「次は中村宅前~」 中村さんの家がバス停に!? 名物化する北海道のバス停事情とは
くるまのニュース / 2020年5月2日 9時30分
日本全国には、さまざまな名称のバス停が存在します。なかでも、北海道のバス停には、個人宅の名称が付けられている面白いバス停が存在しますが、なぜそのような名前になったのでしょうか。
■北海道名物、個人宅名のバス停とは
日本全国のバス停には〇〇前や〇〇入口などの、乗客にわかりやすい地名や建物の名前が入ったバス停が多く存在しています。なかでも、北海道には「〇〇宅前」などの個人名が使われている場合があり、観光の名物にもなっているそうです。なぜそのような名前になったのでしょうか。
北海道のバス停には、個人宅の名称が付けられている面白いバス停が存在し、名物となっています。もちろん個人所有のものではなく、運営会社によって管理されているバス停です。
例えば、網走市の斜里バス株式会社では、「中村宅」や「寺口宅」があります。では、なぜ個人宅の名称が使われているのでしょうか。斜里バス株式会社の担当者に話を伺いました。
――個人宅の前がバス停になった、その背景を教えて下さい。
もうずいぶん昔(40年以上前)のことなので確かではありませんが、恐らく近くに公共の施設のようなものがなく、個人利用の多い個人宅(当時は農家が多かった)がそのまま停留所名になったものと思われます。
――もし、家の持ち主が変わって違う名字になった場合はどうなるのでしょうか。
今までは、停留所名を変えないで使用しておりました。個人名が多かった路線は既に廃止になっており、唯一残っていた知床線のバス停(羽田野宅)も数年前に(朱円東)に変更しました。
――今後新しく個人名の付いたバス停を追加する予定などはあるのでしょうか。
バス停の追加があるとしたら、今後は施設名か道路地番(〇線〇号など)になり個人名は使用しない予定です。
※ ※ ※
今では個人宅が空き家になりバス停だけが残ってしまったり、反対に家屋に人は住んではいるが路線自体が廃止されてしまうこともあり、北海道名物の面白い名前のバス停も存続の危機にあるとのことです。
広大な面積の北海道では、見渡す限り一面に畑や牧場が広がっている地域も多く、目印となる建物などが無いということも珍しくありません。このような地域では個人宅が重要な目印とされることも多く、バス停も例外ではないようでした。
■まだまだある、個人宅以外の面白バス停
全国には個人名以外にも珍しいバス停がたくさん存在しているようです。
なんの出口かわからないバス停
高知県安芸郡芸西村和食には「和食」と書かれたバス停が存在しています。なんだか食欲をそそられるような名前ですが、実は「わしょく」ではなく「わじき」と読むのが正解です。
このバス停の由来は地名である和食に由来しており、同じ土佐電鉄には「レストラン前」といった食繋がりのバス停が存在しているといいます。
三重県北牟婁郡紀北町東長島には「マンボウ」と書かれたバス停があります。三重交通が設置しているバス停で、名前の由来は「道の駅紀伊長島マンボウ」付近にあることが由来のようです。
ここ紀伊長島は海に面しており、魚類のマンボウ料理が食べられる日本でも珍しい場所であります。車内アナウンスで「次はマンボウです」と流れているのを想像するだけも面白い光景ではないでしょうか。
青森県青森市には「働く女性の家前」といったバス停が存在しています。「一生懸命働く女性が住んでいる家なのかな?」と思ってしまう名前ですが、実際は青森市が管理している働く女性と勤労者家庭の主婦を援助するための「働く女性の家」といった施設付近にあることが、名前の由来となっているようです。「働く男性の家」といったバス停も日本のどこかに存在してほしいものです。
岩手県一関市には「鬼死骸」と書かれたバス停が存在しています。なんだかぞっとしてしまう様な印象のバス停ですが、読み方はそのまま「おにしがい」と読むそうです。
名前の由来は、かつて存在していた「鬼死骸村」という村名に由来しているようです。当時、鬼と呼ばれていた豪族の大武丸が坂上田村麻呂に討たれた際に、死骸をこの地に埋められたことが地名になったといわれています。現在は鬼死骸村といった地名はなく、合併が繰り返されてできた一関市となっています。
岡山県高梁市には「マジ?」と思ってしまうような「まじ」と書かれたバス停が存在しています。建物や民家がない山のなかにある停留所となっていますが、坂を下った先には桃太郎神社や桃太郎資料館といった、岡山らしく桃太郎にちなんだ施設があるようです。
名前の由来は不明ですが、険しい山道の「まじ」とかかれたバス停に降りるのは「マジ」で勇気がいるのかもしれませんね。
※ ※ ※
日本全国には、まだまだたくさんの変わった名前のバス停が存在しています。
思わず二度見してしまうものや、なんだかホッコリとした気持ちになってしまうようなバス停もあり、面白いバス停探しといったバスに乗る楽しみがひとつ増えたのではないでしょうか。
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