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充電し放題だったのに… 日産「リーフ」の充電プラン改定で損するユーザーが続出した訳

くるまのニュース / 2020年5月6日 9時30分

これまでの月額2000円で何回でも充電できた日産「リーフ」の充電プランが変更され、集合住宅など自宅に充電設備を持たないユーザーにとって、実質的な値上げがおこなわれました。なぜ充電し放題のプランが終了したのでしょうか。

■堅調なリーフの販売を支えた使いたい放題の充電プランが突然終了

 電気自動車として世界でもっとも多く販売されている日産「リーフ」は、2010年に初代が登場しました。2017年10月には2代目へとフルモデルチェンジされ、バッテリーも40kWhという大容量となり、JC08モードで400kmの航続距離を実現。電気自動車をより身近なものへとしてくれました。

 しかし、リーフの購買意欲を高めたのが、2016年12月からスタートした「日産ゼロ・エミッションサポートプログラム2(ZESP2)」であったことは間違いないでしょう。

 このプログラムは、月額2000円(消費税別)で全国約7000基(発表当時)の急速充電器が使い放題になるというもので、自宅に充電コンセントを設置できない集合住宅などに住む人でも「これなら所有できるかも」と購入に踏み切ったユーザーも多かったと聞きます。

 しかし、このZESP2は登場から3年後の2019年12月に突如終了。新たに「ZESP3」へと変更され、月額2000円の定額制も廃止となってしまったのです。

 新しいZESP3では、プラン毎に決まった回数の無料充電つきの「プレミアム」3種類と、都度課金制の「シンプル」という計4種類のプランが選べるようになりました。

 急速充電10回分が付属する「プレミアム10」が4000円/月、急速充電20回分が付属する「プレミアム20」が6000円/月、急速充電40回分が付属する「プレミアム40」が1万円/月、都度課金の「シンプル」が500円/月となっています。

 自宅で充電できないユーザーにとって、もっとも安い「プレミアム10」でもZESP2の倍のコストがかかってしまう計算になります。

 また、ここでいう急速充電1回とは、多くの日産ディーラーなどで設定されている1回30分ではなく、10分を1回とカウントするため、30分の急速充電をおこなうと無料充電を3回分消費することになってしまいます。

 3年定期契約で月額が1500円安くなるプランもありますが、車検のタイミングを考えるとなかなか難しいところです。せめて、2年、3年、5年、というように複数のプランがあるとよかったのではないでしょうか。

 なお、普通充電については、プレミアムの各プランはどれだけ使っても0円、シンプルは1分につき1.5円かかります。

 ちなみに、同じ時間充電したとしても、急速充電器の出力やバッテリーの状態、残量、温度、そのときの気温などで変わってくるのでなんともいえませんが、リーフを所有する筆者(小鮒康一)の経験則では、40kWhのバッテリーを積んだリーフで、バッテリー残量が20%を切ったところからディーラーの急速充電器で30分充電すると、70%ちょっとくらいまで充電できるイメージです。

 70%の充電で走れる距離は180kmから200km程度なので、プレミアム10を使って走行できる距離は月に500kmから600km程度といったところでしょう。

 日常的にクルマを使うユーザーからするとちょっと物足りない感じといわざるを得ない距離です。

 また、無料充電分を消化したあとは都度課金で急速充電器を使うことができますが、プレミアム10では10分で350円、プレミアム20では10分で300円、プレミアム40では10分で250円、シンプルでは10分で500円という金額設定となり、プレミアム10で30分急速充電すると1050円ということになります。

 いいかえれば、約200km走るために1050円かかることになるので、コストだけを考えるとリッター25kmくらい走るハイブリッド車のガソリン代とあまり差がない、ということになってしまうのです。

 もちろん電気自動車にはコストメリット以外に優れた点も多くありますが、ZESP2時代に購入したユーザーの多くは、コストに魅力を感じた人も多いはずです。月額2000円だったら、充電待ちも我慢しようと思っていた人も少なくなかったでしょう。

※ ※ ※

 リーフは販売好調で、62kWhの大容量バッテリーを搭載した「リーフe+(イープラス)」も登場。さらには東京オートサロン2019では電気自動車SUVの「アリアコンセプトも発表して、まさにこれから電気自動車の購買意欲が高まってくるタイミングにもかかわらず、ZESP3に移行した理由はなんなのでしょうか。

 日産によると、「使い放題プランを設定したことにより、自宅に充電コンセントがあるユーザーも急速充電器を日常的に使うようになり、自宅で充電できないユーザーが急速充電器を使用しにくい状況が一部で発生したため」だといいます。

 確かに、休日の高速道路などのパーキングエリアは仕方ないにしても、日産ディーラーの急速充電器もフル活動に近い状況を目にすることが多くなってきました。

 とはいえ、自宅で充電できるユーザーではなく、急速充電器に頼るしかないユーザーの負担が増えるような改訂は、疑問が残るのも事実です。

 現在ZESP2に加入しているユーザーに関しては、入会日から5年間は引き続き月額2000円で充電し放題で利用できますが、期間が満了した後に新たな電気自動車に乗り換えるかどうかは悩ましい選択となりそうです。

■リーフが売りにくくなる!? 販売現場にも影響が及んでいる

 電気自動車のメリットは、振動や騒音の元となる内燃機関(エンジン)が存在しないことによる、静かで快適な乗り味です。モーターによるシームレスな走りは日産の「e-POWER」でも楽しめますが、エンジンが作動することによる騒音までは消すことができません。

日産「リーフ」(2代目)日産「リーフ」(2代目)

 また、走行するときは排出ガスゼロであることも、電気自動車のメリットといえるでしょう。

 さらに蓄電池としても活用可能で、家庭への給電はもちろん、出先でもさまざまな電気製品の電源として利用することができます。

 一方デメリットとしては、やはり出先での充電に時間がかかることや、航続距離を伸ばそうと大容量バッテリーを搭載すると、相対的に車両価格が大幅にアップしてしまう点などが挙げられます。そのため、現段階では万人に勧められるものではないというのも事実でしょう。

 今回の充電会員のプラン改定は、販売現場にも影響を及ぼしているようです。日産の販売店スタッフは次のようにいいます。

「月額2000円定額で充電し放題だったときは、『ノートe-POWER』を検討しているユーザーに日常の使い方などをヒアリングし、コストのメリットなどを説明した上で、リーフをオススメするということがありました。

 しかし現在は、逆にリーフを検討しているユーザーに新たな充電プランの説明をすると、ノートe-POWERに変更するユーザーがいます。また、ノートはボディサイズが小さいということで、他社のハイブリッド車へ流れてしまうことも少なくないです」

 今後、ホンダは「ホンダe」やマツダ「MX-30」などの電気自動車を出してくることがアナウンスされています。

 充電会員の内容によっては、リーフのユーザーがそちらに一気に流れる可能性もないとはいえません。今後の電気自動車の勢力図が変わってくる可能性もありそうです。

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