日本車が世界進出するきっかけになった!? 初代が偉大な車5選
くるまのニュース / 2020年4月27日 6時10分
単一車種で何代も続くロングセラーなモデルがあるなかで、初代が偉大な足跡を残したモデルが存在。そこで、偉大な元祖といえるクルマを5車種ピックアップして紹介します。
■初代が登場したからいまがある!?
現在、世界中で販売されているクルマのなかには、単一車種で何代も代を重ねているロングセラーなモデルがあります。
誕生から数十年を経て、初代から大きくコンセプトが変わってしまったモデルもありますが、初代が残した足跡はいまも語り継がれ、自動車史に燦然と輝く存在です。
そこで、偉大な元祖といえるクルマを5車種ピックアップして紹介します。
●フォルクスワーゲン「タイプ1」
初代ビートルの最後を飾った「タイプ1 アルティマエディション」
フォルクスワーゲンを代表するモデル「タイプ1」は、フルモデルチェンジなしに65年もの歴史を刻んだ偉大なクルマです。
誕生は第二次世界大戦以前の1938年、アドルフ・ヒトラーの国民車構想のもと、フェルディナンド・ポルシェ博士によって開発されました。
しかし、第二次世界大戦が勃発すると、国民車ではなく主に軍用車として使われたといいます。
戦後になるとドイツ復興のためタイプ1の量産が始まり、世界中に輸出され、そのルックスから「ビートル」の愛称で呼ばれて、またたく間にベストセラーカーとなりました。
タイプ1は空冷水平対向4気筒OHVエンジンを、軽量かつ剛性の高いシャシの後部に搭載したRRで、このレイアウトは汎用性が高く、1BOXワゴンやトラック、セダン、ステーションワゴン、クーペなど、さまざまな派生車が誕生するなど、あらゆる顧客のニーズに対応。
ドイツ本国での生産は1978年に終了して、主力車種は「ゴルフ」にバトンタッチしますが、メキシコでの生産は2003年まで継続されました。
そして、1998年にはゴルフのシャシをベースに、タイプ1をオマージュした「ニュービートル」を発売し、その後「ザ・ビートル」となり、2019年に生産を終了して長い歴史に幕を閉じました。
●BMC「ミニ」
さまざまなアイデアが盛り込まれた偉大な小型車「ミニ」
1959年、BMC(ブリティッシュ・モーター・コーポレーション)は、天才技術者といわれたアレック・イシゴニスによる設計の「ミニ」を発売。
ミニは全長3mほどの小さな車体ながら、大人4人と荷物を載せてドライブできるほどの優れたパッケージングで、世界中のコンパクトカーの手本となります。
エンジンは初期モデルで850ccの直列4気筒OHVを横置きに搭載するFFで、後に1.3リッターまで排気量を拡大しました。
ミニのユニークな点は、サスペンションに用いられるスプリングが、一般的な金属のコイルばねではなく「ラバーコーン」と呼ばれるゴム製のばねを採用したことです。
これは、室内の寸法を極力広くするためにレイアウトされたサスペンションに不可欠なものでした。
軽量な車体により運動性能も高く、「ミニ クーパー」や「ミニ クーパーS」といった高性能モデルが作られ、モータースポーツで活躍。
また、セダン、ワゴン、バン、ピックアップトラックと多くのバリエーションが用意されるなど、優れた基本設計となっていました。
2000年に最後モデルが販売され生産を終了しますが、イギリスのみならず日本でも人気があり、いまもさまざまなパーツが生産されて、クラシックカーのなかでも身近なモデルです。
そして、BMWがミニの製造権を獲得し、2001年に新型ミニを発売。世界中でヒットし、現在に至ります。
●フィアット「NUOVA 500」
イタリアの庶民の足として大ヒットした「NUOVA 500」
初代フィアット「500」は1936年にデビューした超小型車で、2人乗りの小柄なボディで機敏に走る様子から、「トッポリーノ(ハツカネズミ)」の愛称でイタリア国民から親しまれました。
そして、1957年に登場した後継車の「NUOVA 500(ヌォーヴァ チンクエチェント)」は、モダンなデザインで、スペース効率を重視したRRの4人乗り小型車に生まれ変わりました。
当初、搭載されたエンジンは500ccの空冷2気筒OHVで、出力はわずか15馬力ほどでしたが、軽量な車体には十分だったといいます。
また、丸みを帯びた小さなボディも巧みにデザインされており、小型車ながら安定感のあるルックスです。
NUOVA 500はコストと実用性を追求した大衆車としてイタリアで大ヒットし、1977年に生産を終えましたが、いまも世界中に愛好家が多く、日本では「チンク」の愛称で呼ばれる存在です。
そして、2007年に駆動方式をFFとした新型500が発売され、現在はフィアットの主力車種として販売されています。
■日本車が世界に羽ばたくきっかけになったクルマとは!?
●ホンダ「シビック」
新時代のFFコンパクトカーとしてデビューした「シビック」
ホンダは1960年代に軽自動車「N360」のヒットによって自動車メーカーとして歩んでいましたが、登録車がヒットした実績はほとんどありませんでした。
そこで1972年に、これまでとは異なる発想のコンパクトカーである「シビック」を発売。
駆動方式をFFとし、前後を切り詰めたコンパクトなボディは四隅にタイヤをレイアウトして室内の広さを確保。車名のとおり「市民の」ためのクルマとして開発されました。
デビュー当初は60馬力の1.2リッター直列4気筒SOHCエンジンを搭載した2ドアで、トランスミッションは4速MTのみの設定と、シンプルなグレード構成でした。
そして1973年には、排出ガス浄化技術「CVCC」を採用した1.5リッター車と4ドアセダンを追加。このCVCCエンジン搭載車はクリア不可能といわれたアメリカの排出ガス規制をパスして、1975年モデルからアメリカにも輸出され、燃費の良い低公害車としてヒットします。
初代シビックの成功によって、日本だけでなくアメリカでもホンダが認められ、他メーカーに先駆けて1982年にアメリカ工場が設立されました。
現行モデルは10代目にあたり、引き続きアメリカではホンダを代表するモデルとなっています。
●日産「フェアレディZ」
日本を代表するスポーツカーの「フェアレディZ」
1969年、日産はアメリカ市場でのニーズに適合した新しいスポーツカーとして、初代フェアレディZを発売。
欧州の高級GTカーのようなスペックと、ロングノーズとファストバックの魅力あるスタイル、軽量ボディにストラット式四輪独立サスペンションによる走りのよさ、そして、なめらかに吹け上がる直列6気筒エンジンで多くのファンを掴みました。
また「スカイラインGT-R」と同じ2リッター直列6気筒DOHCエンジンを搭載した「フェアレディZ432」や、トルクフルな2.4リッター直列6気筒エンジンを搭載する「フェアレディ240Z」シリーズも発売し、若者たちの憧れの的となります。
そしてアメリカにはダットサン「240Z」として上陸を果たし、日本以上の人気を獲得。「Z Car」と呼ばれ、年間4万台以上をコンスタントに販売していたため、製造台数の多くはアメリカ向けに輸出されたといいます。
また、240Zがあまりにも売れていた影響で、軽量コンパクトなスポーツカーを主に販売していた英国メーカーがアメリカから撤退することを余儀なくされたほどです。
その後、日産はアメリカでの成功を足がかりに、世界進出を果たし、現在に至ります。
フェアレディZは2019年に誕生50周年を迎え、最近は新型の噂が出るなど、まだまだ話題が尽きません。
※ ※ ※
日本車ではほかにも、トヨタ「クラウン」、「カローラ」、日産「スカイライン」など、途切れることなく長い歴史を刻むモデルが存在します。
日本の近代的な自動車製造は大正時代に始まっていますが、本格的にスタートしたのは第二次大戦後と、それほど古くはありません。
車名も変えずに長く生き残っているクルマがこれほどあるのは、世界的にも貴重な存在です。
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