られていたため、販売は低迷。
ホンダはローバーグループとの提携を解消して、1998年にはクロスロードの販売を終えます。その後、2007年に自社で開発したSUVの2代目クロスロードとして復活しました。
※ ※ ※
当時のRVブームはものすごい規模で、クロスカントリー4WD車が飛ぶように売れました。
しかし、クロスカントリー4WD車は燃費が悪く、商用車をベースにしていたモデルでは乗り心地も良くない、騒音が大きいなどネガティブな部分が多く、ブーム終焉とともに手放す人が続出してしまいます。
そうした反省も踏まえ、より乗用車に近いSUVが誕生し、現在の人気につながったということでしょう。
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