1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ

前代未聞!? メーカー違いでも車名は一緒! トヨタ販売店でダイハツ「コペン」がバカ売れする訳

くるまのニュース / 2020年5月5日 7時30分

ダイハツとトヨタのスポーツ部門「GR」がタッグを組んで生まれた「コペンGRスポーツ」は、同じ車名でダイハツとトヨタで販売されています。OEMであれば車名はメーカーごとに違いますが、コペンGRスポーツは、なぜ同じ車名で販売されているのでしょうか。

 2019年10月に発売された「コペンGRスポーツ」は、トヨタのスポーツカープロジェクトである「GR(ガズーレーシング)」と、ダイハツのコラボで生まれたクルマです。

「コペン」はオープンボディの軽自動車で、開発したのはダイハツ。一方、「GR」はトヨタのスポーツカーブランドと、トヨタとダイハツは同じ企業グループ内ではありますが、会社の枠を超えてタッグを組んで生まれたスポーツカーです。

 コペンGRスポーツは、「GRモデル」ですが実質的な開発はダイハツ側が担当。トヨタのGR開発チームとの交流しながらその知見を取り入れなら開発を進め、GRの名にふさわしい走りに仕上げたといいます。

 コペンGRスポーツが登場するまで、コペンはダイハツの専売で、トヨタのディーラーでは売られていませんでした。

 しかしGRモデルがデビューしてからはダイハツだけでなくトヨタのディーラーでもコペンが購入できるようになりました。ただし、トヨタが販売するのはコペンの全グレードではなく、GRスポーツだけです。

 トヨタがコペンGRスポーツを販売するのは、一体なぜなのでしょうか。

 その背景には「軽くて小さな車体ならではの走りが楽しめるGRが欲しい」ということと「リーズナブルな価格で楽しめるスポーツカーが欲しい」というふたつの狙いがあるのです。

 興味深いのは、その車名です。これまでもトヨタでは、いくつかダイハツの軽自動車をトヨタ車として販売しています。

 現在のラインナップは「ミライース」のOEMである「ピクシス エポック」、「キャスト」のOEM「ピクシス ジョイ」、「ウェイク」のOEM「ピクシス メガ」、そしてハイゼットのトヨタ版である「ピクシス トラック」と「ピクシス バン」です。

 いずれもダイハツ版とは車名が異なり、「ピクシス」という共通の名称+サブネームで構成されていることがわかります。

 ところがそれらと異なり、「コペンGRスポーツ」は、ダイハツでもトヨタでも同じネーミングで販売。これは初めてのパターンといえるでしょう。

「なぜ慣例にしたがって車名を変えないのか?」そんな疑問をトヨタ側のコペンGR開発関係者に尋ねてみたころ、返ってきた答えは「コペンの世界観を大切にしたかった」というものでした。

 トヨタとしても「コペン」というキャラクターを大切にしていることが伺えます。

 ちなみにトヨタ版もダイハツ版もスタイリングや装備、そして価格までが同一。エンブレムも、そもそもコペンにはダイハツのエンブレムが貼られていなかったので変更はありません。そのため、見た目でトヨタ版とダイハツ版を見分けることは不可能です。

 しかし、見えない部分では両者を見分けるポイントがあります。それは車両型式です。トヨタ版は「LA400A」、ダイハツ版は「LA400K」と最後のアルファベットが異なるのです。

 車体番号などを確認すれば、トヨタ版なのかダイハツ版なのかを見分けることが可能というわけです。

■トヨタで「コペンGRスポーツ」を販売するメリットとは?

 ここ最近のコペンの販売状況をみると、興味深い現象が起きています。

 たとえば、2020年3月のコペンの販売台数を見ると、ダイハツでの販売台数は247台。一方トヨタでは237台と僅差です。

左:コペンローブ/右:コペンGRスポーツ左:コペンローブ/右:コペンGRスポーツ

 同年1月から3月までの統計をみると、ダイハツは700台、トヨタでは611台と1割以上の差はあるものの、とはいえそれほど離れているわけではありません。

 これは、ダイハツ版に対してトヨタ版の販売比率が数分の一と少ないピクシスシリーズとは大きく異なる現象です。

 しかも、ダイハツのコペンには「ローブ」「Xプレイ」「セロ」そしてGRスポーツと4つのグレードがありますが、トヨタディーラーから購入できるのはそのうちGRスポーツのみ。

 GRスポーツだけでいえば、トヨタ販売店のほうが多く売っている可能性もあります。

 コペンGRスポーツはダイハツ車にもかかわらず、トヨタのディーラーで販売されている割合が高い稀有なモデルだと判断できるのです。

 では、トヨタのディーラーでコペンGRスポーツを購入するメリットは、どこにあるのでしょうか。

 ユーザーとしての大きなメリットは、なんといっても「家の近くのディーラーで購入できる」ということでしょう。

 ダイハツ販売店に対してトヨタ販売店の数は圧倒的に多いので、トヨタ版のほうが家の近くの販売店で購入できる人が多いはずです。

 トヨタの販売現場のスタッフは、次のようにいいます。

「購入はもちろん、定期点検などのメンテナンスを考えてもディーラーは気軽に足を運べる自宅の近くが便利でしょう。そのため、ダイハツの販売店ではなくトヨタで購入してくださるというのが一般的な傾向です。

 さらに、『トヨタのディーラーのほうが安心できる』といって頂けることも多いと感じていますし、コペンGRスポーツも自信をもって対応します」

 トヨタディーラーならではの安心感も影響しているようです。

 一方メーカー側としては、「ダイハツ販売店に加えてトヨタの販売店でも売ることで販売増が期待できる」、トヨタ販売店としては「商品ラインナップを増やすことで販売拡大が期待できる」というメリットもあります。

 販売する店舗が多いことは、「お客さんをトヨタディーラーに取られてしまうかもしれない」というダイハツ販売店の心配を除けば、あちこちにメリットがあるようです。

 トヨタとダイハツのコラボであり、ダイハツ版もトヨタ版も同一車名、そして両ブランド発売モデルの差別化が一切ない。コペンGRスポーツはそんな異例尽くしのモデルです。

 決して販売台数が多いモデルではありませんが、ダイハツにとってもGRにとっても存在意義は大きいといえるでしょう。

※ ※ ※

 コペンGRスポーツは、ベース車両となっている「コペン ローブS」に対して約30万円高い設定となり、それが高いという声も多く聞かれます。

 しかし内容を見ると、ローブSでは20万円のオプション扱いとなっているBBS製の鍛造ホイールがGRスポーツでは標準装備化されているので、実質的な価格アップは約10万円しかありません。そう考えると、魅力的な価格と判断できるのではないでしょうか。

 また、走りにこだわる人はトルク感応式のLSDを標準装備するMT車がオススメです。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください