昭和の若者が憧れ、令和でも愛される「カローラレビン/スプリンタートレノ」を振り返る

くるまのニュース / 2020年5月3日 16時10分

「ハチロク」といえば現在のトヨタ「86」よりも、1983年登場の「AE86型 カローラレビン/スプリンタートレノ」を思い浮かべる人も多いと思います。いまや伝説となったAE86型は、どんなクルマだったのでしょうか。

■歴代最後の後輪駆動となったAE86型を振り返る

 1966年に初代が誕生したトヨタ「カローラ」は、高い実用性と品質の高さで小型大衆車のトップセラーとなっただけでなく、車名別生産台数世界1位の座に輝いたクルマです。

 発売当時は2ドアセダンのみでしたが、翌年には4ドアセダンやライトバンを追加ラインナップし、1968年にはスポーティな2ドアクーペボディの「カローラスプリンター」が登場しました。

 その後、小型大衆車にも高性能を求める声が高くなり、1972年には2代目カローラ/スプリンターに、「セリカ1600GT」に採用された1.6リッター直列4気筒DOHCエンジンを搭載する「TE27型 カローラレビン/スプリンタートレノ」を追加。

 たちまちスポーツドライビング好きな若者を中心に、大人気となりました。

 その後もカローラレビン/スプリンタートレノは継続して代を重ね、1983年にスタンダードなカローラ/スプリンターがFFとなるなか、FRのままとされたAE86型 カローラレビン/スプリンタートレノ(以下、レビン/トレノ)が登場。

 AE86型の先代であるTE71型では3ドアハッチバックのみにレビン/トレノのネーミングが与えられましたが、AE86型では2ドアクーペ、3ドアハッチバックともにレビン/トレノとされました。

 ボディサイズは全長4180mm(トレノ4205mm)×全幅1625mm×全高1335mmで、TE71型が直線基調の角張った外観デザインだったのに対し、全体的に丸みを帯びたボディに刷新。

 また、レビンは固定式ヘッドライト、トレノはリトラクタブルヘッドライトとされたことで、レビンの2ドア車は当時の「ソアラ」、トレノの3ドア車は「セリカXX」を小さくしたような印象でした。

 グレード構成はベーシックな2ドア「GT」。ハードなサスペンションセッティングが施され、LSD、185/60R14サイズのタイヤ、ロック・トゥ・ロック3.0回転のクイックステアリングギアボックスなどを搭載した3ドア「GTV」。

 そして、パワーステアリングやパワーウインドウといった快適装備を搭載し、赤のアクセントカラーが与えられた内装と、外装ではボディ下部を黒としたツートーンカラーを採用したトップグレードの「GT-APEX」(2ドア/3ドア)が設定されていました。

■名機「4A-G」エンジンを初めて搭載したAE86型レビン/トレノ

 AE86型 レビン/トレノに搭載されたエンジンは、「レーザーα」と呼ばれる1.6リッター直列4気筒DOHC16バルブエンジン「4A-GEU型」で、1.5リッターSOHCの「3A-U型」をベースにピストン径を77.5mmから81.0mmに拡大して1.6リッター化し、吸排気各2バルブの16バルブDOHCヘッドを組み合わせ、可変吸気システム「T-VIS」を搭載したものです。

 最高出力130ps/6600rpm、最大トルク 15.2kgm/5200rpm(グロス表記)を発揮。当時としては高回転型エンジンと評されました。

レビンよりもスタイリッシュと評された「スプリンタートレノ」レビンよりもスタイリッシュと評された「スプリンタートレノ」

 組み合わされたトランスミッションは5速MTだけでなく、高性能エンジンを手軽に楽しみたいニーズに対応するため4速ATも設定。

 サスペンション形式はフロントがストラット、リアがラテラルロッド付4リンクのリジットアクスルで、リアサスペンションはすでに時代遅れといえましたが、構造が単純で耐久性も高く、プライベーターでも容易にダンパー交換ができるなどのメリットがありました。

 ブレーキはフロントをベンチレーテッドタイプとした4輪ディスクを採用し、GTのみリアブレーキがドラムです。

 高回転型エンジンがもたらす心地良さと、後輪駆動ならではの素直な操縦性で、AE86型レビン/トレノは発売と同時に若者から支持を得ますが、1984年に登場したホンダ「シビックSi」などライバルの台頭で、1987年の販売終了までAE86型レビン/トレノは、決して「超人気車」ではありませんでした。

 AE86型の人気が高くなったのは1980年代終わりからで、次世代のAE92型がFFだったことによって再評価され、折しも「ドリフトブーム」という背景もあったからです。

 もともと限界性能が高くないコーナーリング性能により、簡単にリアがスライドしはじめることや、コントロールしやすい挙動だったため、当時のチューニングカー雑誌が主催したドリフトコンテストには、AE86型のドライバーが多数エントリーしていました。

 さらに峠のバトルを描いたコミック「頭文字(イニシャル)D」が1995年に発表さると、主人公が乗る白黒ツートーンカラーのAE86型トレノが「下り最速」などとされ、作中での活躍で人気がさらに高まりました。

 その結果、すでに改造されたり荒く使われたりした個体が多く、状態の良い中古車が少なくなり、販売価格が高騰。

 現在では1.5リッターSOHCエンジンを搭載した廉価版のAE85型カローラレビン/スプリンタートレノまでも中古車価格が高騰する現象が起きています。

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