タイプRの原点はNSXじゃなかった!? ストイックなホンダ車3選
くるまのニュース / 2020年4月28日 16時10分
ホンダの高性能モデルといえば「タイプR」シリーズですが、始まりは「NSX」で硬派なモデルとしていまも語り継がれる存在です。そこで、「NSXタイプR」だけでなくストイックなホンダ車を3車種ピックアップして紹介します。
■いまでは見られない硬派なホンダ車を振り返る
ホンダを代表する高性能モデルといえば「タイプR」シリーズで、これまで「NSX」「インテグラ」「シビック」で展開されてきました。
走ることに特化したタイプRは、普段使いには厳しいほど硬派なクルマですが、それに近いストイックなモデルも存在。
そこで、「NSXタイプR」に加え、ストイックなホンダ車をピックアップして紹介します。
●ホンダ「NSXタイプR」
とにかく走ることに特化した「NSXタイプR」
ホンダは1980年代の終わりに、世界に通用するスーパースポーツカーの開発をスタートし、1990年に初代「NSX」を発売しました。
最高出力280馬力(MT車)を発揮する3リッターV型6気筒VTECエンジンを、車重1350kg(MT車)と軽量な世界初のオールアルミモノコックボディのリアミッドシップに搭載し、高い走行性能を発揮するだけでなく、日常の使用もこなせる、それまでにない新発想のスーパーカーです。
そして1992年には、日常よりもサーキット走行を重視した高性能モデルの「NSXタイプR」が登場します。
タイプRはベースモデルに対して部品の材質変更や、遮音材や制振材、快適装備の一部を削減し、内装ではオーディオが撤去され、エアコンもオプション扱いとなり、シートも複合素材を使用したフルバケットタイプを採用することで120kgもの大幅な軽量化を実現。
また、足まわりは専用にチューニングされ、ハードなスプリングを採用していたことから、ちょっとしたギャップで跳ねるほど硬い、普段使いには厳しいほどの乗り心地と評されます。
エンジンはスタンダードモデルに対してピストンやコンロッドの重量バランスを合わせる程度で、スペックに変更は無いものの、大排気量の自然吸気エンジンならではのリニアなレスポンスが味わえました。
現在はその希少性から中古車価格が異常に高騰してしまい、もはやおいそれと手が出せないほどです。
●ホンダ「インサイト」
スポーツカー並のストイックさで燃費を追求した「インサイト」
ホンダは、1997年に発売された世界初の量産ハイブリッド車であるトヨタ「プリウス」に対抗するために、世界最高水準の低燃費を目指したハイブリッド専用車「インサイト」を1999年に発売しました。
パワーユニットは、70馬力の1リッター直列3気筒エンジンに13馬力のアシスト用モーターを組み合わせた、「ホンダIMA(インテグレーテッド・モーターアシスト)システム」と呼称されるパラレルハイブリッドを採用。
燃費はプリウスを抜き、当時、量産ガソリン車で世界最高の35km/L(10・15モード、以下同様)を達成しています。
そのための施策として、NSXで培った技術を活かしたアルミ製シャシやアルミと樹脂を組み合わせたボディパネルを採用して、乗車定員は2名とし、モーターやバッテリーを搭載しながら、車量は820kg(MT車)に抑えられていました。
外装ではリアタイヤをスカートで覆い、デザインもスポーツカーのようなフォルムで空力を重視した結果、Cd値(空気抵抗係数)は0.25を達成するなど、当時のホンダが持てる技術を余すことなく投入しています。
しかし、インサイトは2名乗車としたことで多くのユーザーからは受け入れられませんでした。2004年のマイナーチェンジで36km/L(10・15モード)と、さらに燃費が向上しましたが販売の回復にはつながらず、2006年に生産を終了。
2009年に発売された2代目インサイトは、プリウスを意識した5ドアハッチバックに改められました。
■タイプRの源流といえるモデルとは!?
●ホンダ「クイントインテグラ RSi」
全車DOHCエンジンを搭載してスポーティに変貌した「クイントインテグラ」
ホンダは販売が低迷していた「クイント」の後継車として、1985年に「クイントインテグラ」を発売します。
1982年に登場した2代目「プレリュード」と同様に、リトラクタブルヘッドライトを採用したショートノーズ・低ボンネットが特徴で、全グレードがDOHCエンジンを搭載する3ドアハッチバックとなり、スポーティに生まれ変わりました。
トップグレードは「GSi」で、最高出力135馬力(グロス)を誇る1.6リッター直列4気筒DOHCを搭載し、パワーステアリングを標準とするなど装備も充実した仕様です。
一方、2番目に位置する「RSi」というグレードがあり、エンジンはGSiと同じながらパワーステアリングやパワーウインドウ、ラジオすら装備しないストイックなモデルでした。
また、標準ではバンパーが無塗装とされながら、リアスポイラーを装備するなど、一見するとモータースポーツベース車のようなルックスとなっています。
簡素な装備としたことで、車重もGSiより20kg軽い940kg(MT車)となっているなど、実際に走行性能が高められていました。
しかし、RSiは特殊なグレードだったためか、1986年に4ドアセダンが追加されたタイミングで販売を終了。
わずか2年にも満たない短命なモデルだったクイントインテグラ RSiは、後のタイプRシリーズを予感させる原点ではないでしょうか。
なお、次世代のインテグラで同様に硬派なグレードのRSiが復活しています。
※ ※ ※
現在、タイプRはシビックのみとなっており、走行モード選択によっては、かつてのような我慢を強いられるような乗り心地ではなく、普段使いにも適したスーパースポーツとなっています。
一方、初代シビックタイプRであるEK9型や、初代インテグラタイプRのDC2型はストイックなモデルとして有名ですが、現在この2台の価格が高騰している状況です。
普段使いには適さないほど硬派な2台ですが、再評価された背景には、現代のクルマが失った何かが求められているのかもしれません。
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