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8400万円で落札! ポルシェ「カレラGT」の危険な魔力とは?

くるまのニュース / 2020年4月28日 19時10分

ポルシェ「959」、それに続く「カレラGT」、「918スパイダー」は、期せずしてフェラーリでいうところのスペチアーレのような存在になった。今回は、ドライビングが非常に難しいとされるカレラGTの基本的な解説と、現在のオークションプライスをお伝えしよう。

■「カレラGT」は、過去のコンペティションモデルへのリスペクトであり、未来への先進性を示した

 ポルシェのタイプ980、後に「カレラGT」と呼ばれることになるミッドシップ・スーパースポーツのプロジェクトは、1990年代の中盤はすでに開始されていた。

 1999年のパリ・サロンで、そのスタディ・モデルが公開されてから約4年後、ポルシェは世界を驚愕させる凄まじいスペックと掲げて、正式に生産型のカレラGTを2003年のジュネーブ・ショーで世界初公開した。

 ちなみに、この年のジュネーブは、さまざまなライバルが競うかのようにデビューを果たした豪華絢爛なショーだったが、それでもカレラGTの華やかさは特筆に値するものだった。

 カレラGTのスタイリングは、基本的にはスタディ・モデルから大きな変更を受けることなく、そのまま生産型に移行されたという印象が強い。フロントウインドウの傾斜角や灯火類のデザインなど、若干の手直しを受けている部分があるのも事実だが、それらはきわめて小さな変更と考えることができそうだ。

 スタディ・モデル時に噂されていたクーペとタルガトップという2タイプのボディが設定されるという噂は誤りで、結局カレラGTには着脱式ルーフの1タイプのみとなった。

 そのデザインは、ポルシェの手によるスーパースポーツの先進性を主張すると同時に、過去のコンペティション・モデルから多くのモチーフを得たと考えられるディテールにも満ち溢れている。

 例えばフロントマスクをさらに精悍な印象とする丸型の4灯式ヘッドランプは、あの「917」から受け継がれたディテールであるし、またボリュームに富むフロントフェンダーの造形は、「718RSKパイダー」のそれを反映させたとポルシェは説明する。

 もちろんエアロダイナミクスも当時としては世界最高峰のレベルにあった。リアエンドには車速が120km/hに達した時点で160mmライズアップする可変式のウイングが備えられ、さらにダウンフォースのほとんどはボディ下面のヴェンチュリートンネルで得る仕組みであった。

■走行距離たったの1200km! ほぼ新車ストック状態のカレラGTのプライスは?

 カレラGTのインテリアは、ポルシェの流儀に従った、機能的で整然としたデザインに徹している。メーター類も5つの円形メーターを重ねてレイアウトした、ポルシェのカスタマーには見慣れたものである。

0-100km/h加速は3.9秒、最高速は309km/hを達成(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's0-100km/h加速は3.9秒、最高速は309km/hを達成(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's

 独特なセンターコンソールの造形は、カレラGTでは大きな特徴となっている部分で、6速MTのシフトノブがバルサ材で作られた円形のウッド製となっていることも見逃せない。これは往年の917が軽量化のためにバルサ材によるシフトノブを使用していたことに由来するものなのだ。

 キャビン全体は、軽量で高剛性なCFRP素材によるひとつのタブとなっており、そのリアにはやはりカーボン製のサブフレームが接合されている。このサブフレームが特徴的なのは、上下に分割されたシェルの2ピース構造となっている点だ。

 このサブフレームの挟むようにしてマウントされるのは、そもそもル・マン24時間レース参戦用に開発を進めていたものを基本とする、5.8リッターのV型10気筒40バルブエンジンや6速MT等々のパワーユニット一式である。

 また搭載される電子制御デバイスは、ESP、ABS、ASR、ABDなどである。最高出力で612ps、最大トルクで590Nmという動力性能を考えれば、やや物足りないような印象もあるが、これでも当時は最先端の装備だった。

 前後のサスペンションは、フロントがダブルトラックコントロールアームを用いたインボードタイプ。リアもデザインとしてはフロントと同様になる。装着されるタイヤはフロントが19インチ径、リアは20インチ径だ。

 これらのメカニズムで0-100km/h加速は3.9秒、最高速は309km/hを達成している。

 カレラGTのセールスは好調で、結果的に1270台の生産を記録したと、RMサザビーズは解説している。ちなみに今回、アメリア・アイランド・オークションに出品されたモデルは、走行距離がわずかに766マイル(約1226km)の個体だ。

 オプションのフルブラック・インテリアとラゲッジ・セットを備え、2004年5月1日にポルシェのライプツィヒ工場から出荷された記録が残されている。

 そのコンディションの素晴らしさから、落札価格は事前から大いに注目されたが、最終的な落札価格は78万6000ドル(約8410万2000円)という数字に落ち着いた。ちなみに新車価格は39万2300ユーロ(当時のレートで約5000万円)であったから、その人気や価値は順調に高まりを見せているようだ。

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