ジープはなぜ人気? 2019年度「勝ち組」ブランドの理由とは
くるまのニュース / 2020年4月26日 19時10分
日本自動車輸入組合が2020年4月に発表した統計によると、2019年度(2019年4月から2020年3月)までの輸入車の新規登録台数は前年比マイナスだったという。そんななか、JEEP(ジープ)ブランドはなんと10年連続で台数を伸ばしている。その理由を考察してみた。
■個性のハッキリした、固定ファンのあるブランドが強かった2019年度
日本自動車輸入組合(JAIA)より、2019年度の輸入車新規登録台数が発表された。
輸入車販売をおこなうインポーターの立場からすれば、これは1年間の成績発表ともいえるものだ。今年の外国メーカー車の新規登録台数は29万2109台で、前年度よりも5.1%の減少となっている。
上位10ブランドの成績を見ると、その大多数が前年比ではマイナスだ。
プラスをキープできたのは4位のアウディ(2万5191台:前年比105.3%)、7位のボルボ(1万8540台:前年比101.9%)、8位のジープ(1万4186台:前年比127.8%)、9位のプジョー(1万335台:前年比103.5%)の4ブランドとなる。
ここで目立つのは、前年比127.8%というブランド、ジープだ。しかも、過去の成績を振り返ってみると、ジープの前年比プラスの成績は、なんと2010年度から続いている。10年連続のプラス成長なのだ。
リーマンショックもあり、マイナスだった2009年度の新規登録は1169台。そして10年後となる2019年度は1万4186台。つまり10年間で12倍以上も販売を伸ばしたことになる。
またジープ以外でも、11位のポルシェ(7694台:前年比114%)、24位のフェラーリ(982台:前年比124.9%)、26位のランボルギーニ(737台:前年比137%)、34位のマクラーレン(336台・前年比138.8%)といった、いわゆるスーパーカーブランドも好調だ。
一方、1位のメルセデス・ベンツ(6万4569台:前年比96.4%)、2位のフォルクスワーゲン(4万5540台:前年比87.5%)、3位のBMW(4万4231台:前年比86.9%)、6位のBMW MINI(2万2255台:前年比86.3%)、13位のルノー(6363台:前年比86.3%)、14位のフィアット(5842台:前年比94.4%)などはマイナスを記録。
ちなみに16位のシトロエン(4415台:前年比120.8%)と25位のDS(923台:119.3%)は上々な成績となっている。
2019年度の新規登録台数の成績で、ジープやスーパーカーブランドたちは好成績をおさめることができた。一方、メルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲン、BMWなど、普段は定番と言われるブランドの成績はおしなべて不調であった。
その差はどこにあるのかといえば、個性の強さではないだろうか。
もちろんメルセデス・ベンツなどにも個性はある。しかし、今年の成績を見た限りでは、より明確に、より強い個性を備えたブランドが勝ち組になっているように思える。
ジープはSUVに特化したブランドであって、その知名度の高さはゆるぎないものがある。かつてはSUVを総称して、ジープと呼ぶ人もいたほどだ。同じように、フェラーリやランボルギーニといったスーパーカーたちはもはや説明する必要もないほどその個性と知名度は強烈だ。
2019年度は輸入車全体の新車販売は、前年比でマイナス。そういった景気後退の状況では、景気に左右されない固定ファンが存在するブランドが強いということだろう。
■10年にも及ぶジープの成長の理由はどこにあるのか
こうしてみると、個性が強いブランドが2019年度の勝ち組の特徴だが、ジープの成功は、それだけでは説明がつかない。それは、なんといっても10年間もプラス成長を続けているからだ。
では、過去10年でジープは何をやってきたのかをチェックしてみよう。すると2つのことがわかる。
ひとつは定期的な新型モデルの投入だ。
2013年のグランドチェロキー、2014年のチェロキー、2015年のレネゲード、2017年のコンパス、2018年のラングラーと毎年のように新型モデルを日本に上陸させている。2019年は新型モデルこそなかったものの、レネゲードをマイナーチェンジし、毎月のように新グレードの追加や限定車の発売をおこなってきた。
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これによりジープは、SUVオンリーでありながらも、ライトなシティ向けのモデルから、本格オフローダーまで、幅の広いラインナップを揃えることができている。もちろん販売成績という面では、毎年のように新顔が増えるのは大いにプラスに働いているはずだ。
もうひとつは、販売網の拡充だ。ジープを販売するFCAジャパンは、2016年より日本国内の販売店に新しいコーポレート・アイデンティティ(CI)を導入して、店舗デザインの統一を進めている。
さらに拠点数の拡大にも熱心で、2016年に全国69だった店舗数を、現在では38法人80店にまで増加。計画では2020年中に90店が目標だという。
クルマの販売を伸ばすには、やはり販売網の拡充は必須だ。地味で苦しい作業ではあるが、そうしたところをしっかりと進めているのもジープの成功の理由といえるだろう。
ブランド固有の個性。そして毎年のように投入されるフレッシュな新型モデル。最後に販売網の拡充。ジープの魅力を土台にしつつも、メーカーや販売店の努力が、過去10年のジープの成長の理由ではなかろうか。
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