まるでアメ車か欧州車!? 日本車離れした日本車5選
くるまのニュース / 2020年5月11日 6時10分
現在、世界各国からクルマが販売されており、そのデザインも千差万別です。ただし、各メーカー独特のデザインコンセプトがありお国柄もありますが、かつて日本車ながら日本車に見えないようなクルマも存在。そこで、アメリカ車や欧州車のような日本車を5車種ピックアップして紹介します。
■昔はアメ車や欧州車へ憧れがあった!?
現在、自動車メーカーや製造工場は世界各国にあり、販売されているクルマのデザインも多岐にわたっています。
一方で、各メーカー独自のデザインアイデンティティや、拠点とする国によってもデザインが様変わりするケースも存在。
しかし、かつての国産車のなかには、日本車らしからぬ日本車もありました。そこで、まるでアメリカ車や欧州車のような日本車を5車種ピックアップして紹介します。
●三菱「デボネア」
アメ車のようなデザインながら「和」の佇まいもある「デボネア」
三菱「デボネア」は1964年に初代が発売された、三菱のフラッグシップセダンです。
デボネア最大の特徴は外観のデザインで、発売当時のアメリカ車をモチーフにしつつも、日本の神社仏閣をイメージさせる重厚な雰囲気があります。
一見すると大型車に見えますが、実際は全長4670mm×全幅1690mm×1465mmと5ナンバーサイズに収まる寸法で、当初は2リッター直列4気筒エンジンを搭載(後に2.6リッターに変更)していたこともあり、5ナンバー車となっていました。
販売面ではライバルに大きく引き離される状況で、成功したクルマとはいいがたいものでしたが、1986年まで大きなモデルチェンジすることなく生産され「走るシーラカンス」とも呼ばれました。
このクラシカルなデザインが生産終了後に再評価され、一時的に中古車人気が高くなった時期もあります。
●トヨタ「クラウンエイト」
サイズ的にも日本車離れしていた「クラウンエイト」
1955年に登場したトヨタ初代「クラウン」は、日本を代表する高級車として多くのオーナードライバーの憧れの存在になります。
そして、1962年にはボディサイズが全長4610mm×全幅1695mm×全高1460mmの2代目にモデルチェンジ。当初、2代目に搭載されたエンジンは初代のトップグレードと同じ1.9リッター直列4気筒OHVです。
この2代目をベースに、国産乗用車初の2.6リッターV型8気筒OHVエンジンを搭載した「クラウンエイト」が派生車として追加されました。
クラウンエイトは運転手が乗車するショーファードリブンを想定して開発されたモデルで、ボディサイズは全長4720mm×全幅1845mm×全高1460mmと、ベースモデルに対して全長が110mmと全幅が150mm拡大され、それまでの国産車にはない堂々とした外観と広い室内空間を実現。
また、V型8気筒エンジンはスムーズな回転と高い静粛性を誇り、贅沢な装備と共に高級車にふさわしい仕上がりとなっていました。
その後、1967年に初代「センチュリー」が登場するまで販売され、クラウンエイトはセンチュリーの源流といえるモデルでした。
●日産「グロリア」
当時としてもかなり斬新なデザインだった「グロリア」
1959年にプリンスから高級セダンの初代「グロリア」が発売され、1962年には2代目が登場し、1966年にプリンスは日産と合併します。
3代目となるグロリアは1967年発売で、日産とプリンスの合併後初の新型車として注目を浴びました。
開発工程の多くはプリンスでおこなわれ、外観は同じくプリンスが開発した御料車「プリンスロイヤル」と同様な縦2連4灯式のヘッドライトが採用されたことで、後に「タテグロ」の愛称で親しまれます。
2代目もアメリカナイズされたスタイリッシュなデザインが特徴的でしたが、3代目のフロントフェイスは、はかにはないほど個性的なものでした。
エンジンは合併の過渡期だったこともあり、当初はプリンス設計の2リッター直列6気筒のG7型が搭載されましたが、1969年のマイナーチェンジで日産製のL20型に換装されます。
その後グロリアは4代目からボディが「セドリック」と共通化された兄弟車となりました。
■パッと見は欧州車な斬新なオープンカーとは!?
●ダイハツ「コンパーノスパイダー」
イタリアでデザインされただけのことはある「コンパーノスパイダー」
1960年代初頭、ダイハツの主力商品は「ミゼット」に代表されるオート三輪でしたが、1963年に4輪車の「コンパーノ」を発売し、乗用車市場に進出しました。
コンパーノはイタリアのカロッツェリア・ヴィニャーレによりデザインされたコンパクトカーで、ライトバン、ワゴン、そして「ベルリーナ」と名づけられたセダンを順次発売し、上級グレードでは木目パネルやウッドステアリングを備えるなどイタリアンテイストを醸し出していました。
しかし、他社が軽量化のためにモノコックボディを採用するなか、小型商用車のラダーフレームを流用する手法を採ったために重量増となり、800ccの直列4気筒OHVエンジンでは非力で、動力性能の評価は高くありませんでした。
一方、ラダーフレームとしたことでボディ架装の自由度が高く、1965年にはツインキャブを装着した1リッターエンジンを搭載する2ドアコンバーチブル「コンパーノスパイダー」を発売。
スタイリッシュなデザインは高く評価され、実際にイタリア車のようだとも評されます。
コンパーノスパイダーは4名乗車が可能だったことから、家族でドライブするニーズも満たすオープンカーとして時代を先取りしていましたが、販売的には成功せず、1968年に生産を終了しました。
●スズキ「キザシ」
走りもフォルムも欧州車を強く意識していた「キザシ」
スズキがグローバルで販売することを目的に開発した、同社初のミドルクラスセダン「キザシ」は、2009年に発売されました。
ボディサイズは全長4650mm×全幅1820mm×全高1480mmとグローバルセダンにふさわしいサイズで、欧州製セダンをイメージさせるスタイリッシュな外観デザインとなっています。
エンジンは最高出力188馬力の2.4リッター直列4気筒を搭載し、欧州や北米でテストを重ねて熟成されたサスペンションによる上質な走りと、乗り心地の良さを両立が図られました。
国内では受注生産のみということもあり、販売は極端に低迷してしまいましたが、警察の捜査車両として数多く納入されたことで、レアなモデルながら目撃例は高いという珍しいモデルとして有名です。
※ ※ ※
冒頭の3台はどれもアメリカ車を強く意識したデザインですが、当時はそれが普通でした。とくに中型以上のセダンといえば、当時は憧れるしかなかったアメリカ車をお手本とするのは、自然な流れといえます。
一方で、2代目プリンスグロリアは、エンジンやサスペンションは欧州車をお手本としていました。
プリンスがつくるクルマは他メーカーよりもメカニズムが凝っていて、そうしたコンセプトから欧州車を研究していたといわれています。
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